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御誂6-2 付下げ訪問着(柳桜をこきまぜて)

こちらの付下げ訪問着、大変素晴らしい仕上がりに向かっています!

 

今回、非常に貴重な水元の取材ができました!水元というのは、その昔、友禅流しなどと呼ばれ、京都の鴨川や堀川、様々な河川で行われていました。水元の目的は染色の過程で使用された糊や余分な染料を洗い流す事です。昔は河川を利用していましたが、染料や糊などによる公害問題に発展したため、地下水をポンプで組み上げて室内の水槽で同様の作業を行うようになりました。

なお、この水元をする前に同じ工場内で蒸し工程を経ています。蒸しをする事で挿し友禅、引き染めによって染められた部分が発色します。

まずは水槽に付けて、伏せ糊をふやかします。

職人さんが伏せ糊の状態を確認。

 

十分に柔らかくなった事を確認し、次の工程に移ります。

 

十分に柔らかくなった伏せ糊に、手元で水を流しながらブラシで落としていきます。また余分な染料も落します。

 

その後、再度水槽に浸けて余分な付着物などを落します。ちなみに使用される水は地下水ですから、年間を通じて水温がほぼ一定に保たれており、冬温かく、夏冷たく感じるような水温です。

 

蒸し、水元の工程を経ますと、着物の完成形に大きく近付きます。ここまでの途中工程をご覧になっても、一般の方が完成形を想像するのは非常に難しいものです。

まず蒸しにより、挿し友禅、引き染めで反物に染められた染料が発色します。その発色は色により様々で、蒸して変化する色系もあれば変化しない色系もあります。蒸しが終わった時点では全体的に少し色が濃く感じられますが、水元をする事で、余分な染料が落ちてちょうど良い塩梅となります。というよりも熟練の職人が悉皆屋からの指示に基いて、蒸し、水元を経て、悉皆屋が思い描く理想の色に上がるように手加減をしてくれているのです。職人に感謝せずにはいられません。また水元で大きいことは糊糸目が無くなることです。これまで輪郭線としてくっきり反物に載っていた糊糸目が無くなると全く雰囲気が変わります。この蒸し水元が終わった時点で判断をして、その後、仕上げや金彩、刺繍の職人さんにより品物が美しくなるように仕事を頼むのです。

京ごふく二十八ではモチ米や糠を用いた糊糸目ですから、水元では地下水を使用しますが、現在の手描き京友禅90〜95%(個人的な推測値です)はゴム糸目が用いられており、揮発洗いをされます。石油系溶剤で洗いますので、色落ちが大きく、また塩瀬の生地などはくたくたになってしまうと聞きますが、それも悉皆屋の好みです。当然色落ち分も手加減して染めますから問題はないはずです。

モチ米などを炊いて作る糊糸目は管理が大変なので使用する職人さんも激減しています。また糊糸目とゴム糸目の目利きができて、その価値を消費者にきちんと伝えられる問屋、呉服屋がいないことが最大の原因といえるでしょう。

 

水元の取材は難しいものです。作業自体は一日中行われていますので、風景としての取材は簡単なのですが、京ごふく二十八の商品を作業してもらうタイミングでの取材は非常に難しいのです。なぜならば、先に書きましたように糊をふやかせてその状況を見ながら作業をしますし、急ぎの仕事が入れば順番が前後したりというのは日常茶飯事。例えば私が職人さんと取材時間の約束をした場合、その時間に職人さんが京ごふく二十八の誂え品を作業しなければならなくなります。そうすると柔軟性のある段取りが組めずに、全体の効率が下がってしまうという事になりますから、私も中々お願いしづらいところなのです。作業に取り掛かる時に電話して欲しいと頼む事もできますが、職人さんの作業環境は水場ですから近場には電話も置いていません。また電話があったところで、優しく電話してくれるような職人さんでもありません(笑)。ヘンコ(偏屈)な職人さんほど、良い仕事をしてくれるのです。蒸し、水元をしてくれている職人さん達が大好きです!

そのようなわけで、柳桜の付下げ訪問着の写真が撮れた事は本当に貴重な事でした!私も難しい事を承知の上で、無理を言ってお願いした甲斐があったというものです!

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO