御誂9-2 単衣訪問着(菊柄)
御誂えだからこそ、刺繍により差別化を。
こちらの単衣訪問着には通常の約4倍量の刺繍が入っています。これ、私が頼んでいたよりも職人さんが多く入れてくれていました。
「御誂えなんだからこれぐらいしっかり入れた方が良いよ。」
とベテラン職人さんからのリコメンド。これは確かにその通りなので引き続きやって行きます。私も値段のことはあまり言いませんから、職人さん達は良いと思ったことをドンドンやってくださいます。
こうした訪問着であっても通常は菊の花を2つ刺繍するぐらいです。ところがこちらは上前に3つ、胸に1つ、出袖に1つ。しかも刺繍の刺し方が異なります。こちらも通常は駒縫いなどで簡単に目立たせる縫い方ですが、こちらは金糸によるまつい縫いでかき消し(フェイドアウトしていく感じです)、金糸の相良縫い、平糸(今回は白い糸)によるカスリで、技法を駆使しています。一般的には駒縫いなどでまとめてしまいますが、駒縫いは確かに簡単で目立つ縫い方です。しかしながらこちらの訪問着ほど上品に仕上げることはできません。
いかがでしょうか。キラっと光る刺繍で豪華さを演出しています。またちょっと分かりにくいですが、左奥にある菊の花は少し金の光り方がピカっとしています。これは金箔を輪郭にそって貼り付けた「箔ぐくり」。その他の部分とは技法が異なります。刺繍を施した菊のベースにもこの箔ぐくりがされています。
友禅染め、金彩加工、刺繍など複数の技法により奥行き感を出していますが、これらが実際に生きるのは実際にこの着物をお召し頂いて動きが加わった時です。日向に出たり、室内に入ったり、スポットライトを浴びたりと、ライティングが変わる事も絵画ではなく着物だからこそ表現される美しさですね。
なお、実際の色味はこちらの写真が実物に近かろうと思います。
◯上前
十分な柄のボリュームではないでしょうか。またそれでいて抜けがあってバランスも宜しいように思います。
菊だけの柄、こちらも近年少なくなっている柄行です。
京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。
あわせて読みたい記事
-
営業、ご予約について
新店舗オープンから、毎週土曜日をご予約無しの営業日としていましたが、昨今、とみにお誂えのご注文が増えまして、毎月1~3回ほど東京や名古屋へ出張をしております。 さようなことで、土曜日のご予約無し対応をやめていますが、お誂 […]
-
1月の営業日(2024年)
新年1月のオープン予定日は下記の通りです。 [営業日] 1/6(土)12~15時 ※短時間の営業となりますので、ご注意ください。 1/13(土)13~18時 1/27(土)13~18時 上記日 […]
-
12月の営業日(2023年)
いよいよ京ごふく二十八の新店舗がオープンしました。 12月のオープン予定日は下記の通りです。 [営業日] 12/9(土)10(日) 12/15(金)16(土) 12/22(金)23(土) 12/29(金)3 […]
人気の記事
-
誰でも一瞬で【付け下げと訪問着の違い】を見分けられる京都の秘伝!
すべて読むと【15分】 流し読みで【5分】 訪問着と付け下げの違いについて、実をいうと、プロの呉服屋でも矛盾なく説明できる人はほぼいません。 これを皆さんが本当に理解しておいてくだされば、それだけ無駄な買い […]
-
呉服店では怖くて聞けない【訪問着 値段の相場】プロが教えるここだけの話
訪問着の値段について、初めて着物を買おうと思われる皆さんは「相場っていくらぐらいなのだろう?」と迷われる方は多くいることでしょう。 ズバッと「いくらぐらいの訪問着を買ってください!」と言えれば良いのですが、着物に対する価 […]
-
【リオ】小池百合子 東京都知事の着物を賞賛すべき8つの理由。
リオ閉会式における小池都知事の着付けや、立居振舞について、ネット上で多くの批判が並んでいる様子を見て非常に驚きました。なぜならば小池百合子さんのお着物姿、完璧と言って良いぐらいの着物選び、コーディネートだったからです。 […]