ページが見つかりませんでした – 和の服、わたしの服。 https://futaya28.jp 和の服、わたしの服。 Wed, 06 Mar 2024 03:58:47 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.2.4 「黒・リバーシブル・裏勝り」というチャレンジ    お誂え主:清水恵子さん(スタイリスト) Vol.03 https://futaya28.jp/shimizu-keiko-reversible-vol3/ Tue, 19 Jul 2022 04:11:52 +0000 https://futaya28.jp/?p=37348

ファッションの世界の第一線で長く活躍するスタイリストの清水恵子さん。たくさんの服に触れてきたおしゃれのプロがオーダーしたのは、既成概念を超えた着物。審美眼の持ち主の妥協のないリクエストに、京ごふく二十八、そして京の職人たちの新しくて、心躍る挑戦がはじまったのは2020年10月。その完成までの軌跡を追いました。第3回は、リバーシブル着物の着こなしの全貌です。

 

既成概念を超えた黒無地の可能性を広げるために

清水さんたってのご希望の、慶弔両用の黒無地とカトレア柄のリバーシブル着物がついに完成。着こなしのプロであるスタイリストが、どのように楽しんでくださるか興味ありませんか? 特に黒無地は、清水さんらしいスタイリングが斬新で、新しい着物の着方のヒントにあふれています。

まずは、悲しみの席用の装いから。

 

喪服の場合、ドレスコードやルールに準じるのが大切です。準喪服である一つ紋入りの黒無地は、まず失礼のない礼服であり、喪主や親族よりも格を下げている分、汎用性も高いといえます。帯や帯揚げ、帯締めも黒が鉄則です。

続いて、慶びの席用の装いを。

お嬢さんと息子さんの将来のことを考えて、慶弔両用をリクエストした清水さん。Vol.01で紹介した古いアルバムの写真のように、一つ紋入り黒無地を結婚式にふさわしいスタイリングで。上品で華やかな金と銀の刺しゅうが入った袋帯に、白の帯揚げと帯締め、そして草履を。シンプルな黒無地だからこそ、帯の存在感が際立ち、洗練された雰囲気が漂います。

最後に、パーティの席の装いを。

「ブラックドレスのように、パーティで着物を着られたら」。そんな清水さんのアイディアが実現しました。ロングドレスと同じくらいの品格があり、外国でのパーティでも喜ばれそうな着こなしは、ミニマルな黒無地だからこその遊び心があふれています。着方にもひと技。上前にドレープを入れ、帯はビビッドなピンクと黒の2枚使いで華やかに。Misaharada(https://misaharada.jp)のチュール付きのヘッドドレスを合わせれば、清水さん流の小粋なパーティスタイルの完成です。

 

ニュアンスカラーのカトレア柄をエレガントに

黒無地とはまた違う雰囲気で着こなしを楽しめる、ブルーグレーのカトレア柄。一着で何通りも着られる。これこそリバーシブル着物の醍醐味です。

衿を抜くことで、こなれた印象の着こなしに。あえて上前を折り返して覗かせた黒無地が素敵なアクセントになっています。帯は同じカトレア地紋にして、よりドレスのように。ツートーンにまとめることでモダンさも際立ちます。

 

帯留めにはシルバーのブローチを。その自由な発想が、着物をより身近に、よりおしゃれに楽しむ秘訣なのかもしれません。洋服の好み同様、和服だからと華美になりすぎず、ドレスコードやルールを鑑みながらもシックなスタイルに仕上げているところが、さすが清水さんです。

京ごふく二十八が嬉しいのは、清水さんのように着物を楽しみたいと思ってくださる気持ち。そして、お誂え主さまと最高の職人を繋ぎ、喜んでいただくことが、悉皆屋としては何よりです。

 

おまけ。

普段、職人たちは自分が手がけた着物を、お誂え主さまが着用している姿を見る機会はほとんどないのですが、今回、清水さんは京都の職人さんの元へ。糊紋置き職人の亀㐂さん、三度黒で染めていただいた山田黒さんも、その仕上がりに満足いただけた様子で、京ごふく二十八としても、素敵なご縁を繋ぐ事ができて幸せな瞬間でした。

 

糊紋置き職人の亀㐂さんと清水さん(上)、山田黒さんと清水さん、京ごふく二十八の原(下)と記念撮影。

Photo: HAL KUZUYA

Text: SHIHO AMANO

]]>
「黒・リバーシブル・裏勝り」というチャレンジ    お誂え主:清水恵子さん(スタイリスト) Vol.02 https://futaya28.jp/shimizu-keiko-reversible-vol2/ Tue, 19 Jul 2022 03:52:54 +0000 https://futaya28.jp/?p=37339

ファッションの世界の第一線で長く活躍するスタイリストの清水恵子さん。たくさんの服に触れてきたおしゃれのプロがオーダーしたのは、既成概念を超えた着物。審美眼の持ち主の妥協のないリクエストに、京ごふく二十八、そして京の職人たちの新しくて、心躍る挑戦がはじまったのは2020年10月。その完成までの軌跡を追いました。第2回は、一着の着物が完成するまでの作業工程を、あまり表には出てこない職人とその熟練の技ともに紹介します。

 

伝統を受け継いだ職人たちが紡ぐ最高クオリティの一着

京ごふく二十八でお願いしている職人たちは、誰もが手間暇惜しまず、実直に、丁寧に仕事と向き合っている熟練の職人ばかり。誂え染めで紋を入れるには、最初に糊を置く紋糊屋、置かれた糊を落とす紋洗い屋、染め抜かれた紋に上絵を描く上絵屋と、3人もの職人が携わります。ただこうした分業制は多くの仕事があってこそ成り立っていたのも事実。現在の呉服生産量は最盛期の2~3%しかなく、職人の高齢化も進んでいます。高度な職人技術を残すためにも、お客様のご要望に応え、最高のクオリティの着物を職人たちと作る、それが京ごふく二十八の使命だと考えています。今回も清水さんの熱意に応えるべく、絶大な信頼をおく職人たちにオーダーをしました。

 

膨大な量の中からベースとなる白生地選び

清水さんと一緒に2軒の白生地屋をまわり、数えきれないほどの生地のなかから理想に近いものを探しました。生地のもつ艶感や凹凸の影などにより、同じ色で染めても違って見えるので白生地選びはとても重要なのです。しかも、色柄の染まっていない真っ白な生地は、ニュアンスが微差なためプロでも選ぶのが難しいと言われるほど。ただ、そこはキャリアのあるスタイリスト。あまたの生地を見極め、好みのものを見つけ出すまでに、さほど時間はかかりませんでした。どちらかと言えば、瞬時に好きなものが目に止まるといった印象です。最終的に選んだのは、黒無地用の「小浜菊」とカトレア地紋。リバーシブルの懸念事項でもある重量感をクリアするため、軽やかな生地にしました。

たくさんの白生地を見比べながら、好みのものを探します。

 

白生地選びのワンシーン。実際に顔まわりに当てて、理想の生地をチェック。

 

カトレアの無地をブルーグレーに染める「引き染め」

「引き染め」とは、着物の染色加工に使われる伝統的な技法で、生地を引っ張って刷毛で染めるこの技法は、世界でもあまり例のない染色法です。カトレア地紋の色無地を、清水さん希望のブルーグレーに近づけるために、今回は二度染めを行うことにしました。2回染めることで深みのある色に仕上げるためです。

引き染め屋から生地があがった段階で、東京にいらっしゃる清水さんにお写真と共にご報告差し上げたところ、「工程のレポート嬉しいです。写真で拝見すると、やはり感動しますね!」と大変喜んでいただきました。着物を作る工程がリアルタイムでわかるので、お客様にも一緒に作り上げている感覚を味わっていただけると思います。

その後、引き染めで染めた染料を生地に定着させる「蒸し」、蒸した後の生地を流水にさらして余分な染料を洗い流す「水元」、蒸気を当てて生地の長さや幅を整える「湯のし」という工程をふみ、カトレア柄の染めの完成です。

 

熟練の職人の技が光る紋入りの黒無地

紋を入れる黒無地は、カトレア地とはまた違うプロセスをたどります。おそらく気の遠くなるような繊細な分業作業に驚かれるはずです。

まずは、新しい白生地の幅や長さを整えるため「下のし」を行います。続いて、身頃や袖、衿、衽(おくみ)などの位置を決める「墨打ち」。今回は紋を入れる位置を決めるために墨打ちは絶対に必要な作業となります。そして「紋糊置き」。清水さんのリクエストにより、背中に一つ紋を入れます。紋の形にゴム糊を置く作業が「紋糊置き」です。生地を染めてから最後に糊を落とすと、紋糊を置いた部分が白く染め抜かれます。今回は、丸なしの木瓜紋を通常より5厘(1.9㎜)ほど小さいサイズの糊紋を職人にお願いしました。微差ですが、それでもさりげなく控えめで上品な印象です。

紋糊置きは、集中力が必要な繊細な作業です。こちらの様子に、清水さんからは「素敵な空気感。職人さんたちに感謝ですね」とのお言葉も。

いよいよ黒に染める工程です。実は、着物では黒に染めるのを専門にした「黒染め屋」という職人がいます。実際に黒染め屋「山田黒」を訪ね、さまざまな染め上がりの黒を見た清水さんのたっての希望で、今回は「三度黒」という技法で染めることになりました(注:現在はお受けしておりません)。

まずは、「血の木」と呼ばれるログウッドで赤味の褐色に染め、2回目、3回目と染料を重ねていくので、「三度黒」と称されます。最後に、水洗いをして完了です。

2度目の染めが終わった段階の生地。なんとも言えない濃紺です。

現在は、摩擦による色落ちや経年による退色にも強い「染料ブラック」をおすすめさせていただいております。こちらは漆黒と表現したくなる深く美しい黒に仕上がります。

黒染めが終わったところで、紋の最終工程です。「糊紋置き」で置いた糊を落とすのが「紋洗い」。今回は3回の染めにもかかわらず、綺麗に白く抜けて仕上がりました。さすが職人技。その後、「柔軟湯のし」で生地の幅と長さを整えたあと、さらに紋の総仕上げである「紋上絵」の工程に。糊紋を落とした状態では紋の輪郭が曖昧なので、墨を使って紋の細部まで描き、くっきりと仕上げます。手描きならではの、微妙な優しい線が特徴です。紋ひとつとっても、細かな分業のうえに成り立っている、それが着物の世界の奥深さでもあると思います。

 

リバーシブル着物の仕立てへ

カトレア生地、黒無地生地のどちらも染め上がったら、それぞれ「地直し」作業を行います。どの職人も細心の注意を払いますが、意図せず染料が付着したり、シミがついたりすることも。それらをきれいな反物として仕上げ、撥水ガード加工を施し、ようよく「仕立て」の段階に。リバーシブルのため、通常の裏地とは縫製が違いますが、そこは職人の熟練の技術でカバー。手縫いで一針一針ていねいに仕立てていきます。ここまで、何人もの職人の手を経て、ようやく一着の着物が出来上がるのです。

京ごふく二十八では、これらの工程を「悉皆屋」として担当。今まで培ってきたプロフェッショナルな職人との信頼関係を基に、お客さまのニーズに最高品質の着物でお応えしています。また、時代の流れとともに、職人の数が減ってきているのも事実。プロセスの進捗を写真と共に報告差し上げるのも、少しでもプロの仕事をみなさんと共有し、職人の技を大切に守っていきたいからです。お誂え主の清水さんにも、その都度写真を送り経過報告をさせていただきましたが、「東京と京都で離れているにもかかわらず、できあがるプロセスを拝見することができて、とてもワクワクしました」と喜んでいただきました。完成した着物の着こなしはVol.03で披露いたします。

Photo: HAL KUZUYA, FUTAYA

Text: SHIHO AMANO

]]>
「黒・リバーシブル・裏勝り」というチャレンジ    お誂え主:清水恵子さん(スタイリスト) Vol.01 https://futaya28.jp/shimizu-keiko-reversible-vol1/ Tue, 19 Jul 2022 00:33:56 +0000 https://futaya28.jp/?p=37317

ファッションの世界の第一線で長く活躍するスタイリストの清水恵子さん。たくさんの服に触れてきたおしゃれのプロがオーダーしたのは、既成概念を超えた着物。審美眼の持ち主の妥協のないリクエストに、京ごふく二十八、そして京の職人たちの新しくて、心躍る挑戦がはじまったのは2020年10月。その完成までの軌跡を追いました。第1回は、お誂え主、清水さんの理想の着物について。

 

清水さんのご希望は、リバーシブルの着物。ここでは、慶弔用(写真は後出)を合わせ、一着で4パターンの着方を披露してくださいました。

 

和洋の垣根を越えたドレスのような着物を

「小さい頃から日常の中に着物の存在はありました。祖母がとってもこだわりのある人だったので。でも、時代の流れにより洋服におされ、着物はいつからかハレの場に着るもの、そしてしきたりやマナーなどもあり、着るのもハードルが高いという風潮になってしまった。そういう気持ちを超えるような、ドレスのように着られる着物があればいいのにって思ったんです」と着物への想いを語る清水さん。ご自身が長女であることもあり、せっかく誂えるなら家紋を入れた黒の礼服を、というのが今回のストーリーの出発点。「ドレスで黒は当たり前であり、とても汎用性の高い色。私のワードローブにも欠かせない色ですから、黒をキーカラーに選びました」。

同じ黒とは言え、染めひとつで仕上がりの表情に違いが出る黒無地。慶びのお席でも、悲しみのお席でも着られる一着に。

 

紋入り黒無地に求めたのは慶弔両用

「昔は婚礼の際に花嫁もその親族も黒無地の着物だったと祖母から聞いたことがあって。いまのような裾に模様が入った留袖ではなくてもいいのではないかと思い、この先、いつか子供たちの結婚式もあることだし、着こなし方次第で慶弔どちらにでも着ていけるものをお願いしました」と清水さん。

洋服の世界とは違い、和服の黒無地は喪服に通じることもあり気軽に使える色ではないので、このリクエストは京ごふく二十八にとっても驚きであり、初めてのもの。着物に詳しい人ほど慎重な意見も多く、注意深く着地点を模索しました。まずは固定概念を取り払い、TPOはきちんとおさえつつ、染めや仕立てを職人たちが工夫することで、清水さんの希望に真摯に向き合いました。もちろん悲しみのお席でも失礼のないように。その工夫のひとつが、紋の入れ方。五つ紋が礼装とされますが、今回は小さめの一つ紋にしました。五つ紋ほど格式が高すぎず、それでいてフォーマルな場にもふさわしいうえ、さりげないので観劇やパーティなどでも着用できる汎用性の高さが魅力です。

 

背中に家紋をひとつ。五つ紋より、ぐっと実用的で現代のライフスタイル向き。一つ紋の新しい魅力を発見できました。

 

