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着物購入のポイントColumn

一生後悔しない!振袖・留袖・訪問着購入で守りたい6つのルール

振袖・留袖・訪問着など、フォーマルな着物の購入は非常に高価ですし、5年、10年に一度のお買い物となるでしょうから、後悔しないようにしたいものです。そのためにとても大切と思えることを、呉服屋の視点からお伝えします。

後悔しない着物購入【その1】高品質であること

当然のことですが、やはり後悔しないためには高品質な着物や帯を選ぶことが大切です。もしあなたが今現在、着物初心者だったとしても、将来的には目が肥えてくるでしょう。そうすると、あとあと「なぜこんな着物を買ってしまったんだろう…」ということにもなりかねません。そうならないためにも着物の品質を見極めるためのポイントを2つお伝えします。

留袖・振袖・訪問着となれば染めの着物。京友禅・東京(江戸)友禅・加賀友禅に代表される友禅染めが主流であり、その判断基準について記します。

高品質1. 良い染め

良い染めの商品であれば、目が肥えて来ても見飽きることはありません。逆に染めのプロが見て、「浅い・軽い」と感じるような染めでは眼を満足させ続けることはできないでしょう。

ではどんな染めであれば良いかと言えば、私は「モチ米を使った糊糸目(のりいとめ)」にしておけば間違いないと考えています。糸目とは柄を染める時に輪郭線のことで、手描き友禅の中でもモチ米を使った染めはごくわずか。京友禅全体の中では0.2%ぐらいの生産量と推察されます。

糊糸目の良いところは、仕上がりの輪郭線が柔らかく、色味がわずかに黄色味でふんわりとした染め味に仕上がることです。以前、私が染めの参考見本として、比較対象となるよう3種類の糊を使って染めました。全て手描きの染めです。

1.モチ米の糊糸目

2.亜鉛の粉末を入れた糊糸目

3.ゴム糸目

しかしながら、2.と3.の糊を使った染めをした時には、糊糸目ばかりを染めている職人さんから「2.と3.はもう二度とやらないようにしましょうね。1.にしてください」と10回ぐらい言われました。それぐらい何十年と染めをやっている職人さんからすると違和感があるのです。そのような1.の糊糸目であれば、皆さんの目が一層肥えて来た時でも十分に満足させられることでしょう。

ただし、手描きのゴム糸目でも十分に良質な商品ですし、手ではなく、型糸目による友禅染めでもコストパフォーマンスに優れたものはあるので、そうした商品も選択肢に入れて良いと考えます。

高品質2. 良い生地

良い染めを表現するには良い記事が必須となります。テラテラした薄い感じの生地はあまり良い印象を持ちません。フォーマルな着物はどちらかと言えばどっしりした少し厚みのある記事の方が染め味は優れていると思います。

良い染めとも関わるのですが、ゴム糸目で染めると揮発溶剤で洗うので、正絹の生地が少し痩せてしまいますが、モチ米の糊糸目であれば水洗いだけですからそのままの絹の風合いを保つことができます。

普段着など、よく着る着物の場合は、軽い生地も楽ですから良いだろうと思います。

後悔しない着物購入【その2】価格は関係ない

これはちょっと意外なことかもしれませんが、着物購入で後悔しないための観点として「価格は関係ない」と覚えておきましょう。

色んな考察ができるのですが、いくつか代表的なものを挙げたいと思います。

価格は関係ない1. 訪問着と付け下げ

訪問着を購入しようと思う方にまず参考にしてもらいたいのが、こちらの記事です。

決定版!【訪問着と付け下げの違い】を見分ける唯一のコツ

訪問着と付け下げの違いを認識することが大切なのですが、付け下げとして売られている反物の商品から、先述の糊糸目で作られている訪問着のような柄付けの着物を買うと非常にコストパフォーマンスは良くなります。

実際、付け下げから選べば糊糸目の着物と言っても最高価格が70〜80万円ぐらいでしょう。絵羽(えば:着物の形)という形で売られている糊糸目の訪問着は、最低価格が140万円ぐらいとなるでしょう。

このケースでは価格と品質に相関関係はありません。

価格は関係ない2. ある一定の価格を越えた場合

手描き友禅の留袖が10〜20万円で売っていることは基本的にありません。一方、100万円を越えて来ると、かなり高い確率で手描き友禅の留袖になると思います。その意味では価格と品質には相関関係も見られます。

ただ、150万円の留袖と300万円の留袖、どちらが優れているかと言えばケースバイケースで、150万円の留袖の方が優れている場合があるのです。これはより良い製法で作っているにも関わらず、良心的な染め屋さんの製作だったり、他にも単なる流通経路の違いなどによって値段が左右されるためです。

作家先生が作った留袖などの場合は、さらなる付加価値がついて500万円を越えるような値段になることもあります。そこを良しとするかは人それぞれの価値観です。

呉服店の店員さん以上に目がきけば、価格ではなく品質で選ぶことが可能になります。

価格は関係ない3. 価格はそのうち忘れる

これは人によりますが、購入した時の価格はそのうち忘れてしまう場合が多いように感じます。着物が150万円だったとして、5年、10年経ってしまうと、購入価格が100万円だったか200万円だったか忘れてしまうという感じです。もちろん高かったという記憶はあると思うのですが。

その意味から言えば、もし「130万円の着物」と「150万円の着物」で悩んでいたとして、本当は150万円の着物が欲しいけど、20万円の差を考えて130万円を選んでしまうのは少しもったいないと思います。この差はそのうち忘れてしまって、最後は着物との付き合いになりますから、気に入る方を買うのがお勧めです。

20万円の差が小さいとは思いませんが、130万円の着物が購入できる方なら150万円の着物も購入できるだろうという推察があってのことです。逆に130万円の着物の方を気に入っているならば、ぜひそちらを選んでください。

値札や請求書と一緒に着物を保管するわけではないのですから、あなたが気に入る着物を買うのが一番です。

後悔しない着物購入【その3】良い店で購入すること

やはり良いお店で購入しておけば、その後の後悔は減ると思います。

インターネットで酷評されているチェーン店などで購入すると、後からその事実を知った時になんとなく「〇〇チェーン店で買った」とは言いにくいものです。

その点、着物好きが憧れる名店、老舗呉服店、有名デパートなどで購入しておけば、たとえ糊糸目などの高品質ではなかったとしても、「〇〇呉服店で買ったのよ」という自信は続くものです。

一般の人には友禅染めの着物の良し悪しはほぼわかりませんから、むしろこの「良い店で購入する」ということは非常にわかりやすいメリットになると思います。

近年、売り上げが何百億円あるような呉服店でさえ倒産してしまうこともありますし、京都や東京の業界では有名なメーカー・問屋が急に倒産することも確かにありますが、それでも最近始めたような呉服屋よりは、そうした老舗や有名店の方がこれからも長く続く可能性が高いだろうと思われます。

『老舗の看板も一緒に購入する』というのは後悔しないための1つの方法かと思います。

後悔しない着物購入【その4】良い店員から購入すること

良い店で購入することに似てはいるのですが、「良い店員から購入する」ということも重要です。やはり呉服店ごとの商売の雰囲気はあるものですが、販売員の知識・センス・会話の楽しさ・フォロー体制などによって、後々の満足度も違ってきます。

着物販売員1. 知識

着物は日常生活から遠いものになってしまったので、消費者の方が全てをマスターして購入するのは難しいこと。ですから消費者の方に代わって呉服店の販売員がしっかり着物の勉強をしておいて、お客様の相談事に対して適切な答えをするのが大切だと思います。

しかし、昨今は着物を着ない、そんなに勉強していない販売員が増えているので、各所で問題が起こっている耳にします。着物の勉強というのは、商品知識などの前に、TPOに合わせてどのような着物を着て、帯・小物をコーディネートするかということが基本です。そうした妥当と思えるアドバイスをしてくれる販売員を選ぶことは大切なことです。

着物販売員2. センス

また、着物は反物状になっている場合が多く、ご自分で自由に見ることができません。ですからたくさんある商品の中から、あなたの条件にマッチした上で、お好みに合う着物をパッと出してくれる販売員との出会いは貴重なものだと思います。

特に外商スタイルの呉服店で、自宅などへ商品を持っていくスタイルの呉服店の場合は、センスが合わないと何度も時間をとる羽目になってしまいます。

着物を合わせても、その後、帯や小物までコーディネートする必要があるわけで、あなたのセンスが良かったとしても、やはりセンスの良い販売員がパートナーであるに越したことはありません。

着物販売員3. 人柄

人間的に好意を持てる販売員であることは着物の場合、重要だろうと思います。

面倒なことにも一生懸命対応してくれる。知識豊富なベテラン。若いけど頑張っている。気に入る商品が見つかるまで探してくれるなど。そうした着物販売員から購入すれば、よしんば十分なクオリティの着物でなかったとしても何となく許せるものです。

また、アフターフォローとして、困りごとがないか声を掛けてくるといったことも重要だと思います。そうしたコミュニケーションの中で過去に購入した着物のことを何度も話せるというのは、満足できる購買体験の一部です。

後悔しない着物購入【その5】楽しく購入する

購入する時間そのものも先々の満足感に繋がります。

成人式の振袖を、おばあさまからお母さま、お嬢さまとでワイワイ言いながら選ぶのは本当に素晴らしい時間だと思います。そうしたタイミングだからこそ、着物のこと、家紋のことなど世代を超えた知恵を伝えられる時間です。

そうして選んだ着物は着るたびに、ご家族の思い出が溢れます。そうした購入体験をしていれば、必ず長く満足が続くものです。

後悔しない着物購入【その6】達観する

着物に対して達観することも大切です。どんな着物でも必ず一長一短があります。

派手に思えた着物も、結婚式場やパーティ会場などでは薄暗い照明の中でちょうど良いもの。逆に控えめな着物はお茶室などでは出ずいらずで場に馴染みます。それぞれの着物を反対の場所で着てしまうと、チグハグになってしまいます。

購入した着物、もしちょっと気に入らないところがあったとしても、場所やコーディネートを変えると短所が長所になることもあるものです。もし購入後、「失敗したかな」と思うことがあっても、少し見方を変えると違った価値を見いだすこともできます。

まとめ

後悔しないために守るべき6つのルール、いかがだったでしょうか。価値観によって何番のルールを優先するかは人それぞれ。

「高品質でセンスの良い着物」を優先する人であれば、呉服店選びというよりも高品質の着物を選ぶことに特化すれば良いでしょう。

そうではなく、呉服店の販売員と「人としての繋がり」を優先する人の場合は、ご自分の感覚に合った付き合いをしてくれる呉服店、また販売員を探すことが重要です。熟練の販売員と、軽妙な掛け合いをしながら選ぶ着物選びはちょっと他では味わえない良さもあるのではないかと思います。

着物購入「転ばぬ先の杖」として

そして、最後の最後にお伝えしたいことは、「あなたが買った着物は良い着物!」ということです。

この記事を含め、私が書いている様々な記事は、お買い物前の初心者の方に向けたものが多くなっています。その理由はこれらの記事が「転ばぬ先の杖」になってほしいから。プロの目線で言えば、消費者の方が先に知っておけば、あとあと後悔しないですむと思うことは多々あるもの。

ただ、すでに買ってしまった商品に関しては、ルール6.の通り、それがベストの選択だったと思う方が後悔しないですみます。正直、成人式の振袖を選ぶおばあさま、お母さまのお気持ちがこもっているならば、どんな振袖でも最高の振袖だと思うからです。

買う前には必要なことを学び、その時できるベストのお買い物を。買った品物に対してはそれが最高の着物だと思って、様々な場面で着ることこそ豊かなお着物ライフに繋がるだろうと思います。

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)
原 巨樹 (はら なおき)

京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。

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