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【付け下げ訪問着】とは!?プロでも悩む付け下げ訪問着を徹底解説!

「付け下げ訪問着」という言葉、着物好きの皆さんや、訪問着を初めて購入しようとしている方なら耳にされたことがあるかも知れません。「訪問着」や「付け下げ」ほどメジャーな言葉でもないので、「付け下げ訪問着」と聞いたことがあるだけでも初心者以上と言えるでしょう。ただ、

「付け下げ訪問着というのはどんな着物なんですか?」

と尋ねられた場合に、きちんとしたお答えができる一般の方は少ないと思います。また多くの呉服屋は自分にとっての「付け下げ訪問着とはどんな商品か」を伝えることはできると思うのですが、その定義ゆえに購入したお客様をかえって困らせているというケースも散見されます。

そんなわけで、今回の記事では「一般の呉服店が考える付け下げ訪問着」と「付け下げ訪問着で悩まないためのコツ」をお伝えしたいと思います。

 

一般の呉服店が考える付け下げ訪問着とは?

一般の呉服店が考える付け下げ訪問着とは次のような商品のことです。

[反物状態の付け下げとして販売される商品のうち、訪問着のように豪華な柄付け(デザイン)がされている着物]

付け下げというのはもともと飛び柄であり、縫い目で柄が繋がらない柄付けがされていました。それに対して現在では、縫い目で柄が繋がるのはもちろんのこと、仕立て上がると訪問着と見まごうばかりの豪華な付け下げがたくさんあります。

仕立て上がると絵羽で売られている訪問着と変わらないデザインなのに、付け下げとして反物で売られている商品ですから、一般の呉服店ではその二つを合わせた言葉として便宜上「付け下げ訪問着」と呼んでいるのです。

この販売現場での付け下げについて踏み込んだ記事がこちら。

・「付け下げは●●」という人が「訪問着と付け下げの実際」を絶対にわかっていない理由

付け下げ訪問着で悩まないためのコツ

以上、一般論をお伝えしましたが、京ごふく 二十八では「付け下げ訪問着」という呼び方を使っていません(本当を言えば使うのをやめました)。それは皆さんを混乱させないためであり、ここからは皆さんが付け下げ訪問着で悩まないための方法をお伝えします。

コツ1:まずは訪問着と付け下げの違いを知る

・訪問着:豪華な柄のフォーマル着物

・付け下げ:控えめな柄のフォーマル着物
ということをご理解ください。ここで大切なことは「仕立て上がった状態で柄が豪華なのか控えめなのか」が判断基準だということです。詳しくはこちらのリンク記事に書いてあります。

・決定版!!【訪問着と付け下げの違い】呉服屋も知らない究極の答え

コツ2:絵羽で売られていたか、反物で売られていたかを忘れる

絵羽(えば)というのは着物の形で販売されている商品を言います。反物とは、丸巻きにされた状態で販売される商品のことです。

先述の通り、「付け下げ訪問着」とは丸巻きの反物で売られている中でも、柄が訪問着のようになった着物のことでした。つまりこれが仕立て上がってしまうと、一般の人はもちろん、プロである呉服屋が見ても99%見分けがつきません(見分け方はあります)。

ということは、訪問着のような柄である訳ですから、その着物は訪問着として使えば良いわけです。

コツ3:呉服屋の言葉を忘れる。

最後の心理的なハードルが「呉服屋の言葉」です。皆さんの心の中に、呉服屋が「これは付け下げ訪問着です」と言っていたことはかなりしっかり刻まれています。だから、どうしても訪問着と呼びきることに引け目を感じるわけです。

でも、呉服屋が訪問着、付け下げと呼んでいるのは単なる販売時点の形状のことで、はっきり言って呉服屋と業界側の都合です。仕立て上がって訪問着と区別のつかない着物は、ユーザーにとっては訪問着ですから、訪問着として使ってしまいましょう!

コツ4:「柄の多い少ない」と「染めの上質さ」

皆さんが考える訪問着と付け下げを分けるポイントは、主に「柄の多さ、豪華さ」だと思います。

ただ、プロの目線で申し上げるならば、型染めで全身ビッシリ柄が染められた訪問着よりも、モチ米を使った手描き友禅で丁寧に染められた着物であれば控えめな柄であっても型染めの訪問着以上の品格を備えています。そうした軽めの訪問着に、上質な袋帯を合わせると、もうそれだけで多くの柄は必要ありません。

コツ4をマスターするのはとても難しいことですが、それでもそうした判断基準があると知っておくことは良いことです。着物巧者でシンプルな着物を着ているのに、なぜか高い品格を感じる場合は、このコツ4によるものかと思います。柄が少なくても高い品格を感じさせる着物姿ならば、柄がビッシリの訪問着の方が集まる場にも臆することはありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。付け下げ訪問着という言葉は、付け下げ、訪問着という着物好きには馴染み深い言葉をくっつけた言葉にも関わらず、皆さんにとっては悩ましい存在です。

しかしながら、この付け下げ訪問着という存在は、皆さんが呉服屋で覚えたことを一度まっさらに忘れて頂ければ、訪問着を手に入れるために非常に重要な手段となるのですが、それはまた記事を改めたいと思います。

 

【付け下げ、訪問着に関連する記事】

・決定版!!【訪問着と付け下げの違い】呉服屋も知らない究極の答え

・「付け下げは●●」という人が「訪問着と付け下げの実際」を絶対にわかっていない理由

・初心者でもこれだけは押さえておきたい!!【訪問着、値段の相場】

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・「着物の良し悪し」が分かるために、最も大切な大前提とは?

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この記事を書いた人
原 巨樹 (はら なおき)

京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。

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