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御誂2-2 付下げ訪問着(黒地 梅に春の草花)

黒地に早春の草花、付け下げ訪問着の制作状況です。

 

二十八の黒染め全て黒染め専門の職人さんが染めてくれます。そもそも黒染め職人さんは三度黒という植物染めを、留袖などの高級品にのみ染めていた染屋さんなのですが、現在は化学染料によるブラック染めが主体となっています。何しろ現在では留袖の全体的な生産量は当然少なくなっていますし、三度黒に対する消費者のご理解を得られなくなっている状況などが原因です。三度黒はスレなどに弱く色落ちもします。昔の人は「色は移ろうもの」というのが当たり前で、三度黒も経年すると羊羹色になるのですが、現在はやはり「いつまでも黒いのが当然」というニーズがあるので染料ブラックが主流です。

 

もちろんカラフルに様々な色を染める引染め屋さんで、同じようにブラックを染める事はできます。しかしながら「黒だけを染める」という専門性に、私は魅力を感じており、これまたインテリで非常に真摯な仕事をされる職人さんなのでお願いしております。

 

 

黒と言えば簡単ですが、日本では古来より黒の名称も様々で使い分けをしていました。

玄(げん):赤みがかった黒。かすかに遠い存在などを表し、神秘的。そこから物事を奥深く極めた人という意味で「玄人」。

黒(こく):木炭や墨のような色で現在の一般的な黒色です。

皁(そう):皁は橡(つるばみ)というブナ科の木の実のことです。橡の実を使って黒色を染めていました。黒頭巾=黒皁、黒絹の衣=皁衣、と書き表すそうです。逆に江戸時代などには橡色というと赤茶色を言いますが、奈良時代の橡色というと黒のような色のことです。

烏(う):光沢が強く、滑らかでツヤのある黒。黒い髪を烏髪といいます。

緇(し):この言葉が「黒染めの衣」を表していた事から黒の意味を持つようになりました。そのため僧侶のことを緇徒とも呼んだそうです。

 

これらの事は黒染め屋さんに教えて頂きましたが、黒だけを見つめているからこそ本当に深いご理解があるのだといつも感じます。

 

例えば皆さんが結婚式で留袖をお召しになると、よく古い留袖が羊羹色になっている、などという話が出るかと思います。新しい留袖同士を比べてもあちらは漆黒、こちらは少し表面が白がかっているなど。

カラフルな中では黒っぽければ黒ですが、「黒ばかりの中ではどの黒が一番良い黒か」という事が自然と気になります。職人さんからすると黒も赤っぽいとか青っぽいとか色相があるといいます。

 

前置きが長くなりましたが、御誂主様から黒の地色をご希望頂いたからには、やはり最高の「黒」でお届けしたいと考えまして、染めてもらいました。非常に深みがある素晴らしい黒に染まっていますので、また次回のブログを楽しみにお待ち頂きたいと思います。

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO