雅子さま訪問着、愛子さま振袖:この1記事だけで、現代最高峰の着物を見る眼が養える。
今回、AERAdotさんに執筆サポートのご依頼を頂きまして、様々なことをお伝えしました。
ただ、パブリックな記事ゆえ、あまりに専門的なことだったり、特定企業の名前などは出せないので、こちらの記事では、もう少し深くお伝えしたいと思います。
AERAdotの記事:https://dot.asahi.com/articles/-/240586?page=1
雅子さま訪問着
季節感のある紅葉柄
季節感のある植物モチーフの着物は、その着用時期について、ユーザーを常々悩ませます。
ではいつ着れば良いかと言えば、季節感がある植物の着物を着る場合は、実際の草花が見頃を迎える1ヶ月ほど前から、盛りを迎える直前までが着用期間です。
例えば、桜だと蕾が膨らみ始める3月上旬から着用し始め、満開になる直前の4月上旬にタンスに仕舞います(もちろん地域や、その年の開花状況に合わせます)。
「なぜ満開の手前までしか着用しないのだろう」と不思議に思われるでしょうけれども、その理由は、「どんなに素晴らしい染織も自然の美しさには勝てないから」です。その観点からも、令和6年10月30日に開催された秋の園遊会に、雅子さまの紅葉柄訪問着は最適です。
季節感のあるお着物というのは贅沢なものではありますが、超高齢化する職人たちの現状を鑑みるに、こうしたお着物をお誂えくださることは有り難い限りです。
染め技法「糊糸目」
上写真の赤い線が糯米(もちごめ)の糊を置いたところで、これを「糊糸目(のりいとめ)」といいます。雅子さまの訪問着はこの技法を用いて染められた訪問着です。
糸目(いとめ)というのは染め分けるための防染糊で、友禅染めとは、糸目を輪郭線とした塗り絵のようなものです。
この糸目を手で置くことを「手糸目(ていとめ)」と呼びます。手糸目であっても、その多くは化学材料のゴム糊を用いますが、糊糸目では、糯(もち)米を主成分とした昔ながらの糊を使います。
一般的に販売されている京友禅の中で、糊糸目の染めは0.2%ほどと推察されます(二十八の試算)。何しろ糊糸目が置ける職人は、京都で20名もいないでしょうし、その中でも上手な職人となるとさらに限られてきます。
コーディネート
異素材の組み合わせ
雅子さまの装いの素晴らしいポイントは、上質な着物や帯を、異なる素材感にも関わらず、「朱色」をテーマに濃淡で構築されていることです。
着物は「染め」、帯は「織り」、帯締めは「組紐」ですから、全て正絹(しょうけん:シルク)ですが、その見た目の素材感は異なります。染めは柔らかく、織りは豪華に、組みには立体感としなやかさが感じられます。
素材感の違いを朱色の濃淡でまとめ上げていることに、雅子さまのご見識と感性を感じてしまいます。
染め・織り・組紐
染め・織り・組紐
染め・組紐
帯合わせ
また、帯合わせについても、着物は草花の自然な流れに対して、帯は舞楽菱(ぶがくびし)という幾何学文様でよく調和しています。
愛子さまも、雅子さまと同じ舞楽菱の帯であり、テーマカラーの濃淡によるリンクコーディネートについてはAERAdotの記事に譲り、ここでは呉服業界の裏事情について述べます。
完璧なコーディネートを目指すことの困難さ
着る皆さまにとって、西陣織の帯、京友禅の着物、さらには組紐に至るまで、組み合わせて着るのは当然のことです。
しかしながら、それぞれの商品は、メーカーが独自かつ自由に製造をしているため、お互いがコーディネートしやすいようには企画されてはいません。もっとはっきり言えば、全体を俯瞰するディレクターがいないため、各メーカーが好き勝手にモノ作りをしているのです。
そのやり方でも、90年代ぐらいまでは質、量ともに十分ありましたから、呉服店の店頭で選び、組み合わせることができました。しかし、需要と生産が大きく減退した現代においては、ハイクオリティの着物、帯を、既製品の中で選ぶことは極めて困難です。
ご自分の好きな着物を探すため、何年も呉服店を回り続けているというお話も、時々耳にします。そのぐらい理想の着物に辿り着くのは困難で、ほとんど不可能と思えるほどです。
そもそも、どんな立派な呉服店やデパートでも、最高の友禅染めが何かと定義できている店はほとんどありません。
それではどうすれば、最高の着物が手に入る近道かと言えば、お誂えというオーダーメイドによって、ご自身の好む着物を、最高の職人に作ってもらうことが早く、より完璧な着物にアプローチする近道です。
雅子さまの装い、パッと見ると、上品で綺麗にまとまっているので、気付きもされないと思いますが、紅葉と菱柄は見事に調和しつつ、その色味は帯締めまで含めてぴったりです。
呉服業界の現状を知る者からすれば、様々な職人が技を尽くした逸品を、最後にお召しになる方が見事にまとめ上げてくださった好例と感じ、見入ってしまいます。
帯揚げ
これは余談ながら、完璧なコーディネートを目指すに当たって、まず難しいのが着物探しですが、その次に私が難しいと考えるのが帯揚げ探しです。
着物をお誂えして、ピッタリの袋帯を合わせ、それに合う帯締めを探し出すところまではなんとかなります。しかしながら、そこに合わせる帯揚げとなると、これもお誂えで染めない限り、合わせる意味のある帯揚げに出合うことは困難です。
私も商売を始めた10年前は問屋さんなどで探していましたが、数千枚の中で探しても自分の目指すコーディネートに合わせる価値のある帯揚げを見つけることはできませんでした。無難な帯揚げならばあるのですが。
そんなに時間をかけて探し回るぐらいなら、少し割高ではあるものの、1枚ずつ完璧を期して染める方が早いと感じ、白生地を染めています。
制作した悉皆屋さんについての考察
悉皆屋(しっかいや)というのは京友禅の職人をまとめ上げる現場監督であり、メーカーみたいなものです。その悉皆屋さんの特徴がよく出るのが模様を染めた色で、挿し友禅といいます。
こちらの着物を染めた悉皆屋さん、私は染匠市川(せんしょういちかわ)さんではないかと思います。
市川さんのホームページをご覧いただけばご理解いただけると思うのですが、市川さんはメインモチーフの色を、しっかりめの濃い色で染めることを得意とされているからです(緑、赤、紫、青など。下の写真は染匠市川さんのウェブサイトから)。
雅子さまの訪問着も、その特徴がよく出た1枚です。メインの上前にしっかりと色付いた紅葉を配して華やかさを出しながら、お顔周りには紅葉の印象が強くなりすぎないように、優しい色味の紅葉に留めています。
考察過程を正直に言えば、胸の辺りの色遣いを見る限りでは、愛子さまの振袖を染めた悉皆屋さんが染めているのかなと思いましたが、上前のしっかりと濃い赤色を見て、おそらく市川さんなのだろうなと推察しています。
ブランド論
ちなみに申し上げておくと、市川さんから、どこの問屋、どこの呉服店を経由したお着物か、私は全く存じません。しかしながら、お着物を拝見するに、市川さんだろうなということは伝わって来ます。
一般の着物購入者さんからすると、呉服店やデパートこそがブランドだという見え方をすると思うのですが、本当にブランドたり得ている呉服店はごく僅かです。というよりもほぼありません。
なぜならば、ブランドに必須の要件を考えると、欧米の同産業を見れば明らかですが、自社でモノ作りをして、自社で売るのが基本です。呉服の場合は老舗も含めて、ほぼ全ての店がセレクトショップであり、自らの思想でモノ作りをしていないので、ブランドではありません。
さらには在庫リスクも問屋どころか、その下請けの悉皆屋が持つ時代。呉服店のブランド意識はゼロに近いと言わざるを得ません。
では、ブランドとして成立している呉服店について、一番はどこかと言えば、私は祇園齋藤さんだろうと思います。
齋藤さんの友禅は、私の友禅の好みとは異なりますが、自社のコンセプトによって、自ら悉皆屋として製造し、在庫として持ちながら責任を持って販売されているからです。さらに機屋まで自社で経営していて、ここまでの呉服店は他にありません。
では、市川さんのような悉皆屋さんがブランドになっていけば良いわけですが、それも業界のプレッシャーが理由なのか、京都の気質がそうさせるのか、悉皆屋がブランドになることを良しとしない傾向があります。
最も価値を生み出せるのが、職人と悉皆屋であるにも関わらず。
愛子さま振袖
愛子さまがお召しの振袖は、現代に作れる最高峰の京友禅であり、とりわけこのクオリティの振袖となると、店頭で購入することはまず不可能です。
図案は「扇子に草花、雲取りぼかし」、地色は「桜色」、生地は綸子(りんず)の「本紋(ほんもん)」です。扇子の大きさは、訪問着などと違って、振袖らしく大ぶりに描かれています。
ご家紋
愛子さまの振袖は、三ツ紋付きの本振袖です。
ご家紋は「十六葉八重表菊(じゅうろくようやえおもてぎく)」と称される、内廷皇族の方にのみ許されたご家紋です。難しい呼称ですが、分解すると下記のような意味です。
・十六葉:菊の花びらが16枚あること
・八重:花びらの後ろに、もう一段後ろの花びらが配されていること
・表:菊を表側から見た図案である。つまり裏菊も存在します。
裏 菊
昨今、振袖に家紋を入れることはほとんどありませんが、未婚女性の第一礼装であり、紋を入れてしかるべき着物ということを思い出させてくれるお姿です。江戸、明治、大正などの振袖を見ると、三ツ紋のみならず、五ツ紋のものまで見かけます。
コーディネート
愛子様の振袖は、若々しい桜色から桃色、そして帯の紅緋色まで、テーマカラーが濃淡にて表現されています。
この点もお母様である雅子さまと同じ美意識を感じますし、帯のモチーフも同じ菱形で揃えられています。
愛子さまの帯に用いられている舞楽菱(ぶがくびし)は、雅子さまの舞楽菱より、やや大きめで、振袖らしいものです。
菱形の中には菊が配置されていまして、皇室の御紋ではありませんが、見る人には、皇室の菊を想像させることでしょう。ちょうど真正面に菊が来るように着付けをされた着付け師さんも、気を遣われてのことだろうと思います。
染め技法
愛子さまの振袖も、雅子さまと同じく京友禅の糊糸目で染められています。
挿し友禅
愛子さまの振袖は、柄(扇子や花など)の色を染める挿し友禅が本当に見事なものです。それは、相当に多色で染め分けながらも、出過ぎた色はなく、その一方、薄い色を見て食い足りないかと言えば、薄い色なりにしっかりと見応えがあるところからもわかります。
こういう染めができる職人というのは、どんな親方の下で育ったか、染料は何を使っているかが全てで、熟練の職人に頼んだら誰でもこう染められるというものではありません。
胡粉(ごふん)という白い粉と、様々な色をグラデーションで優しく染める技法は、ものすごく手間と時間が掛かるのですが、愛子さまの振袖は、全ての草花が丁寧にぼかして染められています。
訪問着においても、こうした「胡粉ぼかし」をしたお着物は少ないものです。振袖においてはほぼ存在しないと言って良いほどです。糊糸目も0.2%ですが、それよりももっと稀有な存在です。たいていの着物は一色で塗り切りになっているはずです(それでも十分な品物です)。また、「胡粉ぼかしっぽく」なっているものもあるのですが、これまたベストの染めとは言えません。
「胡粉ぼかしっぽい」ものと異なり、「胡粉ぼかし」は絹の艶を残しながら、胡粉のマットな質感とグラデーションをつけています。胡粉ぼかしは、それっぽいやり方に比べても染める時間が4~5倍は掛かるのですが、表現される優しさたるや比肩するものがありません。
私は、色々な悉皆屋さん、職人さんの価値観を見聞きして来ましたが、トータルで見て一番良い京友禅だと思います。
もし街中でこのような挿し友禅の着物を拝見したら思わず付いて行きたくなるほどですが、京都に10年住んでいても、一度も見かけたことはありません(私の出掛ける先が良くないのかも知れません!)。この染めをしている着物を着た人がいたら、「お召しの着物は最高の品物ですよ!!」と、絶対に声を掛けたくなる、そのぐらい良い染めです。
地色のぼかし染め
桜色の地色に、少し濃いめの桃色で雲をかたどったぼかし染めがなされていますが、こちらもこのお着物の印象を大きく左右しています。
雲の輪郭部分はカッチリとした線に仕上げ、雲の下部はフワッと消え入るように染められています。確かに似たような染めはたくさんあるのですが、細部まで綺麗な仕上がりを実現できる引き染め職人は、京都にもほとんどいません。
豪華な扇子、その後ろに優しい色の草花、そして背景に雲取りぼかしがあることで、1枚の布でありながら、奥行きを感じる染め上がりになっています。
金駒刺繍
下の写真の左端、扇子の輪郭を金駒刺繍で豪華に縫い上げています。
金駒刺繍は通常、金糸2本を1単位としますが、愛子さまの振袖はお誂えだからでしょう、扇子の輪郭を8本及び10本で縫い留めてあります。ただし、2本ずつを縫い並べていきますので、単純に考えて通常の4~5倍の手間です。
また、使われている金糸も、訪問着などに使う金糸よりも、僅かに太い金糸が使われています。振袖用には、もっと太い金糸を使ってわかりやすく豪華にすることもありますが、やや太い金糸に留めて、手間を掛けることで繊細な豪華さに仕上げています。
さらに珍しいことには、この振袖では扇子がメインなので、扇子の輪郭と中の花を縫うのが基本ですが、扇子の外にある桔梗(下写真の左上)を縫っているのはお誂えならではです。
金駒刺繍とは、生地の上に金糸を2本引き揃え、それを朱色の糸で縫い留めるやり方です(下写真)。下写真も京ごふく二十八で作った振袖ですので、金糸が4本(2本*2回)使われています。
この金駒刺繍をした職人さんの特徴は、非常に丁寧な仕事ぶりです。
朱色の糸の間隔が1~2mm程度と、非常に細かく縫い留められていることからもよく分かります。これは、数年もすると、生地が縮んでくるのですが、そうなってもできる限り金駒刺繍の歪みが少なく済むようにという配慮によるものです。
当然ながら縫う時間も掛かります。
この職人さんは「簡単なことほど丁寧に。難しいことほど簡単にやる」というモットーで、80歳を超える大ベテランであり、非常に筋の通った気質の職人さんです。
佳子様の振袖
同じ園遊会において、佳子様がお召しだった振袖は、東京の京和工藝さんがお作りなったものだと推察します。
引用:https://jisin.jp/koushitsu/2391271/image/12/
摺り金(すりきん)という技法で、花全体を金で摺るようにして加飾しているようにお見受けしますが、もしかすると砂子かも知れません。京友禅では花の輪郭のみを金彩する傾向にあるので、花の面に金彩をするのは珍しいやり方だなと感じました。
大定工芸さんという神奈川県川崎市の工房が得意としていた技法だと思います。
また、合わされている袋帯は、西陣織の雄、盡政(じんせい)という機屋の品物で間違いなしです。
この七宝柄の袋帯は若向きの訪問着などに合わせる品物として織られたと思いますが、佳子様の少し落ち着いた振袖に見事な調和を見せてくれています。帯締めは、帯の色をさらに濃くした朱色、帯揚げの色は、振袖の裾ぼかしの色を持ってこられていて、完璧なコーディネートだと思います。
加えて言うならば、佳子様が以前お召しだった下写真の振袖は、今回の愛子さまが染めたのと同じ悉皆屋さん、職人さん達が染めたものと推察されます。
呉服店の好みと言えなくもないですが、やはりこの味わいを出せるのは、悉皆屋さんと職人さん達があってのことです。上前の菊などに、愛子さまの振袖に通じる特徴がよく出ていると思います。
佳子さまの振袖の拡大写真がこちら。
下の写真が愛子さまの振袖アップ。佳子さまの振袖と、菊の花の雰囲気を見比べてみてください。
現代における最高峰の京友禅
愛子さまのお振袖姿は本当に素晴らしく、京友禅の真骨頂を見る思いで本当に眼福でした。
現在、糊糸目で染められた着物そのものがほとんどありませんし、その中でも振袖となれば、京都でも年間10枚と染められていないでしょう。
糊糸目という1工程だけを見てもそうですし、その他の主要工程(下絵、引き染め、金彩、刺繍など)においても、このクラスの職人を集めた振袖をお買い求めになろうと思ったら、現代の呉服店で見つけることは不可能です。500万円出そうが、1000 万円出そうが、無いものは無いのです。
愛子さまのような最高品質の振袖をお求めになるには、お誂えしかないと考えます。そして、きちんとしたルートならば、500万円を超えるほどに高価ではないはずです。
呉服は、往時と異なり、限られた愛好家に向けた商品となってしまいました。さらに、呉服業界が適切な対応をしなかったことで、着物の生産背景は、皆さんの想像する100倍は衰退しています。
私はこの状況をなんとかしたいと10年間もがき続けてきたものの、一人でやれることには限度があり、大きな改革が必要だと思います。
国や京都市が職人を直接雇用する、呉服業界の裕福な企業が職人を支えるなど、どんな手段でも良いので、このレベルの仕事が続いていくように強く願います(こう言っては申し訳ないですが、今のところ、日本国も京都市も口では色々と言いますが、本気で残す気持ちは全く無いと私は感じています)。
ある程度無くなってしまう着物の生産背景はあるでしょうけれども、最高級品だけは作り続けられる体制を維持しなければ、日本のみならず世界にとっても損失です。シルクの染めや織りは世界中にありますが、日本の技術は、圧倒的に優れています。ハイブランドなんて、話になりません。
数十年後、愛子さま、佳子さまに同じクオリティのお着物をお誂えいただき続けるためにも、最高品質の着物が作れる生産背景だけは維持する、呉服業界として、日本国として、そうあらねばならないのです。
未来のご皇族、日本の子供たちのためにも、そんな日本を目指しましょう。
まとめ
一般の皆さまが着物を作る職人の後継者問題について考えることなどほとんど無いとは思うのですが、民意があって初めて、国や官公庁も動いてくれますので、どうか少しでもお心に留めていただけたら嬉しい限りです。
私は元公務員ですし、退官したとは言え、こうしたことを記事にするのは僭越で気が引けます。しかしながら、皆さんに日本の染織の価値や、美意識の素晴らしさを伝えずにいられない思いに突き動かされて記しました。
良いお着物をお求めになるきっかけになれば、これ以上に嬉しいことはありません。
京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。
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