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御誂2-3 付下げ訪問着(黒地 梅に春の草花)

黒地、梅に春の草花も完成間近です。金箔、金ぐくりを施す工程に来ました。

こちらはべったりと金を貼り付けるのではなく、基本的に糸目糊の線だけを金彩していきます。また刺繍も金糸による相良縫い、まつい縫いをしており、“添える”刺繍となっています。

また二十八のお願いしている金彩工芸職人さんは、非常に高い技術を持っており金彩以外にも様々な仕上げをしてくれます。今回は糸目糊を塗りつぶす作業もお願いしました。ビフォー・アフターの写真があれば良かったのですが、糸目の白い線を残していると梅や山茱萸の枝振りが“ぼや〜”っとした印象になっていました。それを黒い顔料で消すことにより、全体の印象がキリッと引き締まったのです。塗りつぶしている様子は、水仙に重なっている梅の枝の部分を見てくださればお分かり頂けるかと思います。

また金ぐくりも、「光線ぐくり」、「かき消し」という表現技法で行います。どういう技法かと言うと、(多くの場合)左側から光を当てたように、枝や花の左側を強調した金彩を施す方法です。水仙の葉や山茱萸(黄色い花)の枝を見てください。

上物ばかりを染めている上物屋さんは、特にこうした技法をよく用います。これは金彩だけではなく、挿し友禅(柄の色)、刺繍などでも必ずそうです。そうではない技法、つまり金でぐるっと囲んだり、挿し友禅で花びらや茎を塗るのにも“ズボッ”と塗っていると何となく重たく見える感じがします。

 

私は過去、おそらく毎年数万点の商品を見てきました。それもただ見るだけではなくて、「その商品の何が優れているのか」という事にフォーカスして“ド真剣に見て”来ました。そうして物の区別ができて来ると、必然的に高級品にしか満足できなくなって行きます。ここで注意が必要なのは高額品ではなく高級品だという事です。私が見てきた限り、どんな高額な商品であっても垢抜けない品物というのはあるわけです。私のお客様も自然とそれは感じ取ってらして、単なる高額品の場合、「へぇ、手が掛かっていて立派ですね」とは仰っても、「是非羽織ってみたい!!」というような欲求までは起こさせないものです。また逆に20万円ぐらいの小紋でも、色遣いや柄行きなど非常にセンスの良い物もあります。

話を戻して、そうした高級品、手が掛かっているのに控えめで上品な着物や、価格がこなれていてもセンスの良い着物というのは、ずっと見ていても見飽きないものです。しかしながら飽きる商品というのは不思議と3日も見ていれば飽きてきます。皆さんはごふく屋ではないですから、確かにそれらを全て見分けられるようになる必要はないのですが、やはり着物好きの皆さんですから、5年、10年と着物を事あるごとに見てらっしゃると、やはり最初の頃にご購入された着物というのは「どうしてこんな着物を買ったのかな。。。」というものも出てくるはずです。

だからこそこれからの時代に重要なごふく屋の役割は、着物や帯に対する「審美眼の提供」なのだと思います。つまり自らがフィルターとなって、お客様の審美眼を満足させる品物しかお客様のお目に掛けないというのが大切な事なのです。そしてお客様はごふく屋ではいらっしゃいませんから、お客様の代わりとなって自らの審美眼を高め、着物のTPOの動向に注意し、知識を蓄えながら、製造まで踏み込んで品質に責任を持てるようになる。私は着物に関して自然とそうした勉強をしてしまいますし、これから社員になってくれる仲間にも是非その過程を楽しんでもらいたいと願うばかりです。

北大路魯山人の「魯山人陶説」は私が20代の頃、非常に影響を受けた本ですが、その中で「骨董屋での買い物は“旦那買い”である」と書いていました。つまり骨董のような真偽の難しい物を買う場合、物ではなくて、その売主である旦那を信じられるかどうかだと。私も顧客の皆様にそうしたご信頼を頂けるよう、顧客の皆様に代わって着物の分野で益々研究、精進致します。

 

黒地の付下げ訪問着、完成間近です。今回はまだ一部公開のみですが、下絵からの進化をお楽しみくださいませ。花は馬酔木(あせび)です。

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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原巨樹(はらなおき)

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO