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着物購入のポイントColumn

絶対に失敗しない【訪問着の購入法!】

小紋や付け下げに比べると訪問着は高価なお買い物。お店によりますが、訪問着は70万円ぐらいから300万円、それ以上の商品まであります。頻繁に購入するような着物ではないだけに、ご購入を検討している人は「絶対に失敗したくない」というお気持ちでしょう。

ただ、何を判断基準にして購入すれば良いのか悩まれるのではないかと思います。今回書く内容は呉服業界が長い人ほど気づきにくい内容ですが、きっとこれから訪問着を買おうという方には有意義な情報となるでしょう。さらには誰も知らないとっておきの秘策までお伝えしたいと思います。

訪問着購入で絶対に失敗しないために

訪問着の購入に失敗したらどうなるか?

訪問着の購入に失敗するというのはどういう状態かと言えば、

・期待しているよりも低い品質の訪問着を、割高な価格で買ってしまった。

・自分のTPOにマッチしていない訪問着だった。

・帯や小物を含めると予算オーバーだった。

・せっかく高いお金を出したのに、愛することもできず最終的にあまり着なくなってしまう。

訪問着の購入に成功した状態とは?

続いて訪問着の購入に成功した状態はどんなものかと言えば、以下の全てを満たした場合だと思います。

・自分の着物ライフにマッチした訪問着を買った。

・センスの良い帯や小物まで含めて予算内で収まった。

・長年にわたって満足できる高品質な訪問着を割安に買えた。

・購入した訪問着を長年にわたり、ずっと愛し続けられている。

 

 

訪問着購入を成功させるために

成功法則1. あなたの着物ライフにマッチした着物を

自分の着物ライフスタイルにマッチした訪問着でなければ結局使わないわけですから、購入する意味がありません。一口に訪問着といっても様々な物があるので、自分が使う機会がある訪問着を選ぶことが大切です。

どのような訪問着が必要か

一口に訪問着と言っても、柄がたくさん入っている豪華な訪問着もあれば、ちょっと控えめながら格調高い訪問着もあります。

豪華な訪問着はパーティやレセプション、きちんとした結婚式では華やいでふさわしいものでしょう。控えめな訪問着だと帯合わせによって格を変化させられて、茶道をしている方や、お子さんがいるお母様にとっては使い勝手も良いかと思います。

お手持ちにどんな着物があるか

訪問着購入の前に、お手持ちの着物を確認しておくことも大切です。ご自分のお手持ちだけでなく、お母様やご親戚に相談すれば色々な着物が手に入るケースは多いものです。新たに買われるとしたら、すでにお手持ちの着物とTPOや色・柄が重ならないような訪問着を選んだ方がお着物ライフは豊かになります。

どのような着物を訪問着と考えているか

そもそものお話になってしまいますが、皆さんがどのような着物を訪問着と認識されているかも大切です。

一般の呉服屋、業界人は絵羽(えば)と言って「着物の形に仮縫いして売られているフォーマルな着物」を訪問着と呼び、「反物で販売されているフォーマルな着物」を付け下げと呼びます。さらに付け下げの中で訪問着のように柄付けされている商品を「付け下げ訪問着」と呼ぶお店も多くあります。

参考記事:決定版!【訪問着と付け下げの違い】を見分ける唯一のコツ

それに対して京ごふく二十八では仕立て上がった状態で「柄が豪華なフォーマル着物」を訪問着と呼んでおり、販売時点で「絵羽なのか反物なのかは関係ない」と考えています。訪問着を着用する皆さんは仕立て上がった状態で着用するわけですから、着物が仕立て上がった状態での柄の量と豪華さがフォーマル度合いを決めると考えるからです。

訪問着の柄の量と豪華さ

それでは絵羽と反物のような商品は全て同じような柄かと言えば、やはりそれは違います。絵羽の中には全面に柄が描かれているなど、盛装にぴったりの豪華な着物があるからです。比較すれば付け下げとして販売されている反物には、そこまで豪華な着物は多くないでしょう。

しかし、実際に着用した時にそこまでたくさんの柄が必要かと言えば疑問を感じるケースも多々あります。豪華な訪問着は帯の下に隠れるような部分まで柄がたくさんあり、店頭でディスプレイされている時には確かに見栄えもするのですが、実際着用すると帯に隠れるような部分に柄は必要ありません。またおはしょり辺りに柄がびっしりあると着た時に帯の柄と喧嘩をしてあまり良いなと思えません。上半身から裾へかけての流れを生かした図案でもない限りは、帯を締める付近は無地でちょうど良いのです。

成功法則2.せめて帯の購入を視野に入れて選ぶ

実際、訪問着を購入しようと思われる方も、販売する呉服店側も忘れがちなのですが、帯のコーディネートをどのようにするかが非常に重要です。

帯による格の変化で着こなす

二十八では、訪問着にある程度の柄の分量が染められていれば、あとは帯次第で格調を変化させる装い方が一番良いと考えています。

また若い頃にはちょっと派手めの帯を、将来的には落ち着いた帯を締めることで、長く着られるということも訪問着にとって重要な要素だと思います。とりわけ着物ビギナーの方々にとってはそうです。

もちろん着物巧者の方は、TPOに合わせてサラッとした控えめの訪問着から、盛装にふさわしい豪華な訪問着までお持ちになるのも良いでしょう。

帯締め・帯揚げなどの小物は後からでも

長襦袢をはじめ、帯締め、帯揚げ、草履やバッグなど小物にいたるまで、本来はコーディネートにとって大切なことなのですが、ひとまずあり合わせの品物でも良いかと思います。理由としては訪問着や帯に比べると予算面での割合が小さく、帯締めを除けばコーディネートにおける重要度も下がるからです。

成功法則3. 訪問着と袋帯の予算配分

二十八では京友禅で作るオーダーメイドを一番の売りにしているのですが、それでも訪問着に多大なる予算を掛けるよりも、最後はしっかりと西陣織の袋帯に予算を掛けてもらいたいと考えています。理由はシンプルですが、より素晴らしいコーディネートをして頂くためです。

分業である京友禅の中で最も豪華さを演出できる技法は刺繍であり、その次に金彩だと思いますが、めちゃくちゃ頑張って刺繍や金彩を入れたつもりでも最後に豪華な西陣織の帯を締めたら、着物の豪華な刺繍でもほとんど目立ちません。そもそも着物と帯は競うものではなく、京友禅の訪問着と西陣織の袋帯は引き立てあうためのものなのです。

袋帯の価格帯

一般的なデパートや呉服店でも、きちんと選べば品質も良く見栄えのする20~50万円ぐらいの袋帯がありますし、100万円ぐらいのご予算を見たら最高級の袋帯がお求めになれます。私は盡政(じんせい)という機屋の帯が好きなので、100万円と書いているのはそのぐらいのご予算を用意すれば、一般の呉服店でも盡政の唐錦袋帯がお買い求めになれるだろうからです。


盡政袋帯

訪問着の価格帯

正直デパートで売られている訪問着だと、私が見て良いなと思える品質のものは200万円以上、300万円ぐらいまでの品物です。もっと上の400万円とか500万円は品質以外の価値の部分なので、よほどの理由がなければそこまでのご予算は必要無いと思います。もちろん150万円ぐらいでも十分ですし、型染めの40万円ぐらいの訪問着でも十分立派な着物ですが、「長い目で見て品質が良い品物は?」と私が尋ねられたら上記の通りお答えします。一般の呉服店では150万円ぐらいでも優良な品物を結構見かけますが、値付けはお店によって様々です。

訪問着と袋帯、予算のやりくりを上手に

帯締め、帯揚げなど小物はせいぜい数万円ですが、帯はやはり予算が大きくなるので、訪問着と共にしっかり計画するべきです。例えるなら自宅を購入するにあたっての家と土地の関係に似ているかも知れません。家の設計にばかり夢を膨らませていたけど、土地の予算がなかったというのでは良い購入にならないはずです。

それと同様に、訪問着がどんなに立派でも、あり合わせの帯を締めたのでは本当にもったいないなと思う呉服屋は私だけではありません。画竜点睛を欠くとはまさにこのことで、良い訪問着の着こなしたいと思ったら良い袋帯を締めることは必須です。

ここで成功法則1.が生きてくるのですが、ご予算が訪問着と袋帯を購入するほど十分になかったとしても、お手持ちに良い帯があればそれをコーディネートする前提で訪問着をお探しになれば良いでしょう。またもしお手持ちに訪問着となれる着物があるならば、袋帯の購入に予算を掛けた方が良いのかも知れません。

そして訪問着と袋帯、私がお薦めする良い品物を購入すると250~400万円の予算が必要になってしまいますが、今回はとっておきの秘策でリーズナブルに購入する方法を後ほどご紹介したいと思います。

