エアシルク・ストール「ひらり、はらり」
天女の羽衣のようなストールを染め上げました。
エアシルク・ストール「ひらり、はらり」
- 福島県で織られる世界一薄いシルクの織物
- 京友禅の金彩職人による柄
- 横浜での手縫い
作ることになったきっかけ
京ごふく二十八は呉服屋でありながら、京友禅のプロデューサー、ディレクターとも言える悉皆屋を生業としていて、実は京都でも稀有な存在です。だからこそ着物ユーザー以外にも京友禅の魅力を伝えたいと思って作る商品がこちらのエアシルク。
京友禅の凄さというのは、視点を変えて見ると「世界で最も美しくシルクを染める技術」だと言えることです。どんなブランドのシルク染めにも負けないどころか、はるかに上を行く染め味が楽しめます。
そんな世界一とも言えるであろう京友禅の金彩技法を用いて、着物をお召しにならない方にも楽しんでもらうために作ったのがエアシルク・ストールです。
制作工程
こちらのエアシルク・ストール、制作工程は難航をきわめましたが、それだけに世界でもあまり類を見ない仕上がりになりました。
素 材
シルク生地の名産地、福島県川俣町で、8デニールの糸を使って織られた織物を、京都で染めました。
言葉にすると簡単なのですが、そもそも8デニールの糸を織り上げるだけでも大変なことです。糸のテンションの調整、筬(おさ)を打ち込む強さなど、その開発は長い道のりだったようです。
世界一薄いということについて、明確な審査機関などはないのですが、8デニールで織られたシルクの織物というのは世界でも見当たらないこと、それを元に日本で内閣総理大臣賞を受賞したことなどから、世界一薄い絹織物だと言って良さそうです。
染 め
その生地を京都で炊き染めをしました。
シルクを染めることに関して、京都は世界一とは思いますが、問題は生地の幅です。職人たちは着物の幅(38cm)には慣れているものの、140cmものの幅がある今回の生地を染めてくれる職人さんを探すのがまず大変でした。
そして、染め上がった生地を、整理という工程で皺を伸ばしたり、生地目を整えるのですが、これをやってくれる工場を探すのがまた苦労しました。頑張ってトライしてくれた工場もあったのですが、生地が薄すぎて、生地の端を感知するセンサーが動作せず、生地がビリビリに破れてしまったりもしました。
下 絵
京友禅でいつも頼んでいる職人さんに下絵を描いてもらいました。
イメージは具体的な何かではなく、舞い散る擬音「ひらひらと」を絵にしてもらったものです。
図案は運筆により一筆で描かれた勢いのあるもの。
運筆の技術はゴッホが弟のテオに宛てた手紙の中でも「日本人は素描が速い。稲妻のようだ」「僕は日本の絵が持つ極度の明確さをうらやましく思う。急いで描いたようにも見えず、彼らの呼吸のように単純で、まるで服のボタンを掛けるように簡単に描き上げる」とまで絶賛してくれています。
昔の日本画には運筆の線が必ずありましたが、現代の日本画ではほとんど失われてしまいました。そんな技術を世に名も知られていない友禅の職人は脈々と受け継いでいます。
金 彩
先の下絵を型におこし、友禅の金彩職人に柄づけをしてもらいました。まずは白い雲母をベースにして、その上に金粉銀粉でいろどります。
特筆すべきは、染めではなく、生地の上に柄をのせていること。それゆえに、このごく薄い透ける生地と相まって、柄の陰が肌や服に落ちます。
仕立て
仕立てはスカーフで有名な横浜で。
京都の和裁士さんやスカーフの仕立て屋さんを探しましたが、やはり本場の横浜がベストということになりました。
熟練の職人による手巻き仕立てで仕上げています。
着こなし
「みんなと同じ品物は身につけたくないけど、ブランドもの以外でハイクオリティの商品を探すのは結構たいへん」
そんなふうに思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ファッション感度の高い人たちにとってはどんな小さなマークでもパッと目を引いてしまうもの。
京ごふく二十八が職人技術を結集して作ったエアシルクのストールはそんなあなたにこそ身にまとっていただきたいアイテムです。
夏のキャミソールや、パーティシーンなど、素肌を見せる時に合わせていただくととても美しく着こなしていただけるかと思います。幾重にもかさねて、その透け感を楽しんでいただけたら幸いです。
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京ごふく二十八代表。2014年、職人の後継者を作るべく京都で悉皆呉服店として起業。最高の職人たちとオーダーメイドの着物を作っている。
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