京ごふく二十八

雪輪について。

昨夜から京都はよく雪が降りました。今回はよく積もって、私も大喜びの子供達と雪だるまを作りました。

着物の世界ではよく使われる雪輪(ゆきわ)柄。トップの写真にあるように丸っこい柄に六6ヶ所の窪みがあるデザインです。

そもそも雪は豊作の吉兆であり、めでたいものという意味合いが古くからありました。ただ、文様化されたのは室町時代ぐらいで、その後、桃山時代あたりから雪持ち草木が能装束や小袖に使われるようになったようです。この桃山時代の雪持ち柄は、現在の雪輪の部分が木の枝に乗っかったように描かれており、これが発展して元禄時代に夏の衣裳として現代に雪輪と呼ばれている丸い輪郭にくぼみが6ヶ所ある図案が登場したように考えられます。そして江戸後期に雪の結晶が観察されるようになると結晶を図案化したとされる雪華文が登場するという順序です。

 

雪輪の図案は、別名、六花(りっか)などとも言いまして、これは辞書や着物の用語辞典などを調べても概ね「雪の結晶を図案化したもの」というのが定説です。

ただ、私が厚く信頼する呉服業界の先輩から「雪輪の柄は、木の枝などに積もった雪が融けかけている様子を図案化したものですよ」とご教授頂いたことがあります。それまでは私も「雪輪」は雪の結晶だと思い込んでいましたが、そのように教わってから意識しますと実際の「雪の結晶」が角張ったり、尖ったりしているのに対して、「雪輪」の図案は円形に近い。

探せば「雪輪」に似た結晶が無くもないですが、結晶を図案化するならば、普通に考えれば角張った意匠にしたくなる気がします。ちなみに雪の結晶を図案化したものが、先述した通り、江戸後期に生まれた「雪華文(せっかもん)」です。

 

 

そこで今回、木の枝に積もった雪を見ておりますと、なかなか「雪輪」の図案に近い雰囲気でした。写真をご参考ください。

 

また雪輪というのは、もしかすると地面に落ちた大きな雪の粒が消えゆく瞬間を捉えた図案なのかなとも観察しております。ただ、個人的推察ですので、やはり木の上に積もった雪が溶ける様子が雪輪の図案の原型なのでしょう。「地面に落ちた雪の写真」は七条河原町を上がった東側にあるKAIKADOU CAFEより。

 

 

そして、雪輪を着物や帯としてご着用されるシーズンに関しては、京ごふく 二十八としての見解は「一年中、大丈夫です」としております。浴衣に雪輪が染められていれば夏のご着用ですし、袷(あわせ)の着物に枠取りとして雪輪が用いられ、その中に四季の花などが染められていれば袷の時季(1〜5月、10〜12月)ならばいつでも着用可能と考えます。

なお、余談ながら雪持ち柳や雪持ち笹などの雪持ち図案に関して、ベストシーズンがいつかと問われましたら、やはり1月から2月ぐらいとお答え申し上げます。雪が柳や笹に降り積もって、若干解けかけてる様子を表しているためです。ただ、12月にも雪が降って草木に積もることもあるだろうから、先取りで12月でも良いじゃないかというご意見もあるかと思います。周囲でご覧になる方で、雪持ち柄の季節を「冬」と思われる方はいらしても、「1〜2月だ!」とまで思われる方はなかなかいらっしゃらないことでしょう。また、地域によっても東北や北海道なら11月でもおかしくないのかも知れません。お召しになる方のセンスが問われる部分ですね。理論武装もできて、ご覧になった方々から素敵と思われれば十分です。

最終的に、こちらで申し上げられるのは、繰り返しになりますが、雪持ち柄のベストシーズンは1〜2月と思って頂き、あとはお考えによって12月ぐらいからご着用されるのも個人のお考え次第で宜しいかと思います。

なお、「雪持ち芭蕉」に関しては、芭蕉という沖縄など南方諸島を中心に繁殖する植物に雪が積もるという、可能性がゼロではないのですが、実際にはなかなか起こり得ない様子を描いた図案も桃山時代などから存在し、現代でも夏の染め帯などに見掛けることが御座います。他の雪持ち柄と少し意味合いが異なって、南方諸島に雪が積もったという「奇跡的なこと」を表現しているとお考えになったら宜しいでしょう。

 

なお、その後、京都は晴れまして早くも雪が融け始めています。京都にいらっしゃる皆さまが、素敵な雪景色の京都を楽しんでくださいますよう、お祈り致します。