成功法則3.長い年月が経っても飽きが来ない高品質の訪問着であること

よく耳にする話ですが、着物ビギナーの頃に買った着物について「どうしてあんな着物を買ってしまったんだろう?」ということをよく聞きます。ビギナーの頃は呉服店で着物を買うというだけで高揚感があったでしょうし、色やデザインの好みだけで選ぶ傾向にあるため、長い目で見て本当に良い物を買うことができないケースは多々あります。それでも5年、10年と見てくれば目は肥えてくるもの。

目が利くようになっても飽きない着物を

私も呉服屋になった最初は品質の良し悪しがそこまで分からなかったのですが、それでも面白いもので技術的に簡単な染めの小紋などは1週間も眺めていると飽きるのですが、手描き友禅の良いものは何ヶ月見ていても飽きが来ないのです。そして呉服屋として目が肥えてくると、軽い染めの反物なんかは10センチぐらい広げただけでもう飽きます。もっと言えば反物を広げる前から何となく期待が失せているのです。20代後半から3年呉服屋をやったぐらいで、このぐらいの感覚になるのですから、皆さんが初心者の頃に買った着物に飽きが来るというのは当然のことです。

だからこそ二十八としては、何十年と経っても魅力が色あせないような着物をビギナーの頃から購入してほしいと思います。そのために必要なことは、京都の呉服店で買うことでも、高級デパートで購入することでもありません。「腕の良い職人が作っているかどうか」が全てです。

ただ、腕の良い職人が作っているかどうかということが、一般のユーザーさんにとっては見抜くのがかなり難しいことというのはよく分かります。そこでご参考になる指針をお伝えしたいと思います。

京友禅の技法について

京友禅(友禅染め)の品質について考える時、大切なポイントはいくつもあります。生地の良さ、下絵の上手さ、挿し友禅の色合い・ぼかし、地色の深みと透明感・ぼかしの上手さ、金彩の上品さ、刺繍の豪華さなど、二十八にとってはどれも外せないポイントです。

しかし、これら全て満たす商品を皆さんが店頭で探し出すのは、該当する商品も極めて少ないでしょうし、目利きができなければいけませんので至難の技。そこで最低限これを守れたら、付随してその他もそれなりのレベルにあるというポイントをご紹介します。

それが「糸目を見る」という方法です。糸目とは友禅染めの基本で、生地に柄を染める場合の柄の輪郭線になるものです。例えば花を染める場合は花の形に糊を置きます。その糊を染料の防波堤として地色と柄の色を染め分けるのです。

その糸目を置く方法は大きく2種類ありまして、「手糸目(ていとめ)」と「型糸目」です。

手糸目は筒に入れた糊を手で置いていきます。さらにその中でも化学材料を使った「ゴム糸目」と、モチ米などを主成分とした「糊糸目(のりいとめ)」という2種類に分かれます。

型糸目はご想像の通り、型を使ってごく短時間で複雑な糸目を置くことが可能です。たくさんの柄を手糸目で置くと高価になってしまうために開発された技法です。


青い線がゴム糸目 / 赤と黒の線が糊糸目(モチ米)

 

品質「優」:モチ米の糊糸目

京ごふく二十八では、このモチ米を使った糊糸目の友禅染めがもっとも味わい深いと考えているので、全ての商品を糊糸目で作っています。モチ米の糊糸目以外はダメとまで思っているわけではないのですが、糊糸目の商品を染めている悉皆屋や職人達はゴム糸目よりも糊糸目の方が良いと口を揃えて言います。

染めた後に残る輪郭がゴム糸目はカチッとした白い線になりますが、糊糸目はモチ米だけに少し溶けて柔らかい線になるのが特徴です。また色味もゴムは青っぽい輪郭線になってしまうので、柄の色も引っ張られてなんとなく青っぽく見えます。輪郭線を全て金彩や刺繍で隠してしまったら関係ないと思われるのですが、金彩でくくっても、やはりゴム糸目よりも糊糸目の方が柔らかく優しい仕上がりなのです。

糊糸目はモチ米なので水洗いだけで流せますが、ゴム糸目は揮発系の溶剤で洗わないければならず、それによって色が冷める上、生地が少し痩せてしまうという話もよく聞きます。

輪郭線として使う場合はまだしも、糸目の線を白く残すような技法の場合、それも濃い地色の場合にはその差は歴然たるものがあります。

製法上もゴム糸目より糊糸目の方が手間や難しさはあります。ゴムは材料屋さんで買えばすぐ使えますが、糊糸目は工房でモチ米を半日も煮炊きするところから始まります。糊置き作業でもゴムに比べてモチ米の糊はかたいので、絞り出す作業に少し力が必要です。

ただ、その割にはゴムとモチ米で価格差はほとんど無いので、私は糊糸目が良いと考えています。この糊糸目の訪問着であれば、何年経っても、何十年経っても、染めそのものに味わいがあるので長く皆さんの眼を満足させられることは間違いありません。

品質「良」:ゴム糸目

ゴムの糸目でも手描き友禅で染めると十分に良い品物と言って良いでしょう。手糸目で作られるような商品には、糸目以外の工程にも手描きの職人が名を連ねて作っているからです。もちろんゴム糸目でも優れた職人が作っている商品は多々ありますが、ゴムの場合、海外で作っているような商品まであって裾野が広いのも事実なので、その点で私は糊糸目と少し差をつけました。

品質「良」:型糸目に手挿し友禅

輪郭線を型で置いた型糸目に、柄の中を手で染める手挿し友禅を併用したものも良いと考えます。代表的なのは吉澤織物さんの友禅です。手で置いたゴム糸目と比べたらもちろん差はあるのですが、柄の中を手挿しで染めている場合には、全体の雰囲気はあまり変わらないので、「良」としました。手でぼかし染めをやっているとかなり良い雰囲気であり、十分良質な商品だと思います。

手で置いたゴム糸目の訪問着には200~300万円、作家さんの訪問着だと500~1000万円というものもあることに対し、型糸目の手挿し友禅ならそんな染めの味わいの差は大きく無い上に、40~50万円で購入できるので、コストパフォーマンスが優れていると思います。

私がお薦めするのはやはり「良」以上の品質の訪問着です。そして何十年と手元に置いて愛することができるのは、「優」のモチ米の糊糸目で作られた訪問着だと思います。

成功法則4. 【秘策】割安な買い物であること

どんなに高品質な訪問着が手に入ったといっても、相場より高く買ってしまっては成功とは言えないでしょう。先ほど一般的な呉服店やデパートで優良な訪問着を購入すると150~300万円すると書きました。これではあまりに高過ぎると思われる方も当然いらっしゃると思います。

そこで今回、他では私も聞いたことがないのですが、そうした高額な訪問着と同等の着物を購入する【秘策】をご紹介したいと思います。

秘策1. 訪問着(絵羽)ではなく付け下げ(反物)から探す

先ほど述べた通り、呉服屋は絵羽で売っているものを訪問着、反物で売っている商品を付け下げと呼んでいます。しかしながら、実際ユーザーの方が使う場面では仕立て上がっているために、絵羽か反物かは関係なく、その着物が「豪華な柄か・控えめな柄か」ということが訪問着か付け下げかを見分ける基準です。

そうなると付け下げとされている反物の中にも、訪問着と変わらない豪華な柄がデザインされた商品があるのです。ちなみにこうした商品を一部の呉服店では付け下げ訪問着と呼んでいるので、「付け下げ訪問着はありますか?」と尋ねるのが早いかと思います。この付け下げ訪問着から探すことが割安な買い物に繋がる秘訣です。

理由は簡単で、絵羽で売られている着物は価格が割高に設定されているからです。これは追って説明します。

秘策2. 糊糸目の訪問着(付け下げ)を選ぶ

付け下げの中で豪華な柄付けがされている訪問着において、モチ米を使った糊糸目の商品を選ぶことが重要なポイントです。こうした訪問着を購入しておけば、ビギナーのうちはともかく、目が肥えて来てからも必ずあなたを満足させ続けてくれるからです。

念のために書いておくと、絵羽の訪問着を染めている職人と、反物の付け下げを染めている職人にランク分けは一切ありません。最高の職人でも付け下げの反物を作っています。

秘策3. 同じ品質を価格で比べる

価格の高い安いは同品質の商品で比べないと判断できません。リーズナブルな買い物をするためには、「絵羽・反物という形態」、「呉服屋がそれぞれを訪問着・付け下げと呼んでいること」に惑わされず、単純に品質と価格だけを見なければなりません。そういう視点が持てれば、付け下げの中から豪華な訪問着を選ぶ方が絶対にコストパフォーマンスは高いのです。

絵羽の訪問着だと最低価格が70万円、上は300万円、500万円など天井知らずなのに対し、反物の付け下げでは40~50万円がボリュームゾーンで、最高価格でも80万円です。呉服業界では「絵羽はご祝儀価格」として割高な価格で通っています。なぜお客様がご祝儀を出すのか理由はよく分かりませんが。

糊糸目で作られた絵羽の訪問着は最低でも130~140万円ぐらいの販売価格です。さらに高い糊糸目の訪問着だと300~400万円というものもあります。それに対して付け下げの反物から選べば、仕立て上がったら訪問着と変わらないような着物が仕立て代も含めて60〜80万円で購入できます。それ以上の価格帯はほぼ存在しないと言えるでしょう。

つまり全くクオリティの変わらない訪問着が、付け下げ訪問着の中から選べば50〜100万円は安く買えるので、ものすごくお得です。

よく絵羽になっている訪問着は染める時に仮仕立てをしているから高いのだという話を聞かされます。実際、まず白生地(しろきじ:真っ白な状態の生地)を仮仕立てして、その上に絵を描きます。その後、解いて各パーツを繋ぎ直してまた反物にして染めてから、最後に仮縫いして絵羽の訪問着として販売されるわけです。結構な手間に聞こえるかもしれませんが、原価からすれば販売価格に転嫁されても数万円といったところが本来あるべき姿でしょう。

 

秘策4. 八掛(はっかけ)が付いている商品を選ぶ

八掛とは着物の裾まわりの裏地のことです。八掛の有る無しは、訪問着であるかどうかに関係ないのですが、絵羽の訪問着には八掛が付いているため、それを基準に訪問着かどうかを判断するという人も一定数存在します。

共八掛(ともはっかけ)の付け下げを選ぶ

それに対して付け下げは通常八掛は付いていないので、別の生地から選ばなければなりません。しかしながらごくわずかに共八掛(ともはっかけ)といって最初から表地と一緒に染められた八掛が付いている商品がありますので、共八掛の商品を選べばより訪問着に近い着物となります。

元が付け下げの反物であったとしても、表地が豪華なデザインで共八掛が付いていれば、仕立て上がった着物を見た呉服屋は99%「これは訪問着ですね」と言うはずです。

共八掛と糊糸目を選ぶなら

ただ、皆さんにとって残念なことながら、共八掛の付け下げは全体の中でもおそらく1〜2%しか存在していないので、さらにそれを糊糸目で絞るとなると本当に数が少なくなります。

そこで悩まれて、八掛か糊糸目かを選ぶならば、糊糸目を選んでください。共八掛よりも糊糸目の方が断然価値はあります。どうしても共八掛が良いという場合は、反物を選んでから八掛を表地と同じ生地で染めるように頼めば染めてもらえます。もしかすると呉服屋はそんなことはできないと思って、とりあえず断るかもしれませんが、悉皆屋なら絶対にできますので頼んでみてください。ただ、難点は地色が全く同じには染まらないので、その点だけは納得しておいた方が良いでしょう。だからこそ最初から一緒に染めておけば良いのにと思うのですが。

八掛を別注しても、価格はそんなめちゃくちゃ高くなるようなことはありません。高くてもせいぜい5万円までかなと思いますが、必ず見積もりを頼んでください。

 

秘策5. 問屋や悉皆屋(しっかいや)を指定する

正直、呉服店で「糊糸目の付け下げ訪問着を見せてください」と言っても、全ての商品の製造過程を自分で目の当たりにして管理できている呉服店は1000に1つもありません。それどころかつい最近耳にした話で、京都のきちんとした呉服店で「うちの商品は全て糊糸目です」と言っていたという話を聞きました。しかしその店には型糸目からゴム糸目の訪問着まで置いてありますし、それを聞かされた人はたまたま居合わせた年配の男性職人さんで、しかもその職人さんがゴム糸目で作った商品が陳列されていたそうです。

その事実を聞いて名前の通った店だけに私は愕然としましたが、一般ユーザーの方が呉服店の店員に自信満々に言われたら信じるしかないだろうなと感じました。

そう考えるともう少し確実に糊糸目の商品を見る方法は、糊糸目にこだわっている問屋や悉皆屋(個人規模の京友禅メーカー)を指定して呉服店え見せてもらう方法だと思います。一般の呉服店も一つ一つの商品というよりも、そうした問屋や悉皆屋のネームバリューを信じて商品を扱っています。

