これまで訪問着をお探しになっているたくさんの方々に出会って来ました。そうした皆さんにはさまざまな共通項がありますが、もし唯一つだけ挙げるとすれば、「価値のある訪問着が欲しい」と思っていることです。
その一方で、名のある呉服店や老舗を訪ねてもそうした価値ある訪問着を見つけるのは簡単ではありません。もちろんネットで「訪問着, 高級」「訪問着,老舗」と検索してもレンタルの着物などばかりが並ぶばかり。そもそもどんな訪問着に価値があるのかがよくわからないのです。ネットは仕方がないにしても、呉服店でさえ「どんな訪問着に価値があるか」という定義を持つ店は稀です。
ではなぜそうした価値の定義ができていないのでしょうか。
その理由は、ユーザーにとって「着物が必需品から嗜好品」へと変化したことに、呉服業界側がついていけなかったからです。京都の呉服業界の往時を知る人は「京都の室町通りの問屋では、毎日、トラック一杯に積まれた反物が売られていった」とか、「毎日夕方には床屋へ行ってから祇園へ行った」とかいう話を教えてくれます。ピークは昭和50年代前半、呉服の市場小売規模が1.8兆円と言われていた時代です。その頃はお嫁入り道具にも紬や小紋から留袖、訪問着まで用意をしたのでしょうし、日本人の多くが着物を所有していた時代です。
現代の市場規模は2000億円を切っていますし、さらに高級呉服に絞ってみれば数百億円(当時の1~3%)ほどの規模でしょう。それにも関わらず、呉服業界は必需品としての着物の提供方法を積極的に変えようとはしませんでした。それゆえに売れなくなり、売れなくなるから値上げし、さらに原価を抑えて品質も下がるといった負のスパイラルを繰り返しています。
希望を持てないような話を書いてしまいましたが、ご安心いただきたいのはまだまだベテランの職人たちが最高の訪問着を作ってくれています。そしてこちらの記事では、皆さんが訪問着を買うために知っておいていただきたいことを5つに絞って挙げたいと思います。
価値あるお誂え情報をお届けします
20代半ば、色々な呉服店で着物を購入しましたが、十分に満足することはできませんでした。
27歳のころ、価値ある職人たちが不遇の立場にあることを知り、現状を変えるために呉服屋になる決意をします。その後、全国の職人を周りつつ、5年間、東京の呉服店で学びました。
2014年に京都で京ごふく二十八を設立。
大分県出身で、実家も呉服とは関係ありませんが、そんな京ごふく二十八だからこそ新しいスタイルで価値ある着物をお届けできています。
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