お手入れ:留袖 若松柄 ~その3~
先日来進めております留袖のお手入れについて続きです。
40〜50年以上前のお品物ですから、流石に金箔を接着していた糊も弱っています。今回新たに金括りをしますが、以前の金括りやその糊が残っている状態のまま、上からまた金括りを施しても、そのうち剥がれてしまうことが予想されますので写真のように金括りを可能な限り全て剥がしてしまいます。生地の凹凸に入り込んでいて全く剥がれる気配が無いものはそのまま残しておいて大丈夫です。なぜならばまだ糊の接着力が生きているので剥がす必要もありません。
今回は以前の金括りを剥がすビフォー・アフターの写真です。
白い若松の輪郭部の金がほぼ無くなっている事が御覧いただけると思います。
ちなみにこの作業、私、原がやりました。全ての金加工を取り切るのに4時間ほど掛かりましたが、これを職人さんに頼んでしまうと相当な手間賃になってしまいます。職人の仕事は当然ながら技術料(作業する技術レベルに応じた支払い)の部分も大きいですが、同様にどのぐらい時間を要する作業であったかという時給の面もあります。そのため、今回もあまり高額にならないように私の空き時間を利用して作業しております。単に剥がすだけの作業ですから技術はほぼ必要ありません。
京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。
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