また、黒へのこだわりも強い清水さん。微妙なニュアンスで表情が変わることを長年のキャリアからご存知なだけに、彼女が選んだ染色法は、昔ながらの、そして手間暇かかる「三度黒」という伝統的な技法。摩擦による色落ちや、経年による退色の可能性もあり、現在では化学染料での染め「染料ブラック」が主流ですが、植物染料を使用し、三段階で染める三度黒は化学染料では出せない品格と風合いがあります。(*残念ながら、三度黒のオーダーを受けることは今後叶いませんが、染料ブラックでも十分奥深い黒に仕上がります。)

 

裏地をもうひとつの着物にという発想

「シンプルに、一着でいかようにもスタイリングできると、着物を着る機会も増えると思ったんです。裏地をもうひとつの着物として仕立て、リバーシブルにできれば、着こなしの幅も広がるし、素敵だなと」。そんな清水さんが、もう一着の着物として選んだのが、大胆なカトレア柄の織模様をブルーグレーで染め上げたもの。カトレアは季節を問わず一年中着られ、欧米の方も知っている花というのが選んだ理由だとか。

黒無地との相性もいい、ブルーグレー。リバーシブルに仕立てるためのディテールの微調整は、熟練の職人による手仕事だからこそ叶う繊細な作業。

 

インスピレーション源は、以前お仕事で草笛光子さんのために用意した、マックスマーラ社の織柄のロングドレスだとか。「美しいものを着たいという気持ちはドレスでも着物でも同じ。無地なのに華やかさがあって、とても上品なドレスだったんです。ニュアンスのあるブルーグレーの色は、ジルサンダーのカラーパレットから。三度黒の途中経過である、二度塗りの際の色が偶然にもブルーグレーに近い色で、この色にして間違いなかったんだと確信しました」。

大胆なカトレア柄も織りで表現されているので、モダンな印象に。ロングドレスからの着想を元に、帯も同じカトレア柄の織りにし、色は白と、シンプルシックな装いに仕上げて。

 

今回、清水さんの理想の一着を完成させるため、京ごふく二十八はそのアイディアを具現化し、普段からお付き合いのある一流の職人たちを手配させていただきました。実は、着物一着が出来上がるまでに、京ごふく二十八が「悉皆屋」としてご一緒する職人の数は、みなさんの想像をはるかに超えると思います。というのも、京都の着物職人はすべて分業制の世界。何十種類とある染める前の反物選びから、染め、紋付けまで、ひとつひとつ一緒に作り上げていきました。その様子はVol.02でお伝えいたします。

Photo: HAL KUZUYA

Text: SHIHO AMANO

]]>
営業、ご予約について https://futaya28.jp/mutsuki-r6-3/ Tue, 05 Mar 2024 10:41:49 +0000 https://futaya28.jp/?p=37997 新店舗オープンから、毎週土曜日をご予約無しの営業日としていましたが、昨今、とみにお誂えのご注文が増えまして、毎月1~3回ほど東京や名古屋へ出張をしております。

さようなことで、土曜日のご予約無し対応をやめていますが、お誂えのご相談については、いつでもご予約ください。一人体制での営業、出張ゆえ、直接お話しさせていただける機会に感謝いたしております。

]]>
呉服店でのお買い物:価格で悩んだ時に考えてほしい品質のこと。 https://futaya28.jp/kakaku-nayami-hinshitsu/ Thu, 04 Jan 2024 05:59:17 +0000 https://futaya28.jp/?p=37970 先日、経験豊富な呉服屋さんとお話をしていたら、その方が、
「やはり初めての方であっても、価格で妥協せず、何年かけてでも良いから良い品物を買ってほしい」
と仰っていました。私もこのご意見に強く同意をする者です。

なるほど確かに呉服屋がこういう物言いをすると、高額な商品を買ってもらいたがっている感じがするかも知れません。しかしながら、さにあらず。
というのも、呉服店のお客様が時々つぶやく「なぜ初めての頃はあんな着物を買ってしまったんだろう。。。」というお言葉を耳にすることがあるからです。

 

審美眼の成長

初めての方にとっては、呉服店で着物を購入するという体験そのものが高揚することであって、お好みやお顔うつりなどには注意が行っても、着物の品質までは気が回りにくいものです。その一方で、販売員に対して「これは良いものですか?」とも聞きにくいことでしょう。また、尋ねたところで、販売員は友禅の品質について理解していませんから、大体は徒労に終わります。

初心者で着物に眼が慣れないうちは、シルクに古典的な柄が染まっているというだけでも眼が満足できるのですが、次第に眼が慣れてくると、品質が十分でない浅い染めでは満足できなくなって来ます。

実際、それは京都で呉服屋を起こした私も通って来た道です。
完全なる素人の頃は、なんとなく持っていた感性みたいなものだけでの判断であり、その後、呉服店に勤めてからも、すぐ品物の良し悪しがわかるようになったわけではありませんでした。
ただ、1~2年ほど呉服店にいると、パッと見ただけで見飽きる着物と、何ヶ月見ていても、見るたびに満足できる着物とがあることがわかって来ました。その時に気づいた満足できる着物の共通項が、糊糸目(のりいとめ)というもち米の糊を使った友禅染めでした。
その後、呉服店には5年ほど勤務したのですが、その時点でも、結局のところ、最高に良い友禅染めの要件はつかめきれていませんでした。先ほどの糊糸目というのも及第点であって、最高点というわけではなかったのです。

 

最高の友禅染めに出合う

そして、2014年の起業直前、職人さんを含めて様々な価値ある出会いがあり、最高の友禅というのが見えてきたのです。その要件は、全ての工程において、最高の職人が携わっていることでした。最低でも主要な工程に最高の職人が携われば、良い友禅染めに仕上がります。

二十八にいらしてくださるお客様は、勘所の良さで最高の友禅とそうでない友禅の微差をと見抜いてくださっているからこそ、お買い求めくださっているのだと思います。

2023年に至る今でも、もっと良い友禅とは何かということを探し求めてはいますが、もはや微差過ぎて、皆さんが気にされるようなレベルのことではなくなっています。

今、危惧していることはこうした友禅染めができているのはベテラン職人さん達のお陰であり、もし、10年後か20年後に、ベテランの方々が引退されてしまったら、現在の私は正直、この仕事を続けて行く自信がありません。というのは、自分の眼の満足ができなくなった状態では、強い自信を持っての販売ができないからです。

そのためにやるべきことは、若手職人の育成であり、そのためにやるべきことも見えています。この話はまた改めて。

 

皆さんの審美眼

27~28歳の頃から、私は起きている間中、着物のことを考えたり、勉強したりして来ました。呉服屋になってからは夢の中でも着物を販売しているぐらいに着物のことにどっぷりとはまって経験を積んだ経緯があります。それゆえ、今、京ごふく二十八でご提供しているのはその「結論」だけです。

一般の皆さんが、着物についてそこまで時間をかけることは当然ながらなかなか難しいものです。だからこそプロの呉服屋が代わりに研鑽を積むのだと思います。私が15年をかけて到達した判断基準ですが、皆様も長い年月の中で、同じような眼を持たれた時には、「なぜ初心者の頃は、こんな着物を買ってしまったのだろう」というお気持ちになってしまうので、なるべく目の満足が長く続く着物をご購入頂きたいなと切に願います。

]]>
1月の営業日(2024年) https://futaya28.jp/mutsuki-r6/ Tue, 02 Jan 2024 07:33:13 +0000 https://futaya28.jp/?p=37951 新年1月のオープン予定日は下記の通りです。

 

[営業日]

1/6(土)12~15時 ※短時間の営業となりますので、ご注意ください。

1/13(土)13~18時

1/27(土)13~18時

 

上記日程について、ご予約は必要ございません。一人で営業しておりますので、重なると十分お話ができないこともありますが、お気軽にお立ち寄りください。

 

お誂えのご相談などは、営業日以外にもお気軽にご予約ください。

]]>
12月の営業日(2023年) https://futaya28.jp/shiwasu-r5/ Fri, 08 Dec 2023 10:57:57 +0000 https://futaya28.jp/?p=37942 いよいよ京ごふく二十八の新店舗がオープンしました。

12月のオープン予定日は下記の通りです。

 

[営業日]

12/9()10(

12/15(金)16(土)

12/22(金)23(土)

12/29(金)30(土)

 

[営業時間]

13〜18時

 

上記日程について、ご予約は必要ございません。お気軽にお立ち寄りください。一人で営業しておりますので、重なると十分お話ができないこともございます。

 

お誂えのご相談は、営業日以外にもお気軽にご予約ください。

 

]]>
事務所移転のお知らせ https://futaya28.jp/jimusyo-iten/ Fri, 01 Sep 2023 15:42:41 +0000 https://futaya28.jp/?p=37881 いつもありがとうございます。

この度、京ごふく二十八のアトリエを移転することとなりました。京都市中京区、油小路通三条上ルのアトリエは令和5年8月末で退去しまして、本年11〜12月には新しい事務所でお出迎えできるように進めております。

これから新しい事務所の内装工事をやる運びですが、その間は仮事務所での営業となります。もしお手入れの品物などをお送りくださる場合には、その都度調整させてくださいませ。

令和元年(2019年)6月から始まった油小路三条上ルのアトリエ。令和5年(2023年)の8月までの4年3ヶ月を過ごしました。

油小路のアトリエはわずか5坪しかなく、なんとも慎ましやかなものでした。それでも、月の家賃が1.5万円のシェアオフィスからスタートした京ごふく二十八ですから、油小路のアトリエは私にとって初めての自分の城。二十八のスタイルにマッチしたシンプルなアトリエは、退去した今でも非常に誇らしく思います。当時、内装を終えて、入居した時にはワクワクして本当に嬉しかったです。

退去にあたり、荷物を運び出し、床や壁を磨き上げると、深い感謝の念が込み上げてきました。

このアトリエで頂いた素晴らしいお客様とのご縁に心より感謝しています。最高級呉服のお誂えをするには、あまりに小さなスペースでお客様にも申し訳ないなと常々思っておりましたが、それにも関わらず、二十八と職人達を信じてくださり、多くの着物や帯を作らせて頂いたことは大変有り難く思っています。

次なるアトリエでは、もっと皆さんにご満足を感じていただけるよう、引き続き準備を進めて参ります。楽しみにお待ち頂けたら幸いです。

]]>
プロが教える【名古屋(愛知県)の呉服屋24選】老舗呉服店・専門呉服店 https://futaya28.jp/nagoya-aichi-gofukuya/ Fri, 09 Jun 2023 06:19:26 +0000 https://futaya28.jp/?p=37853 きちんとした着物を買いたいと思われる方にとっても、

「どこの呉服店にいけば、良い着物を買えるのだろう。。。」

と思われる方は多いもの。

こちらの記事では名古屋の有名な老舗呉服店、専門呉服店の店名を掲載したいと思います。京ごふく二十八も同業なので、各お店の解説は控えますが、掲載されているホームページなどから情報収集をしていただけたら幸いです。

名古屋は日本の中でもお着物にとても価値を見出してくださっている地域です。良い出会いがありますように。

 

まずはあなたにとってアクセスの良いお店から訪ねてみるとよいでしょう。5〜10軒ほど回れば、呉服店の雰囲気というものはつかめると思います。また意識して見るとよいのは、それぞれのお店の個性で、それは言いかえれば着物の好みだったり、店主さんやスタッフさんのキャラクターです。あなたにマッチするお店を探してみてください。

さらに大切なことは、あなたの困りごとをそれぞれのお店で相談してみて、どのような回答が得られるか。それを重ねれば、共通する答えがきっと見つかるはずです。

なお、店名は五十音順にてご紹介いたします。

bb.jpg

 

デパート

JR高島屋

名古屋栄三越

松坂屋

名鉄百貨店

 

名古屋市の呉服店

きもの工藝ヲジマヤ(西区)

呉服の石黒(千種区)

杉本屋(東区)

多かはし(昭和区)

知田和(瑞穂区)

月日荘(瑞穂区):訪問着は少ないかも知れませんが、センスの良いお店。

藤和(中区)

マルトヤ(中区)

水流(天白区)

美濃幸(中村区)

美ふじ庵(中区)

名匠庵(名東区)

ゑり善(天白区)

愛知県内の呉服店

あづまや きものひろば(西尾市):Youtubeで有名なお店です

加寿利屋(一宮市):カジュアルものが多いかも知れません。

絹清(一宮市)

くすや呉服店(岡崎市)

呉服のいちこし(岡崎市)

大福屋(西尾市)

山田屋庄九郎(岡崎市)

 

糊糸目について

上記のお店を訪ねるにあたって、皆様にぜひ着目してもらいたいのが、京友禅における「糊糸目」です。糊糸目は簡単にいえば、制作途中に使われる友禅染めの輪郭線の中でもモチ米を主成分とするものです。糊糸目は昔ながらの制作方法で、糊糸目でつくるとより良い雰囲気の品物に仕上がるということは職人なら誰しもよく知るところです。

それぞれのお店の各商品について、ご自身が気に入られる商品があったら、それらについて「糊糸目で作られたかどうか」を皆さんにご確認いただきたいのです。

高い商品ですから、販売員が知っていて当然ではあるといえますが、知らなかったとしてもきちんと確認してくれるという対応が必須だと私は考えます。そうした対応で、呉服店を押しはかることはできるでしょう。

まとめ

初めての呉服店訪問はご不安もあると思いますが、今どき一見さんお断りというような呉服店はまず無いと思います。お店に入って、

「ちょっと着物をほしいなと思ってるのですが、見せてもらえますか」

とお伝えになればたいていはきちんと相談に乗ってくれるはずです。もし少し押しが強いお店だったとしたら、すぐにお店を出られてください。そこで粘っても良いお買い物には繋がりません。

私も愛知県、名古屋の呉服事情に詳しいわけではないので、もし「この店は載せてほしい!」という皆様からのおすすめがあれば掲載を検討しますので、是非お声かけください。

bb.jpg

]]>
紀子妃殿下のお着物の凄さをまずは知って頂きたい(於 イギリス戴冠式) https://futaya28.jp/kiko-hidenka-okimono/ Fri, 19 May 2023 07:43:55 +0000 https://futaya28.jp/?p=37771 先日、お客様から「イギリスの戴冠式で紀子様がお着物をお召しだったけど、小池都知事がオリンピックで着物を着た時のような解説記事は書かないの?」とお尋ねがありました。

我が家はテレビもなければ、ネットニュースもあまり見ておらず。せいぜい日経新聞しか目を通していないこの頃だったので、このニュースに接したのがすでに5日遅れでしたが、ネットで調べると、着付けがどうだとか、生地が薄いからシワがすごいとか、「いやいや、それはちょっと・・・」というご指摘を数多く目にしました。

最初に一つ断っておきますが、皇族の方について記事を書くのは僭越過ぎて、私には非常にハードルが高いことです。ただ、逡巡をしながらも、自分の専門分野ゆえ見て見ぬふりもできず、今回は意を決して書きたいと思います。

https://8760.news-postseven.com/93876

まず、私が何者かということで言えば、2014年、京ごふく二十八(ふたや)を京都に創業した原巨樹(はらなおき)と申します。雰囲気はこちらのインスタグラムでご覧ください。

https://instagram.com/futaya28?igshid=NTc4MTIwNjQ2YQ==

生地について

紀子様の訪問着にシワが見受けられたので、生地が軽かったのではないかというお話が出ていました。

生地の軽重、それは実際どうかわかりません。わかりませんが、シワという観点だけで言えば、着物は布なのでどんなにどっしりした生地の着物を着てもドレープは出ます。写真を撮るタイミングで、シワが見えない瞬間の写真もあったと思います。

生地について言えば、確かに友禅職人はどっしりとした生地の方が良い色が出ると言いますし、実際、地色(じいろ:着物全体の色)は生地の厚みや織り方の影響を強く受けます。

ただ、毎日のようにお召しになる方にとっては、重たい生地よりも軽い生地が着ていて快適だと言います。90代でお亡くなりになった大御所の染織研究家の先生も「歳をとると軽い生地が良いのよ」と教えてくださいました。

確かに私は重たい生地で良い色、良い染めを追求していますが、オーダーでお作りくださるお誂え主から軽い生地にして欲しいとご要望があれば、軽めの生地でお作りします。

そのようなわけで、生地が重いとか軽いなんていうのはお好みの問題だと思いますし、その呉服店や悉皆屋さんのご意向なので、なぜそれを選んだかは尋ねてみないとわかりません。

紀子様の訪問着を作った悉皆屋、職人は現代最高峰の人たち

さて、最初に少し京都の呉服業界の流通について説明しましょう。京友禅の流通は、

職人 ⇨ 悉皆屋(しっかいや) ⇨ つぶし問屋 ⇨ 前売り問屋 ⇨ 呉服店 ⇨ お客様

といった経路を通ります。その中でも私は悉皆屋と呉服店という製造と販売の両方をやってる珍しい人間なので、だからこそ今回の件には一言物申したいのです。

悉皆屋とは

まずは悉皆屋(しっかいや)という耳慣れない職業について説明します。

京友禅で訪問着を作る場合、15~20工程(下図)を経て完成します。それぞれに専門の職人がいて、京都市内のそれぞれの場所で仕事をしているので(下の空撮写真)、真っ白い生地を最初の工程から順に持って回って、染める段取りをするのが悉皆屋という仕事です。

京都市街地の空撮写真。二十八を手伝ってくれる友禅職人の所在地や、水系の解説。

京都市内をあっちに行ったり、こっちに来たりしながら、一つの反物が染まっていきます。

 

興味深いことに、レベルの高い職人達が揃っていても、悉皆屋の能力次第で、優品にもなれば駄作にもなり得ます。一つの反物を染める職人達には、横の連携が全くないので、間を取り持つ悉皆屋は非常に重要なポジションです。散在する職人を有機的に繋げて、エコシステムにする扇の要が悉皆屋であり、オーケストラの指揮者や、映画監督にも似ています。

ちなみに悉皆とは、悉(ことごと)く皆をやるという意味で、染めにまつわることをなんでもやるのが悉皆屋。悉皆厄介(しっかいやっかい)という言葉もあるぐらい、厄介ごとを一手に引き受けて京都の街を走り回ります。草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)という仏教用語が語源です。

どこの呉服店、どこの悉皆屋さんが作ったのか

実は弊社の商品を作ってくれている職人さん達は最高の技を持つ人たちなので、最高の仕事ばかりが届けられます。見ようとしなくとも、職人宅を訪問すると、その時、仕事をしている反物が広げられているので、見ようとせずともなんとなく他社商品が見えてしまいます。

その観点から、紀子様の訪問着について言えることは、とある京都の老舗呉服店(仮にA呉服店とします)が取り扱い、とある腕利きの悉皆屋さん(同じくB悉皆屋さん)が作られた品物に間違いないだろうなと推測します。その呉服店は皇室のお仕事を長年されて来た老舗で、お誂え(オーダーメイド)のノウハウもお持ちだと思います。

そしてB悉皆屋さんこそ、現代における古典の着物を作る最高峰の悉皆屋さんだなと私は常々思って来ました。もちろん見る人による好みはありますが、このB悉皆屋さんが作れば、常に優品が出来上がります。

なお、この記事は誰に許可を取って書いているわけでもないですし、私の推測に基づくエッセイなので、仮名のまま進めます。

B悉皆屋さんの凄さ

京ごふく二十八も、今でこそ最高の職人さん達のお陰で最高の商品を染め上げられるなりましたが、修行期間には試行錯誤の連続で、本当にできるようになるかどうかと悩み、職人さん達にも日々相談していました。

それも初期から最高の職人さん達だけに頼んでいたにも関わらず、陰では多くの失敗を試作として積み重ねたのです。これこそ私の悉皆屋としての実力不足ゆえのこと。先述の通り、最高の職人に頼んでも、悉皆屋次第でその商品の運命が決まるということを我が身に実感していたからこそ、このB悉皆屋さんのすごさを思い知っています。

このB悉皆屋さんの凄さ、ここで3つだけ述べたいと思います。

1.趣味の良さ

とにかくセンスが良いということに尽きます。上品で、くせがなく、誰が見ても良いと思える古典的な着物を作らせたら抜群です。配色も正統派の極みで、主張は控えめなのに味わい深さは十分です。フグの刺身のような、推古仏のような、まぁとにかく文句のつけようのない品物です。

おもしろいことは、こうした悉皆屋さんも、卸す先(問屋や呉服店)の好みに合わせて、多少ながらデザインや色遣いを変えます。でも、どのぐらい変えるかと言えば、ご自分の好みが100だとすれば、80〜95ぐらいに抑えて、発注主の好みを5~20%入れるのです。なので、少し違うと言えば違うのですが、これだけ趣味の良い友禅染めはおそらくB悉皆屋さんの品物だろうなと推察できるのです。

ちなみに紀子様のお着物については、A悉皆屋さんのお好みが80で、A呉服店のお好みが20%という印象です。

2.挿し友禅の色

挿し友禅の色というのは、着物の柄部分の色のことです(下写真の筆で彩色しているところ)。

どの職人が染めるか

着物の大きな印象を決めるのは地色(着物全体のベースカラー)ですが、プロ目線で言えば、柄の色(挿し友禅)は悉皆屋の個性がものすごく出るところです。これで悉皆屋としての個性が主張されます。では、何が挿し友禅の核心かと言えば、どの職人が染めるかに尽きます。

挿し友禅の職人は、修行した環境、仕事をしてきた環境により、使う染料と培ってきた技とセンスにより仕事をします。センスや技も当然大切なのですが、適切な染料を持たないと、何時間、何日こねくり回しても良い色にはならないそうです。それはもう修行した環境が全てなので、B悉皆屋さんが認める挿し友禅の職人さんはほんの一握りです。

割れている挿し友禅の色

「挿し友禅の色が割れている」と言っても、なんのことかさっぱり分からないと思いますのでご説明します。

こちらの写真、葉っぱの先は薄い色で、根元は濃い色を重ねています。その間がグラデーションになっていて、これをぼかし染めと言い、挿し友禅でも非常に大切な技術です。

通常、葉っぱを染める時に黄味の緑を使うなら、その濃淡、同じ系統でぼかし染めをします。その方がストレートで綺麗に仕上がるからです(下図)。

ただ、紀子様のお着物を染めているB悉皆屋さんの場合は、ほんのわずかだけその緑の系統をずらしているようです。わかりやすく例えるならば、黄味の薄い緑(下図左:先ほどと同じ色)に、青味の濃い緑(下図右)を重ねてぼかし染めをするのです。

そうするとどうなるかと言うと、若干馴染まず、染料がイライラっと割れていくような感じがして味わい深い染めになります。それが行き過ぎると嫌な感じになるのですが、その少し手前で止まるような塩梅が絶妙な加減だということです。

この割れている友禅の色は、写真で見てもよく分からないと思いますが、私が実物を見てもやはりよくわかりません(なんだそれは!という感じですよね)。

ただ、なんとなく薄い色でも深みがあって、不思議と良い感じがします。熟練した職人が、やり過ぎる手前の紙一重でやっていることなので、聞いたからと言って真似のできるものではありません。こういうのをもしかしたら神業というのかもしれませんが、私がその説明を聞いて見ても「そう言われればそんな気がしなくもないですね」というぐらいの微差です。なので、きっと皆さんもパッと見て判断がつくようなレベルの差異ではなく、なんとなく良い品物ですね、としか言えないような微差なのです。

こういう色が割れたような挿し友禅のことを教えてくれた職人さんがいるのですが、やはりその人も途轍もない達人です。達人同士は相手のやっていることがわかるんでしょう。いつも他の職人さんでは説明できないようなことを教えてくれます。

紀子様がロンドンでお召しになったお着物は、そこまで挿し友禅のぼかし技が多用されているのではないかも知れませんが、その中でも赤い松(ピンクの丸)は色が、少し割れている友禅っぽい気がします(実物を拝見していませんので自信なし)。

余談ながら染料のこと

さらに余談の話になってしまいますが、染料のことについて一つ。

今回の紀子様の訪問着も、若干地色のぼかし染めが入っています。地色のピンクベージュをやや濃くしたような部分です(上の写真、黄緑の矢印)。

これは地色とグラデーションになっていて、ぼかし染めと言います。下の写真がぼかしの着物で、黄色い線のグラデーション部分(ぼかし足)が長いほど上手いぼかし染めです。

様々な染料を混ぜて地色を作るのですが、このぼかし染めを綺麗に仕上げるためには、生地を走る速度がなるべく一定の染料を買い揃えておく必要があります。

わかりにくい説明ですが、染料によって生地を走る速度が異なるのです。例えば、赤と青の染料を混ぜてぼかし染めをした場合、染料の粒が揃っていれば、乾く時に一様に乾いてくれるのでムラがあまり出ません(写真①)。赤と青の染料が生地を走る速度が違うと、乾き始めたところに足の速い染料が先に集まってしまってムラになります(写真②)。おそらく粒子の大きさや形の問題で足の速さが異なるのでしょう。

そんなわけで京ごふく二十八で頼んでいる引き染め屋さんは圧倒的にぼかし染めが上手な職人さんなのですが、おそらく様々な染料の足の速さを揃えているからこそ、綺麗なぼかし染めができているのだと思います。

以上のように聞くと、じゃあ何でもかんでも染料の足の速さが揃っていれば良いのだろうと思ってしまうのですが、先日、とある悉皆屋さんに聞いた話では、この染料の足が揃わない良さもあるとのこと。走る速さがマチマチの染料を混ぜて染めると、まさしく先ほど述べたように、色が割れるギリギリのなんとなくムラがあるようなモヤモヤっとした感じの味わい深い地色になるそうです。

ただ、こうした職人さんはセオリーがあまり無いらしく、極端な言い方をすれば無茶苦茶な色の混ぜ方をしているので、同じ色を出して欲しいと頼んでも出せないらしいです。お誂えには向きませんが、一発勝負で構わない着物でトライしてみたいと思わせてくれます。

職人さんが言うには、同じ品番の染料を長年購入していても、「なんとなく染料の面構えがちゃう(違う)時があるんですよ」とのこと。私は料理をしないのでよくわかりませんが、多分、中力粉と薄力粉よりもわかりにくい差を見分けるような眼を持っているのだと思います。我々呉服屋、悉皆屋が見ても、なんのことやらわからないことを、敏感に捉えて仕事をしてくれている職人さん達には、尊敬の念を禁じ得ません。

3.全ての工程で最高の職人と繋がっている

B悉皆屋さんの凄さ3つ目は、最高の職人さんとだけ繋がっていることです。下絵も上手い、糊置きも上手い、挿し友禅も先の通り、引き染め、金彩、刺繍、どれも素晴らしい職人さんとだけ繋がっているからこそ、最高の染め上がりとなるのです。

これにはB悉皆屋さんのとてつもなく厳しい視点があってこそ。また、職人さんにご自分の作りたい商品の明確な方向性を伝えられるからこそ、様々な職人さんを束ねても、どこかB悉皆屋さんの作風が表現されます。

私も素人ではないですが、ベテラン悉皆屋さん達が相談している内容を聞いていても、何のことを言っているのやら、用語も含めて理解できないことがあります。何しろ早口だったり、ボソボソっと喋っていたりで聞き取れないこともあるのですが、ベテラン悉皆屋さんと職人さんは意思疎通が取れているので、私の知識の問題でしょう。B悉皆屋さんとトップの職人さん達は、何年も、何十年も一緒に仕事をしていると阿吽の呼吸というものができているからこそ、最高の着物が染められます。

以上、紀子様の訪問着を染めたであろう悉皆屋さんの凄さを3つに絞ってご紹介しました。

余談:最高の職人に[頼まない]悉皆屋

面白いなと思った余談を述べますが、「良い職人を揃えたら、良い着物が作れるのは当たり前だ!」と主張する悉皆屋さんもいます。「あまり上手くない職人を集めても、それを適材適所で上手い職人さんとも組み合わせつつ、低予算であっても良品に仕上げられるのが悉皆屋の真骨頂だ!」と言う見解です。映画で言えば、役者を揃えたハリウッドの超大作ではなく、「カメラを止めるな」みたいな着想の面白さや、監督や現場の力で作り上げる映画に似ています。

これはこれでまた真実をとらえているようで、私も大変考えさせられました。問屋さんに卸す商売は値段の上限が厳しいので、最高の職人さんに頼んでいると、値段がオーバーしています。そこで、腕が最上ではないものの工賃を抑えている職人さんに頼みつつ、最後のお化粧をするような工程では腕利きの職人に持って行って及第点に仕上げるのです。

どちらが正しいということはないのですが、いやはや奥の深い仕事だなと思います。

京ごふく二十八の悉皆屋としての現在地

こうしたB悉皆屋さんと比較すると、京ごふく二十八の悉皆力はまだまだ実力不足です。何しろ職人さんに自分の好みをはっきり伝え、シビアな物作りについて職人さんを指導する技術も見識も持ち合わせません。

ただ、最高の職人だけと付き合えているがために、最高の商品を作れているだけです。

今、60〜70代の職人さん達が言ってくれるには「自分たちも駆け出しの頃から壮年の頃まで、職人の師匠だけではなく、ベテランの悉皆屋さん達に指導をしてもらって今がある」ということです。だから、自分たちの知っていることを、若い悉皆屋である私に伝えてくれています(昭和55年生まれですが、最若年の部類に入ります)。悉皆屋として染めの数を重ねなければ経験値ができないので、これから10年、20年と経て、私が成長し、若い職人達に指導できるようになることが重要です。

それは私も職人の後継者育成の一部になれるということであり、私にとっては心揺さぶられる光栄なことです。

お召しの訪問着について

https://8760.news-postseven.com/93876/2

ここまで、紀子様がお召しの訪問着について、私の立場から見える制作面のことを書きました。もちろん色や柄について、最もらしく書こうと思えばいくらでも書けますが、長くなってしまうのでサラリと。

・小振りの松と、それよりも少し大きな松が強弱を付けて描かれているのが面白いなと思います。

・袋帯のコーディネートなんて完璧すぎて非の打ち所がありません。袋帯の地色が黒だと印象が強すぎるところ、金糸や色糸の面積が多いので、優しい印象になっているからこそ、こちらの訪問着にもぴったりです。

この記事を読んでくれた人は、私が着物や職人技に詳しいと思うかも知れません。ですが、職人さん達は、それぞれの道で私が知っていることの軽く100倍は詳しいです。

最初の工程表にもあった通り、分業制の京友禅は、それぞれの工程に一生を賭ける職人達が染め上げます。1人の人間が全工程をやったとするとせいぜい100年の時間しかかけられませんが、分業でベテラン達が技を染め重ねる京友禅は、500年、1000年という時間が積み重なり、そこがすごいところなのです。

紀子様のお着物姿からも、そこを汲み取って頂けると嬉しいです。

 

ドレスコードについて

紀子様がお召しだったのは三つ紋付きの訪問着でした。確かに着物の中では五つ紋の色留袖が最上級(黒は喪の色なので、皇室では黒留袖を用いない)ですし、和装よりも洋装が皇室における最上級のお召し物です。

ただ、今回の戴冠式でご臨席の皆さまのお召し物を見れば、王族の中には民族衣装の方もいらっしゃるし、席に着いた方々の中にはダークスーツ程度の方もいらっしゃるようだったので、3つ紋の訪問着で十分に丁寧な装いと言えるのではないでしょうか。着物に付ける家紋は無し、1つ、3つ、5つで多いほど格上です。

和装で世界に出てはいけないのか

確かに日本人にとっても、和装は一般的ではなくなりました。私が20〜30代のころ、男性で着物を着ていると奇異の目で見られることもよくありました。

ただノーベル賞を受賞された本庶佑教授が和装で授賞式に参列して、高い評価を受けたことも記憶に新しいと思います。

 

皇室の正装は、洋装を第一とされています。

ただ、なぜ明治天皇が洋装を第一礼装にされたのかと言えば、幕末に開国を迫られ、欧米列強がアフリカ、アジアに対して続けていた侵略に対峙するには、西洋に負けじと富国強兵をしなければ日本の存続が危ぶまれるから。それをトップダウンでやり遂げてくださったのだと思います。

では、現代、すっかり西洋化して、「何が日本の本質なのか」さえ危うくなった今の日本に、引き続きその西洋化を続ける必要があるのか。

1980年代から現代にかけてのことを書けば、80~90年代は引き続きアメリカ文化や経済力が隆盛を極めた時期。ただ、次第にその力も衰えて、2000年代以降、世界をリードし切れているとは言えない状況。確かに90年代はじめぐらいまでは映画にしても音楽にしてもアメリカ文化が圧倒的存在感を持っていました。日本もそのお陰で発展したのですが、その一方で西洋化の弊害をよく感じます。

谷崎潤一郎の陰翳礼讃には、江戸時代の日本文化が現代に進化する未来もあったはずだと書かれていました。畳敷きの病院や、筆タイプの万年筆(これは現代の筆ペンとして実現)が生まれても良いのではないかと。

いつか皇室の第一礼装が着物となる時代になるよう密かに祈ります。

新編 宮中見聞録 木下道雄著

ここから先は着物と関係ない話で、好き嫌いも分かれると思いますので、ブラウザを閉じて頂いても構いません。ご紹介する元侍従次長の木下道雄さんが書かれた「宮中見聞録」は、昭和天皇の知られざる、非常に胸を熱くするエピソードがたくさん詰まった本です。

いろんなエピソードがありましたが、今回、紀子様のお着物で思い出したのは、昭和天皇が鹿児島沖をお召船で夜間に通過される時のことです。鹿児島の海岸には見えるはずもない陛下を慕って、多くの市民が篝火と共に集まっていたそうです。見えるはずもないほど遠い夜の海上ですから、木下侍従次長に限らず皆が船内に待機していたところ、木下侍従次長がふと甲板に出てみると、そこには昭和天皇が鹿児島の海岸に向かって敬礼しているお姿があったそうです。

見える見えないということに関係なく、陛下を慕い集まる日本人と、見ているかどうかはわからなくても「ありがとう」とご返礼する昭和天皇のお姿に、皇室と日本人の長年にわたる信頼関係を思わずにいられません。徳川家の二条城には防御のためにお堀が必要でしたが、京都御所にはお堀が無いのに、皇室が京都で1000年も続いたのは国民との信頼関係によるものでしょう。

皇室について裏表なく、徹底的に議論をするのは重責を担う宮内庁、政府であってもらいたいと思います。

今回に限らず、常日頃の皇室に関わる報道を見ていると、「皇族の方が国民に理解してもらおうという努力が足りないから、国民である自分たちが愛せない」という意識を感じます。それは一面正しいのかも知れません。ただ、自分は努力もせず「妻に努力が足りないから愛せないんだ!」という旦那と同じ意識とも言えないでしょうか。

もし今回の件で、「皇族はもっと国民に理解してもらえるように努力すべきだ」という意見があるとすれば、それは皇族の方々が持たれるべき意見であり、国民が最初から持つべきではないものです。

その一方、「皇族は多くの一般的な権利を生まれながらに許されておらず、大変な公務をやっているのだから多少のことは目をつむるのが妥当だ」という意見があるとすれば、それは皇族の方々が持つべき意見ではなく、国民側が持つべき意見でしょう。

そんな「信」に溢れた日本になっていきたいものです。

以上です。

こういう僭越なことを書くと、お叱りを頂きそうな方々のお顔が思い浮かんでしまいますが、私なりに心をこめて書きました。

皆さんには大切なお時間を使ってお読み頂きまして、感謝申し上げます。

]]>
あっ鷹コート(仮)お披露目会:表参道(R4.12.26~27) https://futaya28.jp/attaka-coat-omotesando-r4-12-26/ Wed, 21 Dec 2022 08:12:40 +0000 https://futaya28.jp/?p=37553

構想15年、ようやく京ごふく二十八が長年夢見てきたコートが完成間近となりました。東京表参道で小さくおひろめ会を催します。

会場・日時

◉KAJIFライブラリー

〒107-0061 東京都港区北青山3-10-15(2F, 3F)
https://goo.gl/maps/31KbLpjFy9FhCZRy5

◉日時

2022年12月26~27日(月, 火)
11:00~18:00
ご予約無しでご来場ください。

あっ鷹コート(仮称)

→ 名称が気になる方は最下段へ!

二十八(Play KIMONO)オリジナル、ダウンのように暖かいコートを作りました!各色、サイズ10枚限定です。

・色

煤色(すすいろ:写真でマネキンが着用)

鈍色(にびいろ:写真はまだです。私の着用している薄いグレーはサンプルカラーです)

・サイズ

M、L(ユニセックス)

あっ鷹コートの開発経緯

着物の販売に長く携わっていますが、着物用の暖かいコートは決して多くありません。もちろん上質なカシミアのコートなどはありますが、価格もかなりのもの。そんな中で、私が呉服屋になる前からなぜ無いんだろうと考え続けてきたアイテムが着物用のダウンコートです。

着物は首周り、袖口、裾と、開口部が大きいので、冷えやすくもあります。だから皆さんいわゆるヒートテックのようなものを中にしっかり着込んでお出掛けするのですが、ホテルなどの室内に入るとそれが暑い上に、しっかり着付けてしまっているので脱げないという事態に。暖かい衣料を一番外に着ておけば温度調整がとても楽になるので、ダウンはとてもお薦めのアイテムです。

ただ、マフラーなどと違って、洋服用のコートは着物に転用することが難しいもの。なぜならば着物の大きな袖を通すことができず、無理に着用すると袖にシワができます。

そこで二十八は、明治時代以降に大流行したトンビコートに中綿を入れて現代風にアップデート。正確には二重回しというタイプで、いわゆるシャーロックホームズが着ていたスタイルです。

二十八ではこの2年ほど、サンプル制作を3回にわたり重ねまして、ようやくこの冬にお届けできることとなりました。開発について書くと限りなく色々ありましたが、アパレルの会社さんも不可能とおっしゃるほど本当に難しいチャレンジでした。

あっ鷹コートの特徴

素材:クリエイティブ合繊

素材はKAJIF社のクリエイティブ合繊に、ウール風のプリントを施しました。柄は伊勢型紙などにも見られる「行儀」文様。撥水はアウトドアスペックで、シルクに比べて気軽に着られます。

中綿:15~30%のカポック

中綿はポリエステルやレーヨンが中心ですが、部位により15~30%でカポックが入っています。カポックは植物性繊維ながら吸湿発熱するため「木に実るダウン」とも呼ばれます。木の実を利用するので伐採もしませんし、アニマルフリーです。なお、海上自衛隊では救命胴衣をいまだにカポックと呼びますが、その昔、カポック素材が救命胴衣に使われていたことが語源です。

和洋で使えるデザイン

最終サンプルを顧客の方々にご覧いただくと大変好評で、スタイリストの方々からは「洋服でも使えますよ!」と太鼓判を、大手アパレルの重鎮にも「これは良いよ」とお言葉を頂いています。いよいよ皆様にお届けできる段階となりまして、お召しいただけますことを楽しみにしております。

ネーミング

なぜ「あっ鷹コート(仮)」という名前が出てきたかと言えば、私がずっと古いトンビのコートを研究して生まれた素晴らしいコートなので、やっぱり「トンビが鷹を産むんだな」ということで、「暖かい」とかけて『あっ鷹コート』を仮称としております。

表参道の会場でお目にかかれますことを楽しみにしております!!ご遠方でらしてもご覧になりたい方がいらしたらお声かけください。

]]>
セミナー【訪問着購入のために知っておきたいこと8選】 https://futaya28.jp/seminar-8sen/ Mon, 05 Sep 2022 04:23:07 +0000 https://futaya28.jp/?p=37469 「上質な訪問着を購入したいけど、どうやって探せば良いかわからない」

そんな風に悩む方は、決してあなただけではありません。「呉服のしきたりを知らずに恥をかくことは避けたい」と思う方はたくさんいらっしゃいます。それにも関わらず、呉服店で疑問を投げかけても、納得できる答えがクリアに聞かせてもらえることは決して多くありません。このセミナーでは、訪問着という高価な買い物をするために、まず情報収集をしたいと思われる皆さまに向けた内容になっています。  

【日程】令和4年

9/20(火)14:00~15:30

9/23(金)14:00~15:30

9/28(水)14:00~15:30

10/4(火)14:00~15:30

10/10(月)14:00~15:30

*全日程内容は同じです。
お申し込みはこちら ↓

【最高の訪問着を買うために知るべきこと8選】

情報を知ることで判断基準ができて、満足できる訪問着の購入に繋がります。

上質な訪問着を購入するためには、知って頂きたいこと、マスターして頂けたらと思うことはたくさんありますので、それをより重要な8つに絞ってお伝えしていきます。

・呉服業界の流通構造

・価格の決まり方

・しきたり全般

・訪問着と付け下げの違い

・帯合わせ

・品質の考え方とセンス

・呉服店のこと

・買う時のポイント

(8項目は改善する場合もございます)

訪問着「若松」威光茶色。全景。有職織物「臥せ蝶の丸文・承和色」、金茶色の帯締め帯揚げを合わせて。

情報収集の大切さ

ある調査で、人は自分が理解できないものの買う時には「値札を信頼する」という調査結果がありました。

つまり、高い物を買っておけば安心だ、ということです。食品や車、電化製品など、一般的な買い物においては概ねその方針でも間違いないかもしれませんが、呉服の世界では危険な考え方です。

もちろん職人が手をかけているから高い、老舗やデパートで買うのだからブランドに払うのと一緒という考え方もできますが、あまりおすすめできません。

なぜならば、呉服は流通が複雑なために、同じ商品であっても店によって価格が2~3倍も異なることがよくあるからです。またブランドっぽく見える呉服店やメーカーであっても、製造から小売までの全てに携わる会社はほとんど存在しないため、製品の製造販売管理ができていない業界なのです。

だからこそ、まずは情報収集が大切です。

情報を、さらに言えば判断基準を持つことで適切な訪問着購入に繋げることができるのです。

オンラインだからこそ安心の情報収集

きもの部 by 京ごふく二十八はリアルのみならず、オンラインでの学びの場をご提供します。

「呉服店を訪問するのはこわい」という話はよく耳にしますから、まずはオンラインで安心してスタートさせてくださいませ。

また、今回私がお伝えする内容は、いつも商談で繰り返しお伝えする内容であると共に、そこではお話しきれないことも含みます。お客様が着物をお選びになるタイミングでは、目の前のお客様にとって必要なお話を中心にお伝えするので、全体論をお話する機会がなかなか設けられませんでした。

セミナー内ではご質問も受け付けます。当日、ご自身の着物に関するお悩みなどにもお答えします。全体論だけではなく、あなたにとっての疑問を解決して頂きたいと思います。

京ごふく二十八がなぜこの情報発信をできるのか

今回の講師は京ごふく二十八代表の原巨樹(はらなおき)です。

弊社は2014年、京都で創業したベンチャーの呉服店です。京都に限らず、老舗の呉服店やメーカーが廃業する中、高級呉服店の新規創業は稀です。

さらに京ごふく二十八の特徴は、呉服の製造と小売の両方を手掛けていることにあります。オーダーを頂いてからお作りするお誂えの商売をしながら、京友禅の中でも糊糸目という昔ながらの染め方で、自社で友禅の職人を回って製造しています。さらには西陣織もオリジナルで作っています。

こうしたスタイルの呉服店は京都でもほとんど存在せず、その仕事環境において自分の頭で考察してきたからこそ、筋の通った説明をすることができます。

ぜひ皆様のお着物ライフで、京ごふく二十八が見出した考え方をご活用いただけたら嬉しい限りです。

特別料金でのご案内

時折、セミナーはやるのですが、しっかりと腰を据えたセミナーとしては初めてのものとなります。良いセミナーに作り上げていくためにも、まずはお試し価格をご用意しました。今後は価格も上げていくと思いますので、お得なこの機会に是非ご参加ください。

・オンライン:3,000円 → 1,000円
・京都会場 :5,000円 → 3,000円

【注意事項】

◉リアルセミナー
3名までの会場は京ごふく二十八を予定しています。ご人数によっては別会場の可能性もございますが、京都市内中心部に設定しましてご報告申し上げます。

◉オンラインセミナー
・ZOOMによるセミナーです。事前に一度アクセスをしておいてくださると当日もスムーズです。
・顔を出してのご参加をお願いいたします。理解度を確認しながら進めるためですので、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

万が一、当日、何かお困りになったら下記、電話番号にご連絡ください。セミナー開始後は電話に出られない場合もございます。
090-7168-4768

 

【日程】令和4年

9/20(火)14:00~15:30

9/23(金)14:00~15:30

9/28(水)14:00~15:30

10/4(火)14:00~15:30

10/10(月)14:00~15:30

*全日程内容は同じです。

お申し込みはこちら ↓

]]>