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御誂3-1 訪問着(香色地 地紙に白上げ四季草花)

香色、白茶(黄色味のクリアなベージュ)を地色にした訪問着です。

以前、訪問着と付下げの定義を書きましたが、こちらは全く訪問着と言って良い染め方をしますので、皆様のご参考になれば幸いです。八掛は表地と同じ駒無地を使い、柄も表地に準ずる柄を八掛に描きます。四丈物(よじょうもん)1反ではなく、三丈物(さんじょうもん)1反を表地として使い、もう1反から八掛分を切って使います。利用する2反(表地用と八掛用)は、精錬を同じ釜で行います。これにより、細かいことなのですが、精錬する釜ごとに絹糸のセリシンの落ち具合が異なるため、染め上がりの色が影響されるわけです。そうした事を防ぐために二十八はもちろん、本当の優品を作っている悉皆屋さんは、精錬を同じ釜で行われるように手配するのです。

今回、まず白生地を着物の形に下絵羽(裁断して、着物の形に仮縫い)しまして、その状態で下絵職人さんが生地に青花で下絵を描きます。青花は正確には代用青花というものを使っているので、線は焦げ茶色です。代用青花は水で簡単に消える性質があり、夏場などですと2〜3週間で自然に消えてしまうのですが、この性質が下絵を描く染料としては最適なのです。何しろ下絵は下絵であって、最終的な着物には全く残らないようにしなければならないからです。実際、露草から作った本青花の場合、水で流しても消え切らない場合があって、代用青花のメリットの方が大きいので代用を使います。本青花のメリットは描いている最中に花の奥ゆかしい香りがする、私のような日本や伝統工芸が大好きという人間にとってはノスタルジックな良さがあるという程度で、商品の仕上がりや染める過程での利便性を考えると代用青花に軍配が上がるのです。

さて、今回は本式の訪問着の作り方をするのですが、どういったやり方かと言うと白生地の下絵羽をそもそも御誂主様のご寸法で作ります。その上で下絵職人が仮絵羽した白生地に下絵を描きまして、今度はその下絵を描いた訪問着をお客様に羽織って頂くわけです。そして実際に御誂主様の着姿をチェックさせて頂き、柄の位置や流れなどを修正します。先述の通り、青花の下絵は水で簡単に消せるので柄の位置などについて修正できるわけです。

このようにする事で、そのお客様にピッタリ合った寸法で、かつ合口(縫い目各所)においても柄の繋がりがきちんとなった訪問着が出来上がります。通常呉服店に並ぶ200万円の訪問着であっても、それは標準寸法にのっとって染められた商品ですから、お客様の寸法で仕立てた場合、脇などの縫い目で柄がずれたりします。また逆に、柄合わせ優先の仕立ての場合は、お客様にとってサイズが大き過ぎたり小さ過ぎたりして必ずしも着やすい着物とはならない事もあるのです。

その点、上記のように下絵羽をお客様の寸法に合わせて、その白生地に下絵を描きますと上記の問題がほぼ解決されるという事が本物の訪問着の作り方と言う理由です。色々と述べましたが、下絵の写真をご覧くださいませ。

柄行としては、衽から上前身頃、左後ろ身頃、右後身頃、さらには右前身頃まで柄が繋がっていますから、訪問着の柄付けです。

 

二十八のお願いする下絵職人さんは非常にセンスも筆運びも素晴らしいので、青花で描いてもらって消えてしまうのが本当にもったいないほどです。

 

二十八が問題意識を持っている一つに、訪問着、付下げの胸柄の問題があります。何かと言うと既成品で問屋が依頼して作る商品は衿から胸に繋がる柄を、万人に合わせるためになるべく簡単な繋がりの柄の図案にしています。そうすると仕立ての際の衿付けで、柄合わせに悩まずに済むので確かに都合は良いのです。しかしながら、その代わりに実際お召しになるとメインの胸柄が袖に近付いてしまい、脇部で縦に走るシワの中にメインの胸柄が入ってしまうのです。では下絵段階から、二十八がやっているように下絵羽をして柄を描けば全く問題ないかと言えばそこまで簡単でもなくて、染める過程で生地の伸び縮みがあるため、やはり衿の柄がピッタリ合わなかったりもするわけです。しかしながら、今回も御誂で寸法も分かっていて染めさせて頂くわけですから、やはり最終的な着姿が美しくなるよう、出来る限りメインの胸柄は衿に寄せて描いてもらいましたので、御誂えの意義もあろうかと考えます。

こちらの訪問着については追って挿し友禅のレポートも致します。

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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原巨樹(はらなおき)

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO