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着物購入のポイントColumn

他では聞けない!プロが教えるここだけの話【訪問着、値段の相場】

訪問着の値段について、初めて着物を買おうと思われる皆さんは「相場っていくらぐらいなのだろう?」と迷われる方は多いものです。

ズバッと「いくらぐらいの訪問着を買ってください!」と言えれば良いのですが、そこはお買い物をするお一人お一人の着物に対する価値観もありますから、一概には言い切れません。

また、価格というのは品質やサービスに対する対価であって、同一品質の商品に対する相場をお伝えしなければ、正確な値段相場をお伝えすることはできません。例えば京友禅の場合、手描きの訪問着と型染めの訪問着を一括りにして金額をお伝えできないということです。

しかしながら、細かいことは抜きにして、概ねの相場感を知りたいという皆さんがおられると思いますので、様々な店舗別に訪問着の値段相場をこの記事ではお伝えしたいと思います。

ちなみにここが大事なところですが、今回の記事でお伝えする[訪問着]とは、販売段階で絵羽(えば:着物の形をしている状態)で売られている商品を指します。これに対して訪問着と変わらない柄付け(デザイン)ながら、反物状態で売られているものを付け下げ、もしくは付け下げ訪問着と一般の呉服店では呼んでいます。なお、二十八では訪問着について、ユーザーの皆さまが困らないように、独自の見解をお伝えしています。こちらの記事も併せてご覧いただくとご理解が一層深まります。

決定版!!【訪問着と付け下げの違い】呉服屋も知らない究極の答え

 

訪問着、値段の相場@デパート:20万円〜500万円

デパートにおける訪問着の相場は20〜500万円と幅広いのですが、デパートの売り場は基本的に初心者から超富裕層まで、幅広いユーザーに対応できるような価格帯で品揃えをしていると言えます。

品質についてお伝えすると、廉価な20万円〜30万円ぐらいの範囲では「型染め」の可能性が高いです。40〜80万円ぐらいまでは「型と手挿しを併用」した商品が多々あるかも知れませんし、「手描き」だけで作られた訪問着もあるだろうと思います。100万円を超えるとほぼ「手描き」の訪問着ばかりになるとは思いますが、絶対にとは言えません。

ちなみに全て手描きで作った100万円を超える訪問着であっても一点物ということは言い切れないと思っておいてください。現代では訪問着であっても、草稿(そうこう)という紙に描いた下絵を使って複数回染められることが友禅の現場では一般的です。

各デパートによりますが、最高価格帯は300万円から500万円ぐらいまでが置いてあると思います。上顧客だけを招くような販売会では、1000万円、2000万円といった商品も展示されるのがデパートの呉服売り場です。そうしたお買い物をご希望される場合は、ご担当の方に付いてもらって相談をされると良いでしょう。

500万円もするような訪問着は人間国宝の作品だったり、有名な老舗染め問屋さんの商品だったりしますが、初めての方がご覧になると他の商品との価格差に驚かれるかも知れませんので、そのぐらいの価格の商品もあるかも知れないなという心づもりをしてくださればと思います。

デパートの呉服売り場は、専門呉服店などに比べても非常に入りやすいので、初心者の方が価格と品質などを見に行くにはとてもお薦めな売り場だと思います。

 

[訪問着、デパートの値段相場・ここだけの話]

ちょっと厳しい目線で書きますが、デパートで私が見て佳品と思える訪問着は200万円ぐらいからです。このぐらいの着物なら、何十年と持って、お客様の目が肥えて来てもずっと「それなりに良い着物ね」と思い続けられるなという商品クオリティになっています。200〜300万円の範囲で品質を見抜いて選べばベストの訪問着に出会えることでしょう。

150万円ぐらいの訪問着は、手描き友禅で作られていても、なんとなく物足りない感じが私はします。もちろん一般的には十二分な品質なんですが、70〜80万円の訪問着と比べた時に、そこまでの差は感じないなと思うことが多いです。京友禅の現場でも仕事をしている私が厳しく見ての意見ですので、そこはお含み頂ければ幸いです。150万円の訪問着も一般的には十分素晴らしい着物だと思います。

なぜ、デパートや専門呉服店の売り場でお客様は悩むのか。

 

訪問着、値段の相場@専門呉服店:20〜200万円

デパートに比べると全体的に価格帯は下がると思うのですが、専門呉服店も大きくは二つに分ける必要があると思います。私が普段意識するのはどうしても高級呉服店ですが、もう少し身近な呉服店もあります。いわゆる地域に根付いた呉服店ですと、20万円ぐらいからでも訪問着を取り扱っておられると思います。探せばもっと安く10万円ぐらいからでもあるでしょう。そうした価格帯の訪問着は型染めだと思っておいた方が良いかと思います。

一般的な着物好きが知っている高級呉服店になってきますと、訪問着の価格帯は80〜200万円ぐらいの品揃えが多いと思います。80万円ぐらいだと、型と手描きの併用である可能性もありますが、もっと安い手描きもあるので何とも言えないところです。130万円ぐらいもするとかなり上質な訪問着をお買い求めになれると思います。130〜180万円程度の糊糸目で作られた訪問着があれば、京ごふく 二十八が上質と考える優品が含まれていると思います。きちんともち米を使った「糊糸目(のりいとめ)」の手描き友禅であることは確認されるとベストです。

 

[訪問着の値段相場・ここだけの話]

専門呉服店の場合は、店によって値段のつけ方が様々です。問屋さんからの仕入れ値に対して3倍、4倍と掛けるところもあれば、2倍を切るような掛け率の呉服店もあります(例:仕入れ値30万円×掛け率2倍=売値60万円)。良心的な呉服店において、もしピッタリの商品があるならば悪くないと思います。またそうしたお店がセールになっているならばご購入を検討されても良いでしょう(ただし「今日まで値引きです!」というのは常套句なので、初めてのお店に飛び込みでの即決は躊躇されるのがお勧めです)。

それに対してデパートは価格に対して一つの安心できる売り場であることは確かでしょう。デパートのプライスは最安値ではないものの、問屋さんが一定の掛け率のもとに商品を置いているため、一般的な呉服業界人の感覚からすれば常識的なプライスであるとは言えるでしょう。

 

 

訪問着、値段の相場@インターネット:1000円〜5万円

楽天市場から参照

インターネットでももちろん何十万円という新品の着物は売っています。しかしながら、初めての方で、ご予算にどうしても限りがあって10万円を超えるような訪問着は買えないという場合は、インターネットやリサイクルという選択肢も入ってくると思いますが、その場合でもせいぜい5万円ぐらい、できたら3万円ぐらいまでを目安に買われるのが良いのではないかと思います。そのぐらいで着られる訪問着が手に入れば、失敗してもあきらめがつくと思いますし、プロからしてもとりあえず良しとできます。

インターネットにも中古品が多く販売されていますが、購入しても汚れていたり、カビ臭かったり、何より寸法が合わない場合はサイズ直しをする必要もあるかも知れません。そうした場合、ご自分のサイズにまで生地が足りるか、縫い目の部分で色ヤケ直しをしたりする必要があったりなど、結局使えなかったという場合も出てきます。生地が弱っているかどうかということなども気をつけてください。最低限、そうしたリスクも想定した上で購入されることは覚えておくと良いでしょう。

 

[ここだけの話・訪問着をネットで買う]

インターネットで訪問着を買うことの難しさは、友禅染めを目利きすることの難しさです。友禅に比べると、帯などの西陣織は、工業製品的な要素もあって、メーカーなどを特定しやすいのです。メーカーが分かれば素人の方でも何となく雰囲気で品定めもできますし、どこかの呉服売り場で本物を見つけることもできるかも知れません。逆に呉服売り場で欲しいと思った帯のメーカーを、ネット検索すれば相場観も掴めることでしょう。

しかしながら、京友禅の着物は念入りに調べてもどこのメーカーが作った商品なのかということが非常に分かりにくくなっています。良い例外をお伝えするならば、千總(ちそう)さんという京都の老舗染め問屋さんは落款(らっかん:製作者の印)入りで出元がハッキリしている上に、着物好きの消費者の間ではトップクラスの知名度を誇りますので、中古市場やネット上でも人気がありますし、ある程度値段の相場が形成されているように思います。千總さんの染め技法は、もともと型染めを中心とした問屋さんなので型染めの商品は充実していますし、桶絞り(おけしぼり)や縫箔(ぬいはく)、手描き友禅などの超高級品もあります。それ以外の新しい技法もあるように聞いていますが、細かいことはわかりません。

ただ、こちらの記事でお薦めするとすれば、新潟県十日町市の吉澤織物株式会社が作る「吉澤の友禅」という商品を推したいと思います。型を使った染めですけれども、古典的な柄で、色遣いも上品だと思います。通常の流通でデパートなどで販売されると仕立て上り40〜45万円ほどはしますけれども、ネットであれば10万円代で新品の訪問着が売られているのでお買い得です。

吉澤織物(https://yoshizawa-orimono.jp/houmongi/)

楽天市場

吉澤織物の訪問着の製造方法としては、型糸目(かたいとめ)を使い、柄の中は手挿し友禅で染めていますので、その点はきちんとご理解の上、お買い求めになるのが良いと思います。動画(4分12秒あたりから、型糸目が見られます。)

https://youtu.be/l770gnWSPTI

吉澤織物さんの新品をご自身の寸法に仕立て上げて20万円以内であれば、初めての訪問着で十二分に良しとして良いのではないでしょうか。何しろ京都のいかにもという呉服店でも、吉澤織物さんの友禅を自慢の京友禅として販売していますから、一般の方には上等な訪問着で通用する仕上がりです。実際、色柄の雰囲気も上品で、昨今のデパートなどで売られているインクジェットプリンターによる京友禅よりは比べ物にならないほど良いと思います。

皆さんがインターネット上で京友禅を目利きするのは非常に難しいですので、それだけに吉澤織物さんの友禅染めであれば型糸目、手挿しという製造も確かな訪問着を、比較的リーズナブルな値段で手に入れて頂けると思います。なお、吉澤織物さんの商品には「吉澤の友禅」というタグが付いていますので、これを目印にデパートで商品をご覧になっても良いかも知れません。(弊社では取り扱いしておりません。)

 

訪問着、値段の相場@チェーン店:10万円〜20万円

全国チェーン店(NC:ナショナルチェーン)や地方チェーン店(LC:ローカルチェーン)で訪問着を買われる方もおられるかも知れません。ショッピングセンターに入っていたり、積極的な営業をされているので、身近で便利に感じる方もおられることでしょう。ですから、そうした時でもこのぐらいまでの価格帯であればと、私が考えるならば上記の10〜20万円程度までにしておかれたらと思います。もちろん普通の品物もあるのかと思いますが、あとあと目が肥えて来てからでも20万円ぐらいまでの訪問着であれば、それなりに割り切れるかなと思います。

訪問着の値段が80万円を超えてくると、立派なデパートや名前の通った専門呉服店で大事にしてもらいながら、きちんとした訪問着も買える値段ですので、専門呉服店やデパートにいらした方が良いかなと思います。チェーン店については、私も専門外なので、概ね皆さんが後悔しない範囲の値段提示に留めさせてください。

 

 

何によって訪問着の値段は決まるか。

ここまで各購入場所による、値段の相場をお伝えして来ました。実際、プロから見ても「なぜこの価格に?」と思うケースがあるのは否めません。それらは様々な要素が複雑に絡み合うためですが、一体どういった理由で訪問着の値段が決まっているのか、代表的な理由を挙げたいと思います。

・職人の手間

一番ご納得いただけるのは、この職人の手間だと思います。手描き友禅で染める場合、柄がたくさん増えるほど、刺繍を刺す量が増えるほど値段は高くなります。「手描き」、「型と手挿しの併用」、「型染め」などと製造方法が異なる場合は、ベースの技術が違いますから、その中で手間を比較する必要があります。現在はここにインクジェットプリンターの染めが入っているので、さらに分かりにくいところです。

・作家の付加価値

人間国宝を最高峰として、作家さんの付加価値というものもあります。気骨ある人間国宝の先生や作家さんの場合、一枚の訪問着を作るために、何度も何度もデッサンや試し染めを繰り返して、一つの作品を目指して制作します。それだけに一枚あたりの値段は職人が一発勝負で作っていく品物と値段が異なって当然とも言えるでしょう。そこに含まれるブランディングを含めて価値を感じる方が購入されます。

・流通経路

訪問着の値段が決まる理由の中で、ここからはちょっとご納得しにくくなると思いますが、流通経路の違いによって、全く同じ商品であっても値段が変わります。染め屋さんの出し値が相手によって変わる場合もありますし、流通の中で1軒、2軒と余分な問屋さんを通ることによっても価格は変わります。

また、問屋さんではなく、訪問着を染め屋さんから直接仕入れたりできる呉服店の場合は、原価が安く仕入れられます。

・店ごとの値段の付け方

先ほども書いたことですが、問屋さんからの仕入れ値に対しての掛け率が、3倍、4倍とする呉服店もあれば、2倍を切るような掛け率の呉服店もあります。また、仕入れ方もあって、きちんと買い取りをする呉服店の場合は問屋さんからでも比較的抑えた値段で仕入れられますが、昨今はどこも厳しいため、問屋さんから訪問着を借りてくる、いわゆる委託(いたく)という商売のスタイルが一般的です。委託になるとやはり仕入れ値は高くなりますので、原価×掛け率の原価が高くなってしまいます。

呉服店が商品製造をするわけではないため、全く同じ商品であっても店によって値段が大きく異なるということがよく起こります。

呉服屋あるあると明朗会計

・絵羽か反物か

これはちょっとご理解が難しいと思うのですが、例えば全く同じ色、柄で、同じ職人さんが染め上げた訪問着であっても、流通過程で絵羽(着物の形)か、反物かによって値段が大きく異なります。絵羽の方が高いです。もちろん絵羽に仮仕立てしたり、仕立てる前に解いて筋消しや絵羽汚れを落としたりといったお金は掛かりますが、そんなにたいした金額ではありません。

・多すぎる流通在庫

訪問着の値段を左右するものの一つに、呉服業界の流通在庫の問題もあります。呉服の小売市場規模が約2800億円(2016年)とされていますが、京都、東京をはじめとした問屋さんやメーカーが抱える在庫は3兆円とも言われています。さらにこの20年ほど、特に京都では大型の倒産が相次いでいましたから、そうした中で在庫が叩き売られたりするケースは非常に多くありました。それらの在庫がネットに流れたり、実際の店舗でも問屋さんの見切り品ということで非常な安価で販売されたりするわけです。ただ、それらもいつ作られた物か、どんないわくつきかは図りかねるので、そんなことは気にしないという人が買われると、可哀想な訪問着も救われます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。訪問着の値段の相場、再度まとめておきます。

デパート:20〜500万円

専門呉服店:20〜200万円

インターネット:1000円〜5万円

チェーン店:10〜20万円

 

皆さんの中には「訪問着にどのぐらいの値段を出せば恥ずかしくないか」といった思いもあるとは思うのですが、私が考えるに、どんな着物上級者を前にしても絶対に恥ずかしくない品質、つまり上等に見えるためには専門呉服店で絵羽の中から選ぶならば優品は130万円、佳品で80万円だと思います。反物になっている訪問着のような柄付の商品から選ぶならば60万円も出せば130万円に相当するような十二分に恥ずかしくない訪問着があると思います(目利きが必要です)。

ただ、訪問着の購入には、人それぞれの着物に対する価値観がありますから、着物にそこまで出せないという方々には、吉澤織物さんの型染めのような商品を20万円ほどでお買い求めになることをお勧めします。

実際、プロの職人さんに話を聞くと、職人さん達が非常にガックリと来るのは、正直、あまり良いとは言えないような訪問着を〇〇というチェーン店で100万円で購入したというようなお話を聞かされる時です。私も何人もの職人さんからそんな話を聞きました。

京友禅の目利きというのはとても難しいもので、昔から何人もの呉服店の社長さんから「京友禅の良し悪しを判断するのが分からない」と相談されることがあります。そういう意味で行けば、一般の皆さんが訪問着の良し悪しと、値段の適切さを判断するのは非常に難しいチャレンジだと思いますので、上記の値段相場が少しでもご参考になるなら幸いです。

 

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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