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御誂8-1 染帯(香袋に扇と紐)

皆さん、いつも有難うございます!

袷の季節に向けて大変素敵な染帯を承っております。袷の時季にお使い頂ける染帯で、地色は萌黄色、香木を入れておく香袋をメインとして扇と紐を染め出します。御誂主様が茶道をしてらっしゃる方であり、古典的正統派の柄行が大変マッチするお方ですので、地紙、貝桶、文箱、扇、御所解き、御所車、貝合わせなどは確実に着こなしてくださると思います。しかしながら、せっかくの御誂えですから既成品には選ばれない図案をお選びしまして、それが香袋です。香袋は茶道や香道をしてらっしゃるような方々でなければ目にする機会も少なかろうと思います。

こちらが香袋です。

 

まずは下絵のあたりです。

・お太鼓柄

・前柄

 

もう一枚図案をご提案申し上げましたのでお悩みくださいましたが、こちらの香袋にお決め頂きましたので本下絵に入ります。

・お太鼓柄

香袋がメインとなりますから花、割付の七宝などしっかり描き込んでいます。季節を問わずお使いになれますよう、香袋の中に秋の菊、扇の中に春の梅を配置しました。また紐をすっきりさせた点も下絵のあたりから変化しています。メインが香袋でそれに添える扇、さらに背景の一部としての紐ですからさらりと流しています。扇も茶道では必須アイテムですね。

 

・前柄

前柄は扇と紐で描いています。両方お締めになれるという着付け上手なお方ですから、片側はちょっと豪華に、片側はちょっとスッキリとさせています。

 

この下絵段階から完成をご想像いただくのは大変むずかしいものです。実際、今回のお品物はお茶のお稽古やあまり気張り過ぎないお出掛けにもお使いになりたいとのことですので、仕上げの刺繍は色糸のみで行う予定です。また金彩もサラッと入れるぐらいになりそうです。そうした仕上げのやり方次第で、お使いになるTPOが変わるのも御誂えの面白いところです。刺繍を金駒や、金糸まつい縫いで施して、金彩も重厚にするとフォーマル度はグッと高まります。

 

素敵な御誂主様から、「染帯の色、図案とも、原さんにお任せで!」と言って頂くとこんな嬉しいことはなくベストを尽くします。職人たちが京友禅業界きっての実力派ですし、御誂主様のご意向を私から職人に伝え、ご想像を超える逸品に仕上げてお喜び頂けることに全力で取り組みますので、楽しみにお待ち頂けましたら幸いです。

 

さて、御誂えの面白さを味わって頂くには様々なオーダー方法が御座います。今回のご注文を頂いたことをきっかけに、最近感じていたことを皆様にお伝え申し上げます。

1.今回の香袋染帯のように「原さんに色柄ともお任せで!」と言って頂く方法。

 私としては一番頭を悩ませながらも、お似合いになる色柄をご提案する楽しいお仕事です。御誂主様もご自身の理想とするイメージがカッチリとおありではないところからのスタートですから、染め上がった時の驚きを伴う感動が楽しめます。また初めてご注文くださる方は、皆さん揃ってご想像をはるかに超える、既成品では見たことがないような素晴らしい染め上がりに大変喜んでくださっています。

 

2.御自身で、「こんな着物、帯がほしい!」と明確に御指示いただく方法。

 よく一般的な店で販売員が指導されることに、

【お客様が「地色は水色で、小さい貝桶を散らした小紋が欲しい!欲を言えば縮緬地で!」なんて仰ってもそういう商品は99%店頭にあることはない。だからこそ、そのお客様のニーズ、お好みに合う商品を店頭にある在庫の中から探してご満足頂けるように。またもしその中でどうしてもなければ、問屋さんに探してもらうこと】

という指導内容があります。とてもきちんとしたお店での指導と思います。全てのお客様の全ての使い勝手に応じた出来る限りの品揃えをしてはいるが、お客様の頭の中に具体的過ぎるイメージをお持ちの場合は当然ながらそんな商品が存在することはほぼありえない。だからこそ本来お客様がお持ちのニーズやお好みを汲み取って上手にご満足頂けるように接客するということです。

一般的な呉服屋視点で申し上げますと、お客様の頭の中に、絶対にこんな商品が欲しい!というイメージが強くある場合、お買い上げ頂くことはとても難しくなります。パーソナルカラー診断を受けておられて、「私に似合う色は絶対にこの色!だからこの色の着物が欲しい!」という場合も同様です。

加えまして、着物をオススメする場合には下記のような要素を満たして行かなければなりません。

・TPO:お召しになる場所、お立場

・地味派手:お納めから長くお使い頂けるお品物選びを喜ばれることが多いです。

・柄のお好み:古典で正統派か、シックモダンか、粋か。

・色のお好み:色のお好みには思い入れなども含まれますから伺ってみないと分かりません。

・お顔映り:色のお好みと違って、お似合いになるかということです。

・品質:せっかく上記を全て満たしても、商品の品質がそこそこという時には力強くオススメできません。

・価格:以上を満たしながら、こなれたお利口価格であれば絶対にお求め頂いておきたいものです。

 

そんなことを言い始めて、30代向け貝桶柄の訪問着をピンク、水色、クリーム色、40代向け扇柄の付下げをピンク、水色、クリーム色なんてやり始めるときりがないこととなってしまいます。全てのニーズに対応するような品揃えをするとおそらく10億円分ぐらいの商品が必要になってしまうことでしょう。

ですから、明確にこんな商品が欲しいという方にこそ、御誂えというチョイスをして頂ければ大変喜んで頂けると考えます。概略の方向性だけご一緒に決めて、後はお任せ頂くというパターンもできれば、染める各工程でその都度細かくご報告しながらご一緒に作り上げていくというパターンも可能です。

 

 

ちょっと長くなってしまいましたが、御誂えという現代呉服屋があまり取り扱わない部分を得意とする京ごふく二十八をご利用頂くわけですから、是非ともご自身にとって最高のご満足に繋がるご注文をくださいましたら幸甚です。

 

個人的見解ですが、最近の染帯は軽い物や、染め味が物足りなかったり、刺繍も少ない品物が多いですけれども、今回の香袋染帯は非常に味わい深い京友禅の真骨頂を味わえる一本に仕上がることと思います。糊糸目、上品な挿し友禅、刺繍も多めに施します。

最高の染め上がりで、御誂主様を喜ばせて差し上げたいと思います。

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

職人の後継者育成を目指し、2014年に京都で二十八を創業。京職人とのネットワーク、お客様とのコミュニケーションを通じて、世界でただ一つの着物をプロデュースできることが強み。 日々、呉服業界のグランドデザインを変えて行くために、京都、東京を中心に仕事をしています。

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原巨樹(はらなおき)

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京都でベンチャーの高級呉服店を経営。1980年生まれ、元海上自衛官。

Photo by HAL HOSHINO