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コラムColumn

2017 京都の成人式振袖

2017/01/16

本日は成人式が各地で執り行われまして、私も京都の岡崎にあるロームシアターという成人式会場に見学で行って参りました。京都の成人式を見るのは初めてだったのですが、比較的ちゃんとした振袖姿の方がいらしたように思います。さすが京都なのかといえば、きっとそうなのでしょう。

 

 

今回、一番良い振袖だなと思ったのは、どちらかと言えば、落ち着いた上品な色目の振袖でした。具体的には地色は赤茶色で、全体に鹿の子絞りで大きな柄を描き、金の刺繍が施されていました。もし呉服店やデパートで並んでいたら上等さは伝わりますが、一般的な若いお嬢さんが「カワイイ〜!」と飛びつくような柄ゆきではないと思います。

自分の中で発見だったのは、もし最高級の手描き京友禅で振袖を作ったとしても一般的な赤や水色の地色だと、『成人式会場においては』周囲の方々との差別化に乏しいのかなという感じを受けました。

例えて焼き物で言うなれば、有田焼や伊万里焼、清水焼などでちょっと華やかだけれどもリーズナブルな雑器もたくさんある中で、超一流の柿右衛門が並んでいても少し同化してしまうのに似たところがあるかも知れません。もちろん超一流の凄さは伝わってくると思うのですが、一般の方にはパッと見ではわかりにくい。

しかしながら有田焼や伊万里焼の中に、備前焼、唐津焼、志野焼などが並んでいたら如何でしょうか。まとっている空気感が違うと思われることでしょう。上品で落ち着いた地色、柄の振袖はそのような長所があるようです。本日、見かけた赤茶色の総絞り振袖の方はまさしくそんな雰囲気でした。

 

そのように申し上げると落ち着いた地色の振袖の方が良いじゃないかと思われるかも知れませんが、やはり一長一短で、もし茶道のお茶会などで若い人が少ない会場で、20歳前後のお嬢様が振袖をリクエストされたならば、やはり皆さんが振袖と言ってご想像になるような赤、ピンク、水色などの振袖が華やかで宜しいように感じます。

今回、会場で見ておりましてよく見えたのは黒地の振袖です。黒地はやはり際立って良い地色に見えました。以上のこと、京都の友禅職人さんにお話しましたら、まさしく同じご感想を持ってらしたので驚きました。ただ、これらは私ども呉服業界で仕事をしている人間の思うところですので、実際お買い求めになるご家族、お嬢様ご本人のお好み、お気持ちの方がずっと大切です。

 

以上、成人式会場は、極めて多くの色目で賑わっているので、遠目で見ておりまして、斯様な感想を抱きました。ただ、2017年の成人式を、現在の私が拝見しての感想なので、時期や違うシチュエーションであれば感想も異なるものと思います。

 

最後に、総じて言及しておきたいのは、成人式の振袖や、男性の紋付袴、スーツ姿にまつわる全てのことは、ご用意された『親御さんのお気持ち』こそが一番尊いものだということです。これは常々思います。

皆様がどのように振袖を選んでいけば良いかというニーズがあるので、私は呉服屋として一つの参考意見として書きますが、親御さんが成人式のためにご用意された振袖、紋付袴、スーツには最高のお気持ちがこもっていますから、長く大切にお召しくださればと心より願います。

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)

京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。

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