糊糸目専門の「問屋」さん

糊糸目専門の問屋で例を挙げると、『一の橋』さん、『京正(きょうしょう)』さんあたりがよくお名前を聞きます。問屋はさすがに呉服店よりは製法を知った上で仕入れているのでまだ信頼できます。他にも糊糸目を扱っている問屋さんは多数あるのですが、糊糸目専門という所はあまりありません。

糊糸目専門の「悉皆屋」さん

悉皆屋の中では『安田』さん、『きもの作り京都こさか』さん、『花也』さんは糊糸目専門としてお名前がよく出ます。この辺りは東京都青梅市の白木屋呉服店さんのブログに詳しくでています。ゴム糸目と糊糸目を併用している悉皆屋さんとなると、もっと数は増えます。

さらには悉皆屋と直接話す機会がおありでしたら糊糸目のことは確実にわかっているので、その商品も信頼をして良いと思います。悉皆屋は自社商品の製法などについて絶対に嘘をつかないと思います。本当に知っていると嘘をつきようがないのです。

こうした問屋さん、悉皆屋さんに連絡をして、お住まいの地域で取り扱っている呉服店を紹介してもらうのも確かな方法です。

成功法則5. ネットで糊糸目を画像検索

そうは言ってもいきなり呉服店で「糊糸目の商品を見せてください」というのはハードルが高いと思いますので、まずはネットで画像検索をしてみてはいかがでしょうか。

上記問屋さん、悉皆屋さんの名称や、「糊糸目」というキーワードで画像検索して出てくる友禅染めを眺めれば、どれもそれなり以上の品質ということがご理解いただけると思います。「真糊糸目」と称しているところもあります。「糸目糊」と「糊糸目」はよく似ていますが、意味合いが異なります。糸目糊は糊そのもの、もしくは輪郭線を指したもので「糊糸目(モチ米)・ゴム糸目」を含んだ総称なので検索の時にはご注意ください。

『トキハ商事』さんは問屋さんですが、FacebookやInstagramで写真をよく出していて、それも#真糊糸目(モチ米)と#手糸目というハッシュタグでわかりやすく見られます。#手糸目となっているのはゴム糸目ながら手で糸目を置いたという意味で、その雰囲気の差がよくわかることと思います。

念のためですが、お名前を掲載した各社とも、京ごふく二十八とは一切繋がりのないお店さんですので、客観的に糊糸目の価値を知っていただけたら幸いです。

 

成功法則6. 買わないという選択肢もある

押しの強い販売員さんに進められても、もし何となく迷うのであれば「買わない」という選択肢もあることを心のどこかで覚えておいてください。

着物というのは洋服のように毎日、毎週、着るチャンスがあるものでもないですし、高価なものです。特にビギナーの方にとっては今後の着物ライフを左右するぐらい大切なのが初めてのお買い物です。しっかりと情報収拾をして、いろんな商品を見て、長く愛せる訪問着をお買い求めになってくださいね。

まとめ

結論を再度書きますと、訪問着購入で絶対に失敗しないためには「共八掛であり、糊糸目で作られている付け下げの中で、訪問着のように豪華な柄を探す」というのが最高のコストパフォーマンスを誇ってお勧めです。そして購入に自信が持てないうちは焦って買わないということを覚えておけば、かなり失敗のリスクを減らすことができると思います。

立派な看板の呉服店やデパートで買ったということも重要なことですが、着物の場合、あなたがそれを口で説明しなければならないのでは野暮なことだと思います。「〇〇デパートで買った」、「この訪問着は300万円した」という発言そのものがお洒落とは言えないでしょう。エルメスやフェンディのバッグならちょっと知っている人が見れば高価で高品質なことはすぐ分かりますが、着物の場合はほとんど分かりません。着物好きがわかるとしたら友禅のブランドとしては泰三(染めの聚楽)さん、志ま亀さん、ぎをん齋藤さんの商品ぐらいではないかと思います。

職人の仕事を見ていると、やはり職人の仕事によって着物の価値が生み出されているのだと強く感じます。絶対に失敗しない訪問着の購入をするためには、「同じ品質を比べる」ということができなければ、価格が高いか安いかも判断できないと思います。まずは友禅染めの中でも「糊糸目・ゴム糸目・型糸目」の視点を持って見比べてみてください。

糊糸目の訪問着、染め味そのものが長く楽しめるとても良い品物ですよ。

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。

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