【青花紙】のご紹介
本日は、京都新聞に掲載されていました「青花紙、担い手育成」に関する記事を、ご紹介します。
まず青花紙(あおばながみ)についてご説明しますと、青花紙とは原料となるアオバナ(オオボウシバナ)の色素を染みこませた和紙のことです。花の絞り汁から得られる青い液を美濃紙に塗り天日で乾かす、という工程を70〜80回繰り返すことで、青花紙は、実に元の紙の4倍もの重さになるそうです。
そして、この青花紙を水に溶かしてできる薄青色の絵の具が、友禅染めの下絵付けに用いられています。
青花紙から浸出した液で描いた線は、水で洗い流すことができるため、友禅染めの下絵を描くのに適しているのです。二十八がお願いしている下絵職人も、これを使用しております。
京都新聞では、生産元の現状と、この後継者育成に向けた取り組みが紹介されていました。
(以下、京都新聞web版「友禅染に利用「青花紙」担い手育成 滋賀、原料栽培も」2018/4/2 引用)
滋賀県草津市では、最盛期の大正時代に約500軒がアオバナを生産し、市の花にも指定されているが、和装業界の低迷や化学染料の普及もあり生産者が激減。現在はわずか3軒となり、高齢化も進んでいる。
そこで、後継者育成のため、「草津あおばな会」と草津市は5月から講座を開く予定。
アオバナの栽培法を学ぶコースと青花紙の加工までを学ぶコースがあり、夏には中川正雄さん(87)の畑で花を摘む。指導役にもなる中川さんは「経験してきたことを伝えたい」と意気込む。一方で「買い手がないと続けたくても続かないのが現実」と言い、市も「青花紙の他の需要を考えていく必要がある」と将来を見据える。事前説明会は4日と15日午後1時半から草津宿街道交流館(草津3丁目)で。
問い合わせは同館077(567)0030。
工芸品は製品そのものの売れ行きが小さくなっているわけですから、製品を生み出すための道具や材料の生産にいたっては今後が危惧されます。青花紙の生産も継続がむずかしい職種の一つです。
私はどこかの小洒落た文具メーカーなどが、「水に流せるインクを使ったペン」として売り出してくれればと思っています。「フラれるかもしれないラブレター」、「結びたくない契約」には是非このペンを!というキャッチなんて面白いなと。
着物を作る過程には、痕跡の残らない仕事というのは多々ありますが、そこにも職人の技が光っています。
京友禅や西陣織の価値を認識していただくことは二十八の役割の一つだと考えます。
皆さまにもそこまで含めてお着物を楽しんでいただけたら嬉しいことです。
京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。
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