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御誂5-2 夏の訪問着(inspired by 谷崎潤一郎)

小説に着想を得た、素敵な夏の訪問着です。

まずは白生地を検品、検尺(長さが足りるかの検査)します。

今回三本絽の生地を用います。新潟県五泉市の生地でして、三本絽の中でも重めの生地を用いました。夏場ですと多少の暑さに違いはあるかも知れませんが、やはり現代の絽の上物はしっかりした素材を利用している場合が多いのです。標準的な生地が580gのところ、今回採用する生地は680gです。五泉にて平成26年12月に織り上げて、精錬したばかりの三本絽の白生地、580gと680gを京都に送ってもらいました(検査印の中にはg数が書いています)。その後、二十八にて色々と検討した結果、現時点では夏の訪問着などは三本絽で作る事としました。色無地はご希望により五本絽でも制作を考えております。

 

検品、検尺が終わりましたら続いて湯のしを行います。絽の場合、一度の湯のしでは生地中央部にたるみがでる可能性があるので(言葉ではご理解しにくいと思います)、通常は一回のところ、湯のしを逆方向からもう一回行います。

その後、墨打ちを行います。二十八では墨打ちに代用青花を用います。のちほどその墨打ちの青花にも糸目糊を置いてもらうことで、染め上がりまで残します。なお白地の場合は糸目糊では見えにくいので、鉛筆や墨などを用います。御誂えの良い所はご身長の高い方にも低い方にもそれに合わせて、身丈や袖丈の長さを墨打ちできる事です。これが既に染め上がっている絵羽の着物や付下げの場合、背の高い方には内揚げをほとんど取れなかったり、低い方には内揚げが多くなり過ぎたりします。着物はそういう物ではあるのですが、そういう事にご苦労されている方々が多いのも事実なので、御誂えの出番です。

 

続いて墨打ちした反物を下絵羽の仕立て屋さんに渡します。仮絵羽というのは反物状態のものにハサミを入れて、着物の形に仮縫いする事です。染める前に白生地の状態で仮絵羽をする事を下絵羽、全て染め上げてから仮絵羽をする事を上絵羽と呼びます。この下絵羽と上絵羽、どちらが重要かと言えば圧倒的に下絵羽と言われています。なぜならば、下絵羽でハサミを入れた通りに、その後の全ての染めは行われるからです。上絵羽も呉服店で展示するためには、展示映えに関わるので重要ですが、一度ハサミが入ってしまったものを上絵羽で直す事はできません。

二十八でお願いしている下絵羽屋さんも、やはり上物だけしか仕事をしません。ピシっとした仕事をしなければ気が済まないという職人さんなので私も安心して仕事をお願いできます。

例えば右身頃と左身頃、この長さがきっちり揃っている事。微妙にこれらの長さが違っているという事は流通している着物の中には当たり前のようにたくさんあるようです。しかも上絵羽で八掛を縫いつけてしまえばその様子は分かりません。また衣桁に掛ければ肩山のラインがピシっと真っ直ぐになっています。その他にも振袖や訪問着、七五三、初着など綸子地で大きい地紋が橫一列に並ぶ場合は、袖と身頃を通して一直線に並ぶように下絵羽をする事は上物の必要条件です。そうすると生地も余裕を持った長さが必要になってきます。

さらには最終的なお客様の声を仕立て屋さんが汲み取り、さらにその方向性を下絵羽に反映させて行けば、さらに良い着物に仕立て上がる事でしょう。またそのためにはお客様お一人お一人の着姿に関するフィードバックが不可欠なのでご遠慮なく仰ってくださいませ。またお任せしてくださる方には、これまでの上物を作る方法に則ってベストの染め、仕立てを行っていきますので御安心頂けましたら幸いです。

 

これからこの下絵羽をしたままの白生地に下絵を描いて行きますので、お楽しみになさってくださいませ!

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO