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御誂7-1 夏染帯(絽、流水にカエデ)

ただいま御誂えのご注文を頂いております夏の染帯です。

織物の夏帯などもご提案したのですが、どうしても季節感のある柄が良いとのご希望を頂きまして染帯で逸品を染め出しております。季節を限る柄、素材というのが一番の贅沢であり、粋な着姿に繋がると思います。

さて、まずは下絵のアタリ(ラフスケッチ)から。

夏のカエデ(もみじ)は、秋に比べて葉がビッシリと茂っています。また何となく葉の向きも秋とは少し異なります。これをアタリでは表現していますが、御誂主様からのご希望で、もう少し葉の形が見えるように描いてほしいとのことでしたので、次の本下絵ではそれを踏まえています。

また前柄は一度、お太鼓と同じような柄で描いたのですが、

御誂主様からこうした茂ったカエデではなく、帯締めをメインにしたコーディネートにされたいとの御希望を頂きまして流水にカエデを散らした図案にしました。もちろん夏はまだ葉は散りませんので、流水にカエデというのは秋の紅葉した葉との組み合わせが一般的ですが、これをご理解の上でお好みとして染めているので素晴らしいことだと思います。むしろ無難な既成品では作れない、御誂えならではの素敵な試みだと言えるでしょう。

 

この染帯の上品な仕上がりを見た方が、今のようなところまで思いが及ぶかは分かりませんが、分かる人にだけ分かるということで良いのです。

 

同じように、もうひとつこの下絵の段階で、普通の方が気付きにくい、おそらく呉服屋でも気付かない手間を掛けた部分があります。

 

それは何かと言うと、「カエデの輪郭」です。

遠目には分かりにくいですが、カエデの輪郭部の線がギザギザとなっています。実際のカエデはこの図案のようにギザギザがついているのです。ところが、着物や帯になっているカエデ、モミジの図案を見ますと見事なまでに大抵の図案は単なる曲線で構成されています。もちろんケース・バイ・ケースで、単純化されたモミジもあって然るべきですが、多くの場合は下絵や糊置きの手間を省くために単なる曲線としている場合が多いように見受けます。

実際どれだけ印象が変わるのかと思われるでしょうけれども、御誂主様の着姿を周囲の方がちょっと遠目に見た時になぜだか柔らかい曲線に見えるわけです。もしかすると境界線が曖昧でぼかしているように見えるかも知れません。こうした細部の手間が、上物の格別な味わいと言えるでしょう。

 

なんてことを考えながら京都の街を歩いていましたら、大原女の人形が飾ってありました。

拡大すると、、、

しっかりとギザギザを付けています!ちょっと昔の職人さんが作った人形でしょうか。細部まで手を掛けて制作してありますね。

自分がこんな御誂えをしていないと、中々こんなことには気付けません。

 

さらには3歳の息子が葉っぱを採って、公園の池に浮かべて遊んでいました。これはあの染帯!!と思って写真を撮りました。

 

この2ヶ月ほどお仕事をたくさん頂きすぎて、ブログを全く更新できなかったのですが、いつでもこうした御誂えを承っているお品物は頭から離れません。まだ皆さん、この図案からどれだけ素敵な品物ができるか想像するのは難しいでしょうけれども、素晴らしい品物になることを楽しみにしてくださればと思います。いつも有難うございます!

 

 

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO