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ボルドーワインと京ごふく

ボルドーワインのドキュメンタリー、「世界一美しいボルドーの秘密」を見まして、京ごふく(京都で生産された、若しくは通過した呉服商品)との類似点、相違点、色々と見えて来て面白かったです。感想のメモぐらいに思って頂けたらと思います。

個人的にはボルドーはもっとお固く、堅実に商売をやっているのかと思っていましたが、2005年あたりから最高級ワインの価格は飛躍的に上昇し、2009年のヴィンテージ大当たりの年にはそれまでの10倍近い価格になるなどお金に翻弄されているようにも見えました。またそうした最高級ワインの購入者は、中国の富裕層だそうです。ワインは投資目的で、ワイナリーにも投資部門があるのです。

この時点で、いくつか思うところがあります。それはバブルの頃の呉服業界に似ているということ。しかしながらワインは着物に比べると輸出しやすいことが良かったのでしょう、それまでの買い手だったアメリカの方々は2009年、2010年とほとんど買っておらず、中国の方々が買い支えているそうです。またもし中国の存在感が希薄になったとしても、先々はインドやその他のアジア諸国、また次なる富裕国が買い支えて行くようになることでしょう。

着物も戦後に高級路線をつき走り、500万、1千万、極端なものでは1億円近い着物も存在しました。完全なバブルです。呉服業界は同じようにバブルからその崩壊を経験しながらも、その商材特性、また海外への販路開拓(実際着物をそのままの形で輸出する事に意味は無いですが)を行わなかったことにより、新たなスポンサーを得ることができずに縮小を余儀なくされてきました。

 

ワインの評論家、ロバート・パーカー氏は「ボルドーのワインは高過ぎる。このままでは良くない結果が訪れる」と苦言を呈しているそうです。実際2011年にはその天候不順により大暴落をします。

ボルドー関係者は中国が急速に存在感を高めたことについて、遠からず急速に消えていく可能性も有していると考えているようです。中国にはそもそもワイン文化が根付いていたわけではなく、一昔前の日本同様、西洋諸国への憧れ、富の象徴としてワインを捉えています。近年ではワイナリーを所有する中国人もいるため、いかにしてワイン文化を中国人に伝えるかということを重要視しているようでもありました。

それに関連してボルドー関係者は地元フランス、地元ヨーロッパで如何にワイン・ネイティブ達に支えてもらうかということが重要と思っていることでしょう。ただ残念なことにボルドーから見ると、フランスの若者は中国人のようにワインに対して興奮を感じていない、それでいて一世代上のフランス人ほどワインへの情熱もない。それゆえボルドーは外を向いた経営になっているようです。2008年のシャトー・ラフィット・ロートシルトのボトルには中国で縁起が担がれる「八」を入れていました。

捉え方によりますが、この点は日本の方が優っているかも知れません。現在の20代着物着用経験がある女性の79.9%は着物を着用したいと思っているそうです。50代では50.3%。に対して若い世代が年齢を重ねた時に期待ができるというのは数少ない希望が持てる事実です。

 

◯商材としての差

・ワインは農産物であり、気候条件などに大きく左右される。

・ボルドーでは400年間、基本的な生産量は変わっていない。

 

◯ボルドーと京都

・街としての魅力は京都ももちろん全く引けを取らないですが、景色の美しさは敵わないように思います。京都は商業化され過ぎているようです。

・京都のブランド力を転嫁した店作りをしていけば、世界に出ることはできないことではないのですね。海外に展開する場合はもちろん呉服屋業態ではなく、日本の美術工芸によるラグジュアリー・ブランドでしょう。実際にやるためには岩をも穿つ実行力が不可欠ですし、強烈なビジネス力が必要になります。

 

なにしろボルドーは世界一の銘柄として売り込むのが本当にうまかったそうです。呉服業界が是非とも見習いたいところです。ボルドー関係者の言葉では次のように説明されていました。

「アン・プリムールというイベントでは瓶詰め前の新酒とともに、刺激や期待、魔法も販売しています。それゆえそこには興奮と希望が渦巻いています。ボルドーはだからこそ世界一なんです。興奮させるのが上手いんですよ。」

 

ジャーナリストや評論家を招いた品評会も新酒の季節に行っているそうで、これは京ごふく二十八としても今後やれる可能性はありますね。10〜20反をシーズンごとで作るようになったら、という感じでしょう。

時の権力者や歴史に翻弄されてきたボルドーは開かれた市場であるがゆえ、外国資本、主に中国の資本導入を受け入れています。ワイン生産者の方は「是非とも人民元を持ってくるとともにワイン造りの難しさを知ってほしい、また文化そのものを学んでほしい」というように言っていました。このあたり、京都人ではなかなか考えられないことと思います(話に聞いている範囲で、少数ながら伝統子芸関連会社が外資に買われた例はありますが)。ただ私自身は呉服屋が外資に支えてもらうことは必須ではないように思います。日本人のビジネス力でこの難局を乗り切らなければなりません。京都となれば尚更のことです。

 

ボルドーシャトーの経営者の女性は、

「ボルドーはワインを作るのに完璧な土地。昔の経営者に感謝している。世界最高の土地を選んでくれたんだもの。最高の環境がそろっているわ。私達はただ受け継ぐだけでいいの」

京都の先人にも同じく感謝をせずにはいられないです。地の利としては琵琶湖からの地下水が一番大きいですけれども、それ以上に京都という都で育まれた美意識や文化面での恩恵には感謝せずにはいられません。ただし、単に受け継ぐだけでは呉服業界が将来にわたって安泰ということは決してありませんから、京ごふく二十八はどんどん次のステージに突き抜けて行きます。

 

色々と学びの多いボルドーワインのドキュメンタリーをパソコンで眺めながら仕事をしておりました。ロスチャイルド家などがシャトーを所有していることを参考にするならば、京ごふく二十八も将来的に冷泉家のような京都で本当に歴史ある家柄の方に株式を持って頂いて、海外に出て行くのは素晴らしいことではないかとも思いました。

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO