【結婚式に着ていく着物をどう選ぶ?!】結婚式で失敗しない着物選び、3つのポイント!
若葉の色が美しい頃となりました。ブログを担当しております、すず乃と申します。
新しい季節は、何かとお祝いごとも多くなり、結婚式もそのうちの1つかと思います。
そこで、今回のテーマは『結婚式に着ていく着物をどう選ぶか』についてです。
近年の結婚式はいろんなタイプがあります。そうなると迷うのが、どんな着物を着ていけば安心できるのかということ。
一つの答えとして、結婚式ではフォーマルな着物を着ておけば安心です。
とは言っても、フォーマルな着物には種類がいくつかございますので、どのように着物を選べば良いのか、3つのポイントでまとめました。
着物は『お立場』『会場』『周囲の方々との調和』によって選びます。
1.お立場
着物というものは、同じイベントや行事に参加される場合でも、どのようなお立場で参加されるかによって選ぶべき着物が変わります。
留袖 主役である方(花婿、花嫁)の家族、ご親戚がお召しになります。
色留袖 ご親戚、主賓の方、主役の上司などがお召しになる事が多いです。なお色留袖の場合、ご家紋の数が一ッ紋、三ッ紋、五ッ紋とございまして、数が多いほど格が高くなります。近年では、五ッ紋だと仰々しいという方や、結婚式以外の用途でも色留袖をお召しになりたいというお声からか、三ッ紋にされる方が多いように感じます。
振袖 未婚の姉妹、ご親戚、ご友人の方がお召しになります。振袖は柄のデザインが他のお着物よりも比較的大きめですので、会場が一段と華やぎます。
訪問着 ご親戚からご友人、既婚未婚を問わず、幅広い方がお召しになれます。披露宴などの着席シーンにおいて、テーブルではお裾周りの柄は隠れてしまいますから、胸元のお柄はとても大切になります。その点、訪問着は胸元に必ず柄が入るので、お召しになる方の顔周りも華やかになるのと同時に、お祝いの雰囲気も出せて、まさに結婚式向けの着物です。
付下げ ご親戚からご友人、既婚未婚を問わず、幅広い方にお召しいただけます。訪問着に比べると、柄の大きさが小さめなのが付け下げです。柄が小さめである分、帯などで格を上げ下げすることも可能ですので、さまざまな形態のご結婚式に対応いただけます。少々控えめな印象です。
色無地 ご親戚からご友人、既婚未婚を問わず、幅広い方にお召しいただけます。ご家紋が入りますと格の高い準礼装となります。ただし、色無地は格がございましても友禅とは異なり、柄のない、シンプルに色を身につける着物ですので、ややもすると寂しく見えることに注意せねばなりません。色無地をお召しになる際は、周りの方と同等に華やかになるよう、ぜひ帯をメインとするような装いをするとバランスがとりやすいかと思います。
なお、余談ではありますが、着物に熟練した方が選び抜いた「色」と「地紋」に、逸品の帯を締めて、結婚式の雰囲気とご自身の立場に相応しい装いをするのは見事なものです。
2.結婚式の会場
会場を『老舗ホテル系』『モダンな会場系』『アットホーム系』に分けると簡単です。
(1)老舗ホテル系
『老舗ホテル系』では、吉祥文様(きっしょうもんよう)などおめでたい古典柄がおすすめです。
帝国ホテル・ホテルオークラ・ニューオータニ・椿山荘など古くから多くの方に愛されてきた老舗のホテルは、貝合わせや宝尽しなど吉祥文様(きっしょうもんよう)と呼ばれるおめでたい柄を中心とした重厚感のある着物がおすすめです。
なぜならば、新郎新婦が数ある会場の中から老舗ホテルを選ばれるという事は、「きちんとしていて安心できる」、「ゲストの年齢層を問わず喜ばれる」といったことを好まれる新郎新婦だと考えられるからです。またこれらのホテルは、会場の照明の明るさ、天井の高さ、壁紙や絨毯のしつらえから見ましても、歴史を感じ、落ち着きがある雰囲気ですので、着物も同様にすると、まさに、絵になるお姿となります。
(2)モダンな会場系
『モダンな会場系』とは、外資系のモダンなホテルや、結婚式専門のオシャレな会場の事です。そうしたスタイリッシュな空間では、季節感や個性を楽しむ訪問着はいかがでしょうか。それは最高に贅沢でおしゃれです。
リッツ・ペニンシュラ・マンダリン・ハイアットなどの外資系ホテルや、結婚式専門の会場ですと、梅の季節に梅だけが描かれた、まさに季節限定お着物や、幾何学模様、華唐草など、周囲の方々があまり持っていないような着物が会場に合います。色もモダン、シックで構いません。昔ながらの、いかにも豪華でフォーマルに仕上げる必要がない場合も多いようです。二十八代表の原が、六本木のハイアットで結婚披露宴に参加した経験がありますが、通常、金色の屏風が「黒」だったことが印象的で、記憶に残っているようです。
こうしたモダンな会場に、少しスタイリッシュな訪問着をお薦めする理由としては、式を挙げられる新郎新婦が比較的格式張らず、先進的なお考えを持った方が多いようにお見受けするからです。光あふれるようなチャペル、天井の高さや照明などをみても最先端であり、古典柄とはまた一味違ったセンス溢れるスタイリッシュなおしゃれをして頂きたく思います。
(3)アットホーム系
『アットホーム系』では、気張らない着物がおすすめです。
レストランウェディングやガーデンウェディングなど、主役のお二人との距離が近く親密な時間を大切にできるアットホームな会場ですと、上記の2つの式場よりも少し楽に、しかしながらきちんとした着物がおすすめです。(洋服でいうとドレスではなくワンピースに近い印象です)
具体的に申しますと、付下(つけさげ)に袋帯、一ッ紋の色無地に華やかな袋帯あたりが宜しいかと思います。気張らずに、着物をあえてサラリとお召しになられる雰囲気の方が、着物に慣れ親しんでいるように見えます。
場合によっては華やかな小紋に袋帯という装いでも大丈夫なケースもあると思います。ただし、一般的にはカジュアルに思われますので、本当に仲良しの皆さんが集まって、カジュアルな場所で、フォーマルである必要はないけれど華やかに装いたい時などが小紋を選ぶ条件になります。
より詳しく会場の雰囲気を知るにも、招待状が届いたら一度インターネットなどでどんな会場なのか下調べをしておく事がおすすめです。
3.周囲の方々との調和
周囲の方々と調和する事は、主催者に礼を尽くすことになります。
着物は周囲の方々と格を合わせることがとても大切です。確かにあなたが所有し着用する着物ではあるのですが、周囲の方々に調和しなければ礼を尽くすことは難しいのです。
簡単な判断基準としては、周りの方があなたの装いを見た時に『気にならない装いをする』ということがポイントなのです。参加の皆さん全員がフォーマルな色留袖や訪問着、振袖という中で、一人だけ小紋や紬を着用する。逆の場合もしかりで、レストランウェディングなどにおいて、皆さんが小紋やせいぜい付け下げぐらいのお着物の中で、一人だけご友人なのに5ツ紋の色留袖という事でも相応しくないと思うのです。
さらに具体例を記しますと、格式ある結婚式において、親戚のお立場で黒の留袖でお召しになるべきかどうか。関西以西では親戚も黒の留袖で結婚式に参加することは通常のことですし、着物の慣習から考えても間違っているということはありません。
しかしながら、もし黒留袖を花嫁花婿の母親だけしか着用しておらず、他の親戚の方々が色留袖や訪問着で参加された場合に、あなたが親戚として1人だけ黒留袖で参加されるとどうでしょう。確かにルールとしては問題ないのですが、黒留袖が全員で3人いるお姿には違和感を感じられる事と思います。
このような状況にならないためにも、可能な限り、事前に参加者の方々が何をお召しになるのかお尋ねすることが着物選び成功への近道です。場合によっては主催者の方にお尋ねになれるようでしたらそれに越したことはありません。
なお、お若い方は華やかな装いを求められている時もございます。その時は、会に華を添えるお役目として、お振袖や訪問着をお召し下さいませ。
最も大切なことは、主役である新郎新婦、そのご家族が喜んでくれる着物を選ぶことなのです。
まとめ
以上、結婚式で失敗しない着物選びをするための3つのチェックポイントを挙げました。
・お立場
・会 場
・周囲の方々との調和
この3点を事前にチェックしておけば、きっと安心してご結婚式をお楽しみになれる事と思います。普段、着物をお召しにならないという方にとっても、結婚式はチャレンジしやすい場面です。周囲でお着物をお召しの方は少ないかも知れませんが、だからこそ羨望の眼差しが集まるはず。ちょっとだけ勇気を出して、是非お着物をお召しになってくださいませ!
皆様にとって着物でお出かけされる結婚式が、佳き思い出の日となりますように。
京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。
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