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「着物の良し悪し」が分かるために、最も大切な大前提とは?

着物を見て、良い品物、そうでもない品物が分かるということは、着物好きを自認する人たちにとってちょっとした誇りとするところでしょう。
よく耳にするのは、「呉服店に並ぶ商品の値札を見ずに高い商品を見抜ける」などといったところでしょうか。一般的なユーザーレベルだと確かにそれで十分だと思いますし、満足した着物ライフを送るに十分なレベルでしょう。

 

「ラーメンと素麺の違いが分かる」

しかしながら、ここでちょっと心を鬼にして、もっと高いレベルを求めるならば、そんな値札の判断なんて大したことではないと思います。特にプロたる着付けの先生や着物コンシェルジュの方々には、もっともっと高いレベルになってもらいたいと願います。プロの呉服屋でも、値札がついていないと自信を持って商売できないというのでは、何とも情けなくなることです。

例えばですが、「値札による違いが分かること」や、「高級呉服店とチェーン店に並ぶ商品の違いが分かる」といったことは、言ってみれば
「ラーメンと素麺の違いが分かる」
というぐらいのことかも知れません。

京友禅の業界で物作りをしているような、着物に本当に詳しい人達が、

「そんなこと自慢されても。。。」

という反応をしているのを私は時々見掛けます。

確かに着物に慣れ親しんで2〜3年という方であれば、それで十分に立派なことだと思います。
ただ、10〜20年と着物好きを自称する方々には次なるステップを目指してもらいたいと思わずにいられません。つまり、かつお出汁と昆布出汁の違いが分かるとか、使っている素材の善し悪しが分かるという、レベルの高い世界が存在するのです。

 

繊細な味わい方

着物の世界で高いレベルを目指す人たちには、もっと繊細に着物を味わってもらいたいと思います。何しろおしゃれな方々がこぞって愛好するワインなんて、日本人でも相当にお詳しい方がおられます。ぺろっと飲んだだけで使われている葡萄や様々な良し悪しが分かる方、きっとあなたの周りにもおられるはず。

それが着物となった途端に、値札だけの判断ではちょっと悲しいものがあります。もちろんこれは着物好きの方だけのお話ですので、一般のご興味ない方はそれで構わないと思います。

 

一つの着物に惚れ込む

さて、そんな「着物の善し悪しが分かる」ためには、1つの大前提が必要となります。

 

結論から言えば、

・「その着物に惚れ込む」ということ。

・惚れ込んで「商品の出自を深く知る」ということ。

です。

私の知った呉服屋でも、「この商品は良い商品ですよ!最高です!」と販売口上を述べながら、その着物に興味を持っていない人をたくさん知っています。
別に非難する訳ではないのですが、普通、何かを愛するならば、その着物がどんなコンセプトを元に構想され、どうやって作られたのか、どんな職人たちが関わってくれたのか、知りたくなって当然だと私は感じるわけです。

 

恋人から、愛する人へ。

皆さんにも分かりやすくお伝えするならば、

「もし誰かを好きになったならば、その人がどこの都道府県、どこの国の出身で、どんなスポーツをして来て、今の趣味は何なのか、どんな価値観を持っているのか、当然知りたいですよね??」

ということです。

好きだけど、その人のことは別に知りたくもならない、という人が果たして本当にその人を愛していると言えるでしょうか。

私はまず自分が好きになった商品がどのようにして作られていたのかを知りたいということが常に念頭にあります。だからこそ、私がまだ呉服屋になる前の話ですが、奄美大島まで泥染めを体験に行ったり、結城紬の産地を訪ねたりして来たわけです。そうすると地方によって気候風土の違いを肌で感じ、そこに住む職人さん達のお人柄まで含めて商品を好きになるのです。好きに大きな厚みが出るといっても差し支えないでしょう。
こうなって来ると商品に対して「表面的な恋」をしていた状態から、品物を「愛する」という状態になって行きます。

この愛ごと、お客様には商品を受け取って頂けたら嬉しい限りですね。

このブログを読んでくださっている呉服屋さんにしても、まずは自分の販売している着物を愛することが第一ステップだなと思います。

 

まとめ

確かに商品の良し悪しを見抜くということは大変難しいことなので、一般のユーザーさんには無理と言えば、無理なのだと思います。ただ、そこで何かしらの安心感だけのために高いお金を出すことは幸せな買い物にはならないように思います。また、販売している呉服屋にとっても長い目で見たら良いことではないですし、やはり制作現場の職人を知っている私としては、ちょっと違うなと感じます。
冒頭にも述べた通り、
「私は眼が利くから、呉服屋さんで高い着物ばかり欲しくなってて困る!!」
という話を耳にしますが、
 


本当に眼が利くと50万円の商品が、150万円の商品より優れていることが見抜けると思います。紬や西陣織では少ないですが、京友禅だと頻繁にそんな商品が見つかります。こうなって初めてちょっとした目利きと言えるでしょう。

 

職人達のちょっとした工夫や、手仕事だからこそ宿る魅力は、10年、20年後に見直して頂いても絶対に価値が減ることはありません。それでいて値段が途方もなく高いということもないのです。ご自身の審美眼を可能な限り高めれば、値段もそんなに高からず購入もできるものです。是非そんな視点で着物に接して頂ければ幸いです。

 

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO