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御誂11-1 色無地(萌黄色、唐草地紋、抜き紋1)

2016/08/13

東京で大変ご活躍の佐藤敦子さまに、色無地のお誂えをご注文いただきました。佐藤さまにご了承いただいて皆様にご紹介申し上げます。

佐藤さまは児童福祉施設の理事長として各種式典に出られる他、たしなんでらっしゃる茶道においても今回の色無地をご活用されます。また後ほどご紹介しますが、お手持ちの袋帯が非常に素晴らしい品々で、こちらにコーディネートする前提で、白生地選びから、地色の選定まで全てを京ごふく二十八(ふたや)にお任せ頂きました。

必要な作業一覧は次の通り。ちょっと専門用語が並びますが、色無地であっても多くの工程があるのだなあと思って頂けましたら十分です。

検反 → 要尺の確認 → 湯のし → 墨打ち → 紋ゴム置き → 引き染め → 蒸し水元 → 紋ゴム落とし → 湯のし → 紋上絵描き → 撥水ガード → 仕立て

 

白生地の検反、要尺の確認が終わったら渋札(しぶふだ)を付けて、これからの工程に備えます。渋札は水や摩擦にも強いため、加工責任者(悉皆屋:京ごふく二十八)と商品名などが記されています。今回、おあつらえのご注文ですから、商品名に加えておあつらえ主様のお名前も。

この渋札により、反物を広げなくてもどこの悉皆屋の商品かすぐにわかるというメリットがあります。また悉皆屋としてはお誂え主様のお名前や商品名を記すことで、たくさんの反物を管理できます。京ごふく 二十八の渋札は、トゥールダルジャンの鴨のように、一つ一つ丁寧に管理している証とでも言いましょうか!笑

 

墨打ち(すみうち)は下の写真にある矢印のような印のことで、墨に見えますが、代用青花(だいようあおばな)という物を使っています。

墨打ちによって、身頃や袖、衽(おくみ)などの位置を指定します。通常、問屋さんなどの流通に流れる既製品の色無地を染めるだけならば墨打ちは必要ありませんが、今回は特定のお客様のおあつらえですから、紋ゴムを置いて紋の形に白く残すために墨打ちをしました。写真左上、丸くて中がハート型になっており、青黒く見えるのが紋ゴムです。今後の作業を見て頂けたら、紋ゴムの効果はよくお分かりになると思います。この後、染めて紋ゴムを落とすと、生地の元の白さで紋を染め抜くことができます。それゆえ抜き紋と呼びます。

代用青花はデンプンがヨウ素液に反応する現象を利用して作られているそうです。この後の工程で、水や熱によって消えてしまうのが代用青花、最大の特徴です。
 

左右の後ろ身頃に紋が入り、仕立て上げると二つが合わさって一つの家紋に見えます。右下の矢印は、衿肩あきの位置を示し、着物になると首付近にくる部分です。この衿肩あきから2寸5~6分、背中側に下がった位置に紋の天(てん:一番高いところ)が来ます。

 

紋ゴムは表からだけでなく、裏にも置きます。ちなみにこの紋ゴム、これを置くだけの専門の職人さんがいらっしゃいます。他の仕事はしていません。本当に紋ゴムを置くだけです。さすが超分業の京友禅の世界ですね。

京都市内、烏丸より西、四条付近でしょうか、その近辺を歩くと「紋糊」という看板を目にすることがありますが、これらが紋ゴム(紋糊)を置く専門の職人さんのお店です。

 

その後、引き染め屋に託して、地色を染めてもらいます。炊き染めという煮立った染料が入った釜で染める方法もありますが、上物屋は皆一律、引き染めをするのが京友禅の世界です。引き染めはツヤと深み、コクがある地色に染め上げることができます。

(この写真は以前撮ったものですが、引き染めは刷毛を使って染めます。)


 

今回使う白生地の地紋(生地に織り表された柄)は唐草です。

最初の染め上がりは下の写真の通りで、地色は萌黄色。実際はもう少し濃さとコクがある色に仕上がっています。

萌黄色は佐藤さまにご縁のある色目ですし、薄い色よりは中ぐらいの濃さがある方がお似合いになるかとお見受けしました。当初、茶色もお似合いになる色で、茶道にも、理事長としてお召しになる色にもピッタリと思ったのですが、少し華やかさに欠けるので、萌黄色を選択。この萌黄色でしたら、経営される児童福祉施設には、無垢の木が多用されている建物なので、その木目をバックにされても美しく映えることと考えました。お茶室も同じく木や土など自然素材が使われていますから、茶道においても上品さと趣味の良さをご演出頂けるものと思います。非常に良い色になっていますので、佐藤さまにご披露できる機会が楽しみです。

引き染めの時点で、すでに代用青花で描いた墨打ちの線は消えてしまっています。

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この後は写真のような工場で、染料を定着させるための「蒸し」、余分な染料を流水で流す「水元」の工程です。蒸し水元を行う前は生地がバリバリと固いのですが、この工程を終えると皆さんがご存知のようなふっくらした絹の風合いになっています。

 

その後は紋ゴムを落とす工程に進みますが、これ以降は次回に。全てをお任せされている分、私も染めていて責任重大ではありますが、非常に良い雰囲気に進んでいますので染め上がりが楽しみです!

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)

京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。

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