川島織物 展示会へ
8月6日に京都へ引っ越しましたが、その後出張などが続き、ようやくこの2~3日で京都に落ち着きました。
と言いつつ、本日は名古屋に出張です。まだまだ荷物の整理や家財揃えが必要なこの頃です。
さて、本題としては先日室町で行われました問屋さんの合同展示会に忍びでお伺い。各高級問屋さんが集まる会でしたが、私としましては川島織物を目指して拝見。なにしろ私が呉服業界に入る以前からご指導頂いている先生からのご紹介でしたので。弊社での取り扱いはないのですが、織物、呉服についてご指導を頂き、大変お世話になっている川島織物のOBの方がいらっしゃいますので、みなさまにもご報告です。
川島織物と言えば、着物ファンなら誰しも一度は名前を聞いたことがある老舗機屋さん。川島織物にならび一般の着物ファンに浸透している機屋さんをもうひとつ挙げるとすれば龍村美術織物さんでしょうか。どちらの知名度もデパートでオープンに販売されている事、美しいキモノなどきちんとした着物雑誌に長年掲載され続けている事、そして何より創業以来、真摯なモノづくりを真面目に続けていらっしゃる事がその知名度に大きく貢献している事は間違いありません。
さて、個人的見解ですが、川島織物さんの作風を一言で表すならば
「上品」
の一言に尽きるでしょう。また龍村美術織物さんを一言にすると、
「大胆」
だと思います。
例え同じ着想で、同じ図案をもとにして帯を作ったとしても、作品が持つ雰囲気は全く異なるでしょう。
何を作っても大胆さが現れる龍村美術織物さん。何を作っても上品に仕上がる川島織物さん。
今回、川島織物さんの帯の写真は掲載できませんが、是非これから同社の帯をご覧になる時は、「上品」をキーワードに見てみてくださいませ。
なお、展示会で拝見した帯の中には、ジャガードが900口(くち)、で経糸が5400本という商品がありました。通常のジャガードが400口の物が多いですからその細かさたるや素晴らしいものです。ジャガード、口、と言ってもお分かりになりにくいとは思うのですが、織物の世界は分かりやすく言うとデジタルなのです。ですからデジカメの画素数と一緒で、画素数が1200画素と500画素では、1200画素の方がキレイな写真が撮れるのと同じことです。
もちろんそのように細かくなれば、織りの設計から製織も大変になるのですが、その効果たるや、上品を信条とする川島織物の帯に、「静かなる迫力」を加えていまして中々に素晴らしい一筋に織り上がっていました。
http://www.kawashimaselkon.co.jp/ja/festa/maturiorimono/monori.htm
京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